第1話 プロット

文字数 1,110文字


アニメや漫画が大好きな小学三年生のユウカ。特に一番好きなのは、巨大なモンスターに誘拐されたお姫様を、主人公の勇者が助けるために冒険するアニメ『リプレイ』。
ある日ユウカが目覚めると、『リプレイ』の世界で主人公・ヒイロの友人になっていた。


『リプレイ』の世界を楽しんでいたユウカだったが、おかしな事が起こった。主人公・ヒイロの目の前でお姫様が攫われるシーン。アニメ通りならヒイロが剣をとって立ち上がるはずが、なぜかヒイロはやる気のない態度。「ヒーロー役なのに!このままではお話が始まらないじゃない!」ユウカはアニメ通りの展開になるように奔走する。ユウカの説得のおかげか、ようやくヒイロは勇者として旅立つことになったが、ユウカも共に冒険に連れて行かれることになる。アニメの情報通りに新しい仲間も引き入れ、迷いなく進むユウカは「進むべき道を照らす魔導師」という扱いを受ける。しかし、その実情は「どうせヒイロは主人公。他の仲間達だって、アニメでも死んじゃうことなかったから」と何処か他人事のように考えていただけだった。




一行はユウカの先導のもと冒険していくが、アニメでは登場したことのない敵が現れ、ユウカを庇った仲間が攻撃を受け左目を失ってしまった。その場は何とか乗り切ったが、仲間の目は回復魔法でも治癒できず、ユウカの心に不安を落とした。「どうして、こんな展開知らないわ」
そしてとうとうアニメで放送された地点まで到達してしまった。これ以降の進むべき方向も、話の展開も、敵も、なにも知らないユウカは困惑、不安、恐怖、様々な感情に襲われる。そんな時にまた新しい敵が現れる。ユウカの知識を頼ろうとするヒイロや仲間たちの期待に応えられず、ユウカは更に落ち込んでしまい仲間を抜けようと考える。ヒイロ以外の仲間達はユウカを慰めるもユウカの心は晴れないままであった。それでも一行は、周りの助けを借りながら旅を続けていた。
そしてとうとう巨大モンスターと対峙することになる。今までの敵とは比べものにならない強さに倒れていく仲間達。ユウカは仲間を介抱しながら、必死に自分に出来ることを探す。「アニメのキャラクターじゃない。みんな、私と同じ様に生きてる。何とかしなきゃ!」


ユウカが現状分析、過去の経験から巨大モンスターの弱点を見つけたお陰で、ヒイロは遂に敵を倒すことができた。
お姫様を無事に連れ帰ったユウカたちは、ヒイロを筆頭に英雄になった。
傷だらけの姿で、照れるように笑い合う仲間の姿を見たユウカは「みんな、ごめんなさい。私、先見の明や魔法の力なんてなにも持っていないの」と素直に伝えた。
「知ってたよ」ヒイロはそう言ってニッコリと笑った。



おわり
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