第1話 聖女判定おかしいんじゃない?
文字数 1,172文字
私は人と違っている。
小さいときから、そう思っていた。
お父さんは朝早くから出かける冴えないサラリーマン。
お母さんはスーパーのレジ打ち係のおばさん。
そして私、メガネをかけた根暗な高校二年生。
だけど、それは仮の姿だと思っていた。
お父さんもお母さんも私には言わないけど、私は本当の子じゃない。
ある雪の日に、私は拾われた。
綺麗な布に包まれ、籠の中に入っていたに違いない。
私は眼鏡をかけて地味を装っているけど、本当は特別な女の子。
いつか、誰かが迎えにくるはずなの。
二週間前。
そう、私は確かに迎えにきてもらった。
いや、正確に言うなら、この世界に召喚してもらった。
神の信託により、別の世界から呼ばれる聖女。
それは私のはずだった。
だけど聖女として召喚されたのは、二人。
そして、私は違うと言われた。
理由は先代の聖女に彼女がよく似て美しかったってこと。
それだけ。
それだけなのよ。
そんなのあり?
そんなバカな理由で聖女を決めていいの?
色々文句をつけたけど、決定は覆らず、私は聖女じゃないと言われた。
ケチをつけたお咎めもなく、とりあえず、誤って連れてきてしまったからとかで、丁重な扱いはされている。
監視役として、常にこの男が私に張り付いている。
この男。
中性的に美しいとか、そういうタイプじゃない。
単細胞、肉体労働のむちむち派で、目つきも悪い。
聖女を守る騎士達とは大違いだ。
一応彼も騎士らしいけどね。
なんで、私が聖女じゃないって決めつけるの?
選ばれた理由が先代に似て美しいからとか。
差別じゃん。
あの子がなんか力あるの?
見せた?
そりゃ、私も何も見せてないわよ。でも顔だけで決めるのおかしくない?
名を呼ばれた。
くうう。
筋肉だるまに名前を呼ばれてどきっとしてしまった。
不覚。
また呼ばれた。
私は真っ赤になった顔を見られたくなくて、足早に部屋に戻ることにした。