第1話

文字数 735文字

(起)
 中学受験に失敗したマミは、思春期となった事もあって荒み、思い遣りを持つ事を忘れてしまう。そして、成績も徐々に悪くなっていた。そのため、家族との喧嘩も増えて、その日も母と喧嘩して、「ママなんて嫌い」と言い残して家を飛び出した。それを理由に心にモヤモヤを抱えていたところ、母は脳梗塞で死んでしまう。
(承)
 父と二人での生活に不安が募る中、葬儀の日の夜中、人の心を持っていない厳しい父が一人泣く姿を見て、父も人の心があると知る。それから、マミは嫌々ながらも、二人で協力して生活を営もうとする。数日のコンビニ飯生活の後、自炊に挑戦する。洗濯をする。掃除をする。時間が経過する中で、カビの生えた洗面所や、廊下の頭上に張った蜘蛛の巣を見て、母の有り難さを痛感していき、「ママに会いたい」という思いを強くしていく。
(転)
 月命日の日、母方の祖父母が訪れる。白髪を染めず、痩せこけた祖母の姿にショックを受けるも、祖母はそんな自分よりもマミを心配して、「そんな無理しないで」と抱き締める。祖母の中に母を感じて、マミは号泣する。同時に、他人を思い遣る気持ちを思い出す。
 祖母が作ってくれたシフォンケーキを食べて、小学生の頃に母と一緒にシフォンケーキを作った事を思い出す。祖母のとは味が少し違っており、それを再現するために記憶を辿り、何度も何度も母との思い出のシフォンケーキを作ろうとする。
(結)
 一年後の母の命日の日、マミは自慢のシフォンケーキを持って一周忌に行く。一周忌で集った親族達の接遇に心を砕き、親族からも褒められて嬉しくなる。その後、父を筆頭に、両家の祖父母が母の眠る墓の前に集まり、みんな思い思いの顔をして、マミの作った思い出のシフォンケーキを泣きながら食べるのだった。
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