文字数 335文字

 両親は既にいない。
 妹だけが僕の家族なんだ。
 身を寄せ合うように生きてきた。
 その妹が入院して……
 あんなに元気だった妹が、病に倒れるなんて。
 僕は面会も許されずに、
 ──妹は……
 ──妹は……
 ──最愛の妹が……
 ──たったひとりの僕の肉親が……
「火葬されて戻って来たんだよ!」
 突然の仕打ちに、僕は茫然自失だった。
 ひとりっきりで旅立った妹。
 看取ってやることもできなかったんだ。
 小さくなった遺骨を胸に抱き締めて泣いたよ。
 涙は留まることを知らなかった。
 未来を絶たれた妹を思うと、
 ──悔しくて……悔しくて……
 ──情けなくて……情けなくて……
 この怒りと悲しみと憎しみ。
 何処にぶつけたらいいのさ。
「神も仏も無いじゃないか!」

「もうひとりぼっちは御免だよ!」
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