第1話
文字数 2,065文字
俺は秦李光一(はたりこういち)、超能力者だ。
超能力と言っても念力とかサイコキネシスみたいな現実の物体を操ったりとかはできない。人の心を読んだり遠くにいる人を見つけたり、目を閉じて少し集中すれば5分後の自分の視界、要するに未来も見えた。これら能力を買われて、現在は警察局特務課で公にできない事案の処理や重鎮の護衛、捜査が難航している事件のサポートを行っていた。
「おっはようございます先輩!」
朝から元気な挨拶をする身長がちっさい女性は熊山金子(くまやまかなこ)。一応彼女も特務課で、俺ととバディを組んでいる。
金子の場合は超能力があるがあるわけでは無いが、筋力が馬鹿みたいにあり、人が乗った状態のベッドを片手で軽々持ち上げる事ができたり出来る。
実際に俺が超能力の使いすぎで寝坊した時、特務課まで運んできたりもした。もちろんベッドごと。
任務を見ている感じ普通車どころか運搬用のトラックも金子には片手で持てるのだ。
そしておまけに一般的な格闘技は履修済みなのだそう。
正直、人類では勝てる気がしない
そんな女版金太郎はスーツ姿で、ヒールの音をコツコツと立てながら近づいてくる。
「おはよう金子」
「はい! おはようです。秦李さん、今日はちゃんと髭を剃ってきたんですね! 偉いです!」
「オカンか!」と突っ込んでみたかったが、金子は天然で思い込みが激しいので下手に言うと勘違いされそうだから言わなかった。
「そうだな、今日は一応外からの依頼だし、身なりぐらいは整えておかないと。」
「……そうですか、一応二人っきりの任務ですからもしかしたら私のためにとか、任務が終わったらディナーにとか、そうゆうのを期待していたんですけど違うんですね。」
やはり、思い込みが激しいな。コイツが落ち込んでいると面倒だ。
「はいはい、いつものように終わったら居酒屋連れてってやるから、パパッと行くぞ!」
金子は少しどんよりしていたが、『居酒屋』と聞いた途端に元の元気な状態に戻った。
「はい! 頑張ります! 金色のジュースで乾杯です!」
「あぁ、今日も仕事やり切るぞ。」
「はい!」
俺たちは意気揚々と特務課を後にした。
最終的に、光一と金子は残業に追われた。
無論、居酒屋には行けなかった。
任務先でトラブルが相次いで発生して、仕事が終わったのが23時。
それでも金子は光一と酒が飲みたいのか「うち来てください! 宅飲みしましょう!」なんてむしゃくしゃしながら言う。が、光一は「酒が入った自分は彼女の家に行って抑えられる気がしない」と思い、行くのを断った。
実際、金子は背が145センチしかないが顔は良いし出るとこは出ていて光一のタイプの女性である。なので、酔った勢いで……と言うのも考えられなくはない。まぁ、彼女の怪力に争う事ができればの話にはなるが。
だが、結果的に見れば光一は宅飲みをするべきだったのだろう。
でなければ彼女に出会うことはなかった。
夜が深くなり誰もいない公園。
光一は帰り道にコンビニで缶チューハイを買って、歩きながら飲んでいた。
アルコールが入った所為で、常に使っている超能力による感知を使っておらず、彼は気づけなかった。
空中から来る、飛行物体に。
「グヘっy」
光一の背中にその飛行物体は直撃。
光一はその衝撃で倒れて酔いが覚めた。
後ろを見ると皇帝ペンギンが転がっている。
光一はそのペンギンに近づき触ってみると、生きている感触が確かめられた。
「陸地なのにペンギ……ん?」
光一は感知能力でもう一つ飛行物体がこちらに飛んでくるのを感知した。
その方に目を向けると、ミサイルのように飛んでくるペンギンの姿が見えた。
「はぁ!?」
意味不明な現象を前に光一は声を荒げた。そしてペンギンミサイルは光一に向かって飛んでくる。
間一髪で避けるが、ペンギンミサイルはUターンして戻ってくる。
「マジのミサイルじゃねーか!」
今度は避けずに、先ほどの皇帝ペンギンを盾に受ける。
飛んできたペンギンミサイルのクチバシが皇帝ペンギンに突き刺さり止まった。
光一は目を瞑り、感知能力の範囲を広げる。
どう考えてもこんなことを出来るのは超能力と踏んだ。
そして、一人の少女を感知した。
少女との距離は50メートル。
光一はペンギンを持ったまま走った。
そして視認した。
夜に溶け込む黒い髪。
『美しい』と表現できる顔立ち。
服はセーラー服を着用している。
身長はあまり高くないが、胸が少しある。
そして特に目を惹くのは「黒」と「緑」のオッドアイ。
街灯に照らされ、宝石の様に輝く瞳に光一は意識を奪われていた。
しかし次の瞬間、少女はネズミ花火の様な物を光一に向かって飛ばした。
「貴様! うちのペンペンとギンギンに何をさせとるのじゃ!」
光一はハッとして、ペンギンを盾にする。
「お前こそ、人に向かってなんでミサイル飛ばしてくんだよ!」
これが『超能力者』秦李光一と、『ミサイル製造人間』飛鷹七海(とびたかななみ)の出会いであった。
超能力と言っても念力とかサイコキネシスみたいな現実の物体を操ったりとかはできない。人の心を読んだり遠くにいる人を見つけたり、目を閉じて少し集中すれば5分後の自分の視界、要するに未来も見えた。これら能力を買われて、現在は警察局特務課で公にできない事案の処理や重鎮の護衛、捜査が難航している事件のサポートを行っていた。
「おっはようございます先輩!」
朝から元気な挨拶をする身長がちっさい女性は熊山金子(くまやまかなこ)。一応彼女も特務課で、俺ととバディを組んでいる。
金子の場合は超能力があるがあるわけでは無いが、筋力が馬鹿みたいにあり、人が乗った状態のベッドを片手で軽々持ち上げる事ができたり出来る。
実際に俺が超能力の使いすぎで寝坊した時、特務課まで運んできたりもした。もちろんベッドごと。
任務を見ている感じ普通車どころか運搬用のトラックも金子には片手で持てるのだ。
そしておまけに一般的な格闘技は履修済みなのだそう。
正直、人類では勝てる気がしない
そんな女版金太郎はスーツ姿で、ヒールの音をコツコツと立てながら近づいてくる。
「おはよう金子」
「はい! おはようです。秦李さん、今日はちゃんと髭を剃ってきたんですね! 偉いです!」
「オカンか!」と突っ込んでみたかったが、金子は天然で思い込みが激しいので下手に言うと勘違いされそうだから言わなかった。
「そうだな、今日は一応外からの依頼だし、身なりぐらいは整えておかないと。」
「……そうですか、一応二人っきりの任務ですからもしかしたら私のためにとか、任務が終わったらディナーにとか、そうゆうのを期待していたんですけど違うんですね。」
やはり、思い込みが激しいな。コイツが落ち込んでいると面倒だ。
「はいはい、いつものように終わったら居酒屋連れてってやるから、パパッと行くぞ!」
金子は少しどんよりしていたが、『居酒屋』と聞いた途端に元の元気な状態に戻った。
「はい! 頑張ります! 金色のジュースで乾杯です!」
「あぁ、今日も仕事やり切るぞ。」
「はい!」
俺たちは意気揚々と特務課を後にした。
最終的に、光一と金子は残業に追われた。
無論、居酒屋には行けなかった。
任務先でトラブルが相次いで発生して、仕事が終わったのが23時。
それでも金子は光一と酒が飲みたいのか「うち来てください! 宅飲みしましょう!」なんてむしゃくしゃしながら言う。が、光一は「酒が入った自分は彼女の家に行って抑えられる気がしない」と思い、行くのを断った。
実際、金子は背が145センチしかないが顔は良いし出るとこは出ていて光一のタイプの女性である。なので、酔った勢いで……と言うのも考えられなくはない。まぁ、彼女の怪力に争う事ができればの話にはなるが。
だが、結果的に見れば光一は宅飲みをするべきだったのだろう。
でなければ彼女に出会うことはなかった。
夜が深くなり誰もいない公園。
光一は帰り道にコンビニで缶チューハイを買って、歩きながら飲んでいた。
アルコールが入った所為で、常に使っている超能力による感知を使っておらず、彼は気づけなかった。
空中から来る、飛行物体に。
「グヘっy」
光一の背中にその飛行物体は直撃。
光一はその衝撃で倒れて酔いが覚めた。
後ろを見ると皇帝ペンギンが転がっている。
光一はそのペンギンに近づき触ってみると、生きている感触が確かめられた。
「陸地なのにペンギ……ん?」
光一は感知能力でもう一つ飛行物体がこちらに飛んでくるのを感知した。
その方に目を向けると、ミサイルのように飛んでくるペンギンの姿が見えた。
「はぁ!?」
意味不明な現象を前に光一は声を荒げた。そしてペンギンミサイルは光一に向かって飛んでくる。
間一髪で避けるが、ペンギンミサイルはUターンして戻ってくる。
「マジのミサイルじゃねーか!」
今度は避けずに、先ほどの皇帝ペンギンを盾に受ける。
飛んできたペンギンミサイルのクチバシが皇帝ペンギンに突き刺さり止まった。
光一は目を瞑り、感知能力の範囲を広げる。
どう考えてもこんなことを出来るのは超能力と踏んだ。
そして、一人の少女を感知した。
少女との距離は50メートル。
光一はペンギンを持ったまま走った。
そして視認した。
夜に溶け込む黒い髪。
『美しい』と表現できる顔立ち。
服はセーラー服を着用している。
身長はあまり高くないが、胸が少しある。
そして特に目を惹くのは「黒」と「緑」のオッドアイ。
街灯に照らされ、宝石の様に輝く瞳に光一は意識を奪われていた。
しかし次の瞬間、少女はネズミ花火の様な物を光一に向かって飛ばした。
「貴様! うちのペンペンとギンギンに何をさせとるのじゃ!」
光一はハッとして、ペンギンを盾にする。
「お前こそ、人に向かってなんでミサイル飛ばしてくんだよ!」
これが『超能力者』秦李光一と、『ミサイル製造人間』飛鷹七海(とびたかななみ)の出会いであった。