プロット

文字数 3,303文字

◆テーマ
自分に自信のない女の子が、年上の男の子と話し方教室に出会って少しずつ自分を好きになっていく。

◆キーワード
「話し方教室」「生徒会長」「先輩」「内気」「初恋」「自分を好きになる」

◆主人公
峰岸(みねぎし)あおい 12歳 小学6年生
大人しくてクラスに友達がいない。自分に自信がない。
声が小さくて、お店で注文などする際に聞き返されるのが苦手。
そんな自分が嫌で、変わりたいと思っている。
女の子らしい、やわらかな雰囲気。小柄。
がんばり屋で素直。甘いものが好き。

◆相手の男の子
棚橋(たなはし)優斗(ゆうと) 14歳 中学2年生
物腰柔らかな雰囲気。しっかりしていて、どこか余裕の漂う態度。
一見中性的にも見えるが、勝負事に真剣になるなど男らしい一面もある。
生徒会長に立候補するのにスピーチ練習のため、話し方教室に通う。
文武両道だけど、実は極度のあがり症。

◆話し方教室
小学生から80代までが通う、大所帯の話し方教室。
現在、未成年はあおいと優斗しか通っていない。
スピーチとコミュニケーションの両方に特化している。
週一回通い、人前でのスピーチやディスカッション、フリートークなどを行う。
代表のおばあちゃん先生がお祭り好きで、何かにつけ「お茶会だ、カラオケだ」とみんなに交流の場を提供している。

◆プロット
 主人公のあおいは小6一学期の終業式、疎外感を覚えていた。クラスメイトがみんなで夏休みに遊びに行こうと計画を立てているのに、自分だけ誘ってもらえない。
 自分から声をかけられない内気なあおいは、先生から渡された通知表にも「積極席に欠ける。友達づきあいも大切に」みたいなことが書いてあり落ち込む。

 帰宅すれば、コミュニケーションゲームでオンライン上の友達とわいわいできるのに。
 せっかく夏休みが始まったというのにへこんでしまったあおいは、母親に借りたスマホで「話し上手になるには」などと検索。すると、結果表示に「話し方教室」の広告が出てくる。
 思いの外近所だったので、少々恥ずかしく思いながらも母親に頼んでみる。すると、今まで自分から何かしたいと言ったことのないあおいだったので(ゲームすら親の薦めで始めた)、「ひとまず、見学に行ってみる?」と母親もうなずく。

 母親と一緒に見学に行くと、おおらかな教室で習い事というよりはサークルのような雰囲気。しかも、平日夕方からのクラスは年配者が多く、歳が近いのは中学生の男の子一人が来ているくらいだという(この日は優斗、お休み)。
 少しイメージとは違っていたが、逆に歳の近い子は苦手なので難易度低めかもしれないと入会を決める(結果、年配者に孫のように可愛がってもらえる)。

 翌週、一人で初参加。教室のドアを開けようとしたら、開いて中から優斗が顔を出す。あおい、無自覚に一目惚れ(これが初恋)。「よろしくね」と歓迎する優斗。
 レッスンが始まって、発声練習をした後に、優斗と一対一でフリートーク。ガチガチに緊張するあおいに優しく接する優斗。やはり声が小さくて聞き返されるが、優斗は「今、○○って言ったよね? よかった、合ってた~」みたいな柔らかな対応。そんな優斗にあおいも安心し、少しずつ話せるように。
 その後のスピーチでは20人くらいの人たちの前に出てド緊張するが、それにも優斗が安心させるように笑顔でうなずき、あおいはどうにか自己紹介を終える。
 レッスンを終えると、午後7時。話し方教室までは自宅から電車で3駅だが、優斗も自宅の最寄り駅が同じだという。「女の子だし、夜遅いのは危ないから」と優斗に誘われ、これから毎週一緒に帰ることになる。

 帰り道。優斗は、あおいが来年から通う予定の公立中学の2年生であること、生徒会長に立候補するのにスピーチの練習をするため、期間限定で話し方教室に通い始めたばかり(7月の頭から)だと教えてくれた。
「お互いにがんばろうね」と話して、駅で別れる。これから楽しくなりそうだという予感を覚えるあおい。

 それから夏休みの間、あおいは優斗とどんどん仲良くなっていき、話すのも少しずつだが上手くなっていく。

○夏休み中のエピソード
・一緒に帰る時、優斗の中学生っぽい話や男子っぽい話に、あおいがドキドキする。

・話し方教室の交流会で一緒にカラオケに行く。周りは年配者ばかりで昭和歌謡がガンガンに流れる中、優斗があおいの飲み物などに気を配ってくれる。

・同じコミュニケーションゲームをやっていることが判明。ゲーム上でも交流するようになる。

・話し方教室みんなで花火大会に行く。途中、優斗と二人一緒にはぐれて花火(と優斗)にみとれる。人混みで手もつなぐ。優斗の友達とばったり会って、あおいのことを「彼女?」なんて聞かれたりする。

・ある時、スピーチで失敗する優斗。聞けば、その日の塾で先生に指名された時に間違えた答えを自信満々に答え、周りに笑われたという。実は極度のあがり症の優斗、「そういうことが一度あると、結構引きずるんだ」と苦笑。何でもできるイメージの優斗でもそういうことがあるんだ、と親近感を覚えるあおい。まだ落ち込んでいる様子の優斗に笑顔を向け、元気づけるあおい。

・夏休みの終わりに、一緒に出かける(デート)。いい雰囲気になる。


 そして、迎えた二学期。
 少し変わったあおい(教室でも笑うようになった、自分を少し出せるようになった)。それを見て、周りの態度も変わり始める。一緒に行動する友達もできる。
 一学期は憂鬱だと思っていた体育祭も楽しめる。

 話し方教室では、優斗とややいい雰囲気になっていた。そんな時。
 あおいはスピーチで自分がキライだという話をする。そうしたら、年配者から優しいブーイング。「ダメだよ、そんなことを言ったら」と。
 優斗からも「自分で自分を好きにならないと、誰にも好きになってもらえないよ」などと言われ、あおいは大ショック。誰にも好きになってもらえない=優斗は自分のことを好きじゃないと理解した。
 一方の優斗は、あおいに発破をかけたつもりだった。あおいならすぐ自分のことを好きになれるだろうし、そうなってほしいという願いをこめて。
 ショックを受けたことによって、あおいははっきりと自分の気持ちを自覚する。優斗のことが好きなんだと。

 しかし、もう9月末。10月に行われる生徒会総選挙まであと少し。優斗はもう残り一回しか話し方教室に来ない。中学に上がれば一緒の学校に通えるけど、それまでまだ半年もある。もう会えないの……?
 あおいはこのままではダメだと自分を好きになる努力をする。「優斗くんだって、選挙に向けてがんばってる。わたしだって!」
 話し方教室の先生に相談したり、できた友達に聞いてみたり。ネット検索したり、本を読んでみたり。外見を変えたり、習慣を変えてみたりいろいろチャレンジする。
 最後に優斗に会える日まであと一週間しかない中、自分ができる最大限の努力をする。

 優斗、最後の話し方教室レッスンの日。優斗はあおいが髪型や服装など変えたことに気づき、褒めてくれる。
 スピーチで優斗はお礼と挨拶を言い、「選挙がんばります」と意気込みを語る。
 あおいは「先週お叱りを受けたのでこの一週間、自分を好きになる努力をしてみました」と報告する。
 帰り道、優斗が今日のあおいのスピーチを褒めてくれる。「そうやって、素直に頑張れるところがあおいちゃんの魅力だと思う。僕もあがり症を克服してがんばろうって思えた」と。
 最後、駅で別れる時、あおいは泣き出してしまう。「このままお別れなんて嫌」と。すると、優斗はあおいの涙を優しく指で拭い、「僕も同じ気持ちだ。次に会う約束をしようか」と微笑む。

 翌年4月、あおいの中学入学式。生徒代表の挨拶を生徒会長である優斗がしている。同じ新入生が「あの先輩、格好良い!」とはしゃいでいる。あおいは心の中で「私の彼氏です」とつぶやく。
 あおいは初日に新しい友だちができる。入学式やホームルームを終えた後、優斗に会いに行く。
「ほんのすこしだけど、自分が好きになりました」

 ◆補足
 あおいが自分を好きになっていく過程と、優斗に惹かれていく過程。2つの軸を大切に描きたい。
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