深夜のフレンチトースト

文字数 469文字

 二十四時五十分。
 どうやっても眠れない。
 私は布団をはぎ取った。
 明日は休職してから初めての出勤日なのに。
 
 新卒で入った会社はとても忙しいところだった。
 私は、いつの間にか笑えなくなっていた。
 五月病という奴だ。
 そして周りに勧められ、診断書をもらい、休職の身になった。

 二週間の休職は、眠ったり読書をしたりして、あっという間に過ぎた。
 明日からまた、頑張らなければ。
 なのに。
 
 ゆううつな気分でスマホを手に取る。
 ふと、おすすめにフレンチトーストの動画が流れていた。
 おなかすいたなあ、明日仕事、行きたくないなあ。
 暗い部屋の中で、私の考えは続いた。

 なにか面白いことないかな、おなかすいたなあ。あ、猫の鳴き声。
 本当におなかすいたなあ、はやく眠らないと。

 思わず心の中で苦笑いをする。
 本当に、おなかがすいてるんだなあ、私。
 おなかがすくのは一生懸命生きてる証拠って、昔どこかで読んだっけ。
 
 これからも頑張る私に、明日の朝ごはんはフレンチトーストにしようかなあ。
 そんなことを考えながら、私はもう一度布団にくるまった。
 
 
 
 
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