「幽霊屋敷のかくれんぼ」プロット

文字数 862文字

起)中学卒業後の春休み。上郷七珈(かみごうななか)は母と五歳の妹の3人で、本家所有の屋敷へ引っ越した。本家の戸主・サワコ曰く、この家は元々「離れ」で、使用人の住居だったという。
しかし六十八年前に火災があり、この「離れ」とつながっていた「母屋」は火事で焼けていた。
 通称「上郷邸」と呼ばれているこの家は、近所で「幽霊屋敷」と噂されていた。この家に越してきた家族は、必ず何らかの不都合を被り、短期間で退去してしまうらしい。

承)今は「離れ」しかないはずのこの家に、「母屋」の主である赤い服の少女が現れた。妹の仁湖(にこ)とそっくりな幽霊の彼女は「ニナコ」と名乗り、七珈が上郷家の養子であることと、実の娘の仁湖を妬んでいることを見抜く。
「よそ者」な自分に劣等感のある七珈は、捨てられまいと必死でいい子を演じていたのだ。仁湖が生まれてからずっと、七珈は自傷行為で自らを罰していた。
 一方、伸びやかな仁湖は持ち物を「こうかんこ」するのが趣味で、それを咎められないことに七珈の不満は募る。 

転)そんな七珈の目前で、仁湖を「母屋」へ連れ去るニナコ。「母屋」は子どもしか入ることができず、七珈は一人で仁湖を助け、「母屋」から脱出した。
 ところが、助けた少女は服を「こうかんこ」したニナコだった。泣き叫ぶ本物の妹を閉じ込めてしまった事実に絶望する七珈だったが、母に助けられ、自傷行為と決別する。
 火事で行方不明となったニナコは、六十八年間ずっとかくれんぼを続けていた。「母屋」とニナコが現れるのは、彼岸まで。あと二日で仁湖を救う必要がある。七珈はその為に、ニナコの未練である、彼女の姉と元侍女・アカリを捜す。

結)姉はサワコだとすぐ分かったが、噂好きの隣人から情報を掴み、侍女はサワコの隣人・アヤノということが判明した。彼女らを説得してニナコに会わせ、その未練を晴らした七珈。仁湖を奪還し、妹が大切な家族であることを実感した。
 一方のサワコは、ニナコとアヤノと共に、「母屋」で暮らす道を選んだ。時の流れない「母屋」で少女時代に戻ったサワコたちは、かくれんぼの続きを行った。

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