朝顔日記

　花魁朝顔が浅草から電車に乗っているときだった。
コロナなのに通勤ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ、フラッシュであったのだ。
押すな、押すな、触るな、押すな！　そんな満員電車に乗っている時であった 。
　
＜どなたでありんしょう？　＞
＜わっちのお尻を触ってありんすのはどなたでありんしょう？　＞　

朝顔の後ろに若い男？　

＜えっ！　　もう一回いいんすよ。　触りんせんでくんなましな。 ＞
朝顔は心のなかで言った。

それでもまだ触る、揺れにまかしてまだまだ触る。

＜これがおしまいでありんす。　触りんせんで、声をあげんすよ。　＞
＜触るな！　＞

朝顔は電車が揺れたとき咄嗟に振り返ったのです。

＜返り討ち、返り討ちでありんすぇ。　＞
＜えっ、えっ、なんでありんしょう。　＞

「ごめんなさい。　」若い男が手に持っていた通勤鞄が謝りました。

なんと朝顔のお尻を触っていたのは彼の通勤鞄。

＜世界一助平な鞄でありんした。　＞