Sweetie

文字数 333文字

 いつもふらふらと遊び歩いている彼女が、今夜はいる。ベッドに寝そべって、スマホなんかを見ている。
 ああ、腹が立つ。なんで僕を見ないの? そんな石板に映し出る文字や写真なんて追っても、何にも出てこないよ? それとも、次の集会場の情報でも集めているの? 嫌になる。そんな彼女が嫌になる自分も嫌になる。
 少し動くと、Tシャツがはだけた。僕はいたずら心に背中をぺろり。まるで溶けたチョコレートを舐めるように。彼女は体をくゆらせた。

「やめてよ」

 その声はあまりに冷徹だった。これで終わりなのだろうか。そんな気配がした。

 ――電子音が聞こえた、午前6:30。

 ベッドは、すでにぬくもりさえなかった。猫は出て行ったきり戻っては来なかった。薄情だった僕を許すことはもうないのだろう。
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