第1話

文字数 1,035文字

プロット

起) 中学校でのいじめに耐え切れず、横断歩道から飛び降りた一年生の神崎ひなの。しかしそこに明るい笛の音がして、気付くと森の中で踊りの輪の中にいた。「ここはパコの森」と不思議な少年パコとのら、ひいらぎ、とんぼ、しらぎくと名乗る子供達に歓迎されるひなの。ここでは小さい子から大きい子までが一緒に、それぞれ役割をもって深い森の中の神社で暮らしていた。そんな仲間との生活に心癒されていくひなの。

承) ある日、新しくこの森に小さな新入り、つくしがやってきた。パコはつくしをこの森のご神木のところに連れて行き、つくしの過去の辛い記憶を吸い取ってもらっていた。それを陰で見ていたひなのにパコは言う。「ここにいる子供達は皆、生きる事をあきらめるしかなかった子供達なんだ」と。「でもひなのはまだ、自分の名前を覚えてる。まだ戻る事が出来る。生きるべきだ」と。その状態でここに居られる期限は一年だとパコは言う。でもここには温かい仲間がいる。戻れば又学校に行かなければならない。悩むひなの。そんなある日新たにこの森にやってきたのは、ひなのをいじめていた張本人の天音まりこだった。まりこも又、自分の名前も過去も覚えていた。勿論ひなのの事も。そこで初めてひなのは、まりこにも死にたいほどの事情があっていじめに走っていたのだと知る。

転) しかし名前を覚えている二人が揃ってしまった事で、パコの森に異変が起きた。ご神木が暴走して子供達の辛い過去の記憶を吐き出しはじめ、森の仲間達は大混乱に陥る。子供達は辛い記憶に取りつかれ苦しむ。そんな中パコの過去を見てしまうひなの。パコ自身、ひなのと同じように自分の名前を覚えている状態でここに来たが、ここに居る事を選んでしまい後悔していたのだった。だからこそパコは「生きるべき」とひなのに言ったのだ。ひなのは森の仲間達を救うため、まりこを説得し、一緒に現実世界に戻る事を決意する。そしてパコはご神木を鎮めるため命がけで一人ご神木の中に入って行く。

結) 二人の想いが通じ、森は静けさを取り戻し、子供達は又平和な生活に戻った。しかしそこにパコの姿はなかった。現実の世界に戻ったひなのは病院のベッドで目を覚ます。長い夢を見ていたような気がするが、思い出せない。誰かの声が「生きろ」と言い続けていた。強く。ひなのはその声を心にとどめ、しばらくすると久しぶりの学校へ行く。すると何故か懐かしい笑顔がそこにあった。心の中の声が呼応する。ひなのは一瞬、森の空気を感じる。
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