第1話

文字数 1,776文字

 きょうは、たのしい、たのしいなつやすみ。
 ぱぱとままとわたしで、うみにおでかけにいくことになりました。
「わ~、すごい!!」
 きらきらひかるたいように、あおいそらとうみ。
 さらさらのしろいすなはま。
 そして、ななちゃんのてには、まるまるおおきなすいかがありました。
「ちょっと、ぱぱとままはおひるごはんをかいにいってくるよ。ななちゃん。すいかをたのんだわよ?」
「はーい」
 ななちゃんはすいかをなでながら、だいじにまもっています。
「ぐへへっ、おいしそうなすいかじゃないか?」
「だれ?」
 ななちゃんがうみのほうこうをよくみると、「なみのおばけ」がよだれをたらしながら、すいかとななちゃんをみています。
「わーーーっ」
 ななちゃんはびっくりしました。
「そのすいかをおくれ。じゃないと、おまえごとたべちゃうぞ!!」
 なみのおばけがいまにもおそいかかりそうになっています。
「それはだめ。ぱぱとままにまかせれたんだもん」
 ななちゃんはすいかをしっかりりょうてでかかえます。
「ぐぬぬっ。じゃあ、げーむしないか?おれがかったらそのすいかをよこせ」
 ちょっとおもしろそうだとおもったななちゃんはいいました。
「じゃあ、わたしがかったら?」
 なみのおばけも、のりのりでこたえます。
「おじょうちゃんにすてきなものをぷれぜんとしてやるよ」
「じゃあ、やる」
 ななちゃんはすぐにこたえました。

「これはなに?」
 ななちゃんはなみのおばけから、しろいたおると、きのぼうをもらいました。
「『すいかわり』をしらないのか、おじょうちゃんは?」
 なみのおばけはあきれたようにななちゃんをみます。
「すいかわり?」
 ななちゃんはつづけてたずねます。
「すいかわりってのはな、そのタオルでめをかくして、じゅっかいまわって、すいかをたたいてわるげーむなんだ。あてれば、おじょうちゃんのかち、はずれたらおれのかち。わかったかい?」
「うーん、わかった」
 ななちゃんはじぶんでめかくしをして、じゅっかいまわりました。
「いーち、にー、さーん・・・・・・きゅー、じゅーうっと」
 ななちゃんはふらふらしながら、すいかのほうにむかおうとしますがまっくらです。
「おっと、もっとみぎだぞ、みぎ」
 なみのおばけのはなしかたは、なんだかあやしいです。
「うーん、わかんないよー。まま、ぱぱー」
 こまっていると、やさしいこえがきこえてきます。
「ななちゃん、もっとひだりにあるけば、すいかがあるよ」
「あなたは・・・だれ?」
 ななちゃんがたずねると、そのこえのぬしはこたえます。
「ぼくは『いるか』だよ、がんばってななちゃん」
「ありがとう、いるかさん!」
 いるかさんに言われたとおりに左に歩いていくと、いるかさんがこえをかけてくれます。
「いまだ、そこでたたくんだ」
「いかん、いかんぞ!!もっとみぎだ!!!」
 おこったこえのなみのおばけのこえがきこえますが、ななちゃんはまよいません。
「えーーーい!!」
 ぱかっ。
「そんな、ばかな~」
 くやしがるなみのおばけのこえがきこえて、ななちゃんはゆっくりと、めかくししたたおるをとりはずします。すると、すいかはきれいにわれて、おいしそうなまっかななかみがみえていました。
「やったー、せいこうだ」
 ななちゃんはおおよろこび、それをみているかさんもよろこびます。
「やったね、ななちゃん」
 なみのおばけはくやしがります。
「ぐぬぬぬぬっ、くやしいよ~、。すいかがたべたいよ~」
 やさしいななちゃんはそれをきいて、いいました。
「じゃあ、みんなでたべよ」

「あっ、ぱぱとままだ。おーいっ」
 ななちゃんがこえをかけると、たくさんのやきそばや、やきとうもろこしをもったぱぱとままがかえってきました。ままがぱぱにおどろきながらいいます。
「あれみて!あなた!」
 ぱぱもおどろきます。
「わっ、すごいや!」
「がはははっ。うまい、うまいぞ。ななちゃん」 
 それもそのはず、なみのおばけがうれしそうにすいかをたべて、そのうれしなみだで、きれいなにじをつくり、そのなみのうえをいるかにのったななちゃんがたのしそうにとんでいたからです。
「これ、なみのおばけさんにもらったの!」
 ななちゃんのくびにはすてきなぴんくのかいがらでつくったくびかざりがありました。
 こうして、ななちゃんはすてきななつやすみのおもいでをつくりました。
 おしまい。


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