夜の梅雨

文字数 276文字

夜は三角柱だ
それらは観察することによって
更に明確になる

だから鼠は追いかける
どこまでも続く線路の上を
風を左右に切りながら

その音は
ホトトギスのように鳴いて
私は私を淘汰する

背中に感じる空気
その圧が強ければ強いほど
私はいつも悲しくなる

それは近い将来
思い出となって
私が吸い込むはずの空気になるのだから

遠くに行く自転車よ
君はまたひとつ
不可能を可能にした

瑞々しい季節に
晩柑の果汁を想像して
明日もきっと雨が降る

それはカラスの雨だ
手の甲で指示を出す高台の
前髪にその身を隠して

夜の下に
落とし穴を掘って
君の写真を忘れないように

辺りを見回す犬
走り出す飼い主
もうすぐ梅雨が明ける
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