рёт(ペット)
文字数 446文字
柔らかな日差しが窓辺に差し込む、穏やかな秋の午後だった。昼寝から目を覚ました
「あら、光輝。目が覚めた? バナナでも食べる?」
「ううん、いらない。ママ?」
「ん?」
「ぼくは、ママのこどもじゃないの?」
「どうしたの? 突然」
「だってママ、ぼくみたいに毛むくじゃらじゃないもん」
「えっ?……それは、光輝はパパに似たからよ」
「……ほんとに?」
「ほんとに。パパは病気で亡くなっちゃったから光輝は知らないでしょうけど、光輝みたいに毛深かったのよ」
「……ほんとに?」
「ほんとに。だから、心配しないで。光輝はママの子よ」
「よかった~」
光輝は嬉しそうにピョンとジャンプすると、ママの胸元に抱きついた。
「光輝はママの宝物。ずっとずっと」
ママはそう言って、光輝の頭を
「……ママ」
ハサミで穴を開けたオムツから短いしっぽを出している光輝は膝に乗ると、おでこにキスをした。そして、顔を見つめると、ママのショートボブの毛づくろいを始めた。