第1話 付箋
文字数 445文字
「それがお前の本質だと思った。」
あの言葉、忘れません。
無地の青い付箋にたった二行。誰にも読まれないまま私の拳のなかでぐしゃりと音を立てた付箋になんの罪もない。ビニール封筒や紙切れで8割がた埋っているゴミ箱に私の付箋が色をつけた。まるでモノクロ写真にポイントカラーをいれたように。
私は何をしているんだろう。
3年勤めた会社をやめた。次に行く宛もない。無所属の不安と自分への失望。一生の仕事と思っていた3年前。なにを間違えたのか未だに理解できずにいる。
3年目の5月。上司から言われた言葉が私は許せないでいる。
伝わらない言葉は必要ないと悟った。
あれから全くペンを握らなくなった。仕事をやめて文字を書く必要が無くなったからだ。こうやってたくさんの言葉を忘れていくんだと実感した。あの時の、最後の手紙があんな紙切れ一枚になるとは思いもよらなかった。虚しさをいっぱいに込めた手紙は誰にも読まれないまま捨てられたのだろう。
次に書く手紙は、どうか誰かに届きますように。
あの言葉、忘れません。
無地の青い付箋にたった二行。誰にも読まれないまま私の拳のなかでぐしゃりと音を立てた付箋になんの罪もない。ビニール封筒や紙切れで8割がた埋っているゴミ箱に私の付箋が色をつけた。まるでモノクロ写真にポイントカラーをいれたように。
私は何をしているんだろう。
3年勤めた会社をやめた。次に行く宛もない。無所属の不安と自分への失望。一生の仕事と思っていた3年前。なにを間違えたのか未だに理解できずにいる。
3年目の5月。上司から言われた言葉が私は許せないでいる。
伝わらない言葉は必要ないと悟った。
あれから全くペンを握らなくなった。仕事をやめて文字を書く必要が無くなったからだ。こうやってたくさんの言葉を忘れていくんだと実感した。あの時の、最後の手紙があんな紙切れ一枚になるとは思いもよらなかった。虚しさをいっぱいに込めた手紙は誰にも読まれないまま捨てられたのだろう。
次に書く手紙は、どうか誰かに届きますように。