第一話 目

文字数 532文字

YouTubeで動画を検索すると、必ずある動画のサムネが目についた。

それは暗闇の中に浮かぶ、人間の二つの目。

それを見たらゾクッとしたが、なぜか既視感を覚えた。

どこかで見たことがある。
どこだっけ……。

思い出せまま、私はまたYouTubeで見たい動画を探しているんだけど、スクロールすると、必ずその目の動画にたどり着く。

タイトルはない。
ただ二つの目が私を見ている。

どんな内容なんだろう。
再生回数は1万。

けっこう再生されてるんだ……。
みんな観てるなら、大丈夫だよね。

私は軽い気持ちで動画を再生した。
すると、写ったのはどこかのマンションの玄関のドアだった。

なんだか見たことがあるドアだな……。
ここから誰かが出てくるのだろうか?

私はドアが開くのを待った。
しかし待てども待てども、何も起こらない。

「はあ……なんなの? もう五分経つけど、何も起こらないんだけど」

私は無駄な時間を過ごしてしまったと、動画を消そうとした、その時ーーー。

ピンポーン

玄関のインターホンが鳴った。
ビクッとしながらも、壁に取り付けてあるモニターを見ると、

「ひっ……!!」

そこには二つの目があった。

あの動画の目だ。

そうだ、なぜ気づかなかったんだろう……あの玄関のドアはうちの……。

私はあの目を何度も見ている。






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