プロット

文字数 1,598文字

起)
 中学二年生の橋本紬(はしもとつむぐ)のクラスに転校生がやってきた。転校生の名前は小野好実(おのこのみ)。身長は橋本と同じくらいで女子にしては高めの可愛い子。
 担任の女性教師、宮原明音(みやはらあかね)の指示で、唯一クラスで部活動に所属していない橋本が小野に学校を案内することに。放課後、一通り学校を案内し終えた橋本が帰ろうとすると、小野が言う。

「部活入ってないならさ、橋本くん、私と一緒に相談を聞く部活を始めない?」


承)
 小野からの提案を断った橋本。
 これまで通り学校生活を送っていると、昼休み、中庭で学年一のイケメンと噂される木原紘輝(きはらこうき)を見かける。木原は顔立ちや高身長により大人に見えるのだが、この日は地面を蹴ったりと落ち着かず年相応に見える。
 その翌日、橋本は、木原が小野に相談をしているところに出くわしてしまう。
「どうせ(ひま)でしょ?部活には入らないにしても手伝ってよ」
 小野に言われるがまま橋本も木原の話を聞くことに。話を聞くと、どうやら木原が(いや)がらせを受けているらしい。物を()られたりなどはともかく、くつ箱に画鋲(がびょう)はひどい。
 小野の推理により物を盗んだのは、木原のクラスメイトの女子生徒と判明。嫌がらせ目的ではなく、好きでしてしまったらしい。しかし、画鋲を置いたことだけは否定した。そこだけが未解決のまま、別の相談が舞い込んでくる。

 次に相談をしてきたのは、同学年の立花(たちばな)みかんという女子生徒だった。彼女は今回の生徒会選挙に立候補したが、それから嫌がらせが相次ぎ困っているという。
 またしても小野の推理に寄り、犯人は立花の選挙の推薦人(すいせんにん)を務める一年生の男子生徒であったことが判明。男子生徒は去年、生徒会長を務める立花が勉強との両立に苦しんでいたのを知り、それなら辞退させてあげようと嫌がらせをしていた。直接は言えないから嫌がらせをして自主的に辞退を(うなが)す男子生徒の行動を立花は許さず、立候補は継続。立花は無事に生徒会長になった。

転)
 橋本は小野の活躍を(うわさ)として廊下でちらほら聞くようになる。そんな時、生徒会長になった立花がまたしても相談に来る。
 何故か橋本に相談にきた立花は、「木原くんに告白したいから手伝って」と言う。それを偶然、横で聞いていた宮原先生が「青春ね~」と笑いながら通り過ぎる。
 小野に伝えると手伝いにやる気を見せる。しかし橋本は、小野がまだ木原の画鋲の件を解決できずに焦っていたのを知っていた。そんな時、立花みかんが再び嫌がらせを受けてしまう。
 怖くなり連日相談に来る木原と立花に戸惑ってしまう小野を見て、橋本は本気で解決に乗り出す。

 橋本の推理により、木原の靴箱に画鋲を置いたのも、立花に嫌がらせをしたのも、その両方が担任の宮原先生であることが判明する。
 宮原先生は木原紘輝のファンだった。
 木原への嫌がらせは、嫌がらせを受ければ担任である自分に相談をしてくれると思い靴箱に画鋲を置いたと言う。
 立花への嫌がらせは、立花が木原へ告白すると知り腹を立てて行ったと言う。先生がという立場がある以上、告白など到底できない宮原は泣きながら謝った。

 この事実は、木原の意思により公表しないことになる。木原がそう言うので、立花も反対はしなかった。皮肉なことにこの件がきっかけとなり、立花は木原と付き合うことになった。

結)
 小野は自分が気軽に相談部を結成しようとしたことを反省する。
橋本が、
「そもそもどうして相談を受ける部活を作ろうとしたの?」と聞くと 、小野は
「転校ばかりで友達が出来なかったから、相談を受けて寂しさを紛らわしたかったの。相談を受けてる時は、誰とでも友達になれた気がして」と言う。

 その言葉に共感した橋本は、
「まあ仮入部ってことで」と、小野に正式な相談部の結成を持ちかける。

 翌日、二人の元へ生徒が来る。
「ちょっと相談していい?」 
 小野は笑った。

「もちろん!私たちに任せなさい!」

威勢だけはいいその言葉に、橋本も笑った。
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