第1話 愛と平和

文字数 534文字

 はあ、ミジンコの私にとっては、この世界はひどく恐ろしい世界だ。ユーラシア大陸を治める長よ、おまえには、愛の衝撃が足りていない。

 わ、先ずは、周りのいきものがデカい。私は、いつも食べられないように、逃げ廻っている。私の心は一欠片(ひとかけら)も戦いたくないのに。戦いを何故か挑まれて、私を食べようと、襲ってくる。

 こんなにも、誠意を持って、生きていてごめんなさい、存在してごめんなさい、と、謝罪をしているのに。あとは、死ぬしか無いのだろう。追いかけられ、逃げては、狙われて、身を隠せば物陰から吸い込まれる。七転八倒、四面楚歌、無間地獄。悲しい出来事の後に、たたみかけるように苦しい出来事が起きてくる。涙はもう、とうに枯れてしまっている。それから声も言葉も失った。何故、神様は私をお創りになられたのだろう?あ、そっか、魚達は私を食べないと生きてはいけない。弱肉強食、弱い者が死んで、強いものが生き延びる。しかし、強いものもやがて死ぬのか……早いか遅いかの違いなだけ……だとすると、この世界は何で出来ているのだろう?敵じゃないし、悪魔はおこ、熾天使は、セラフィムやケルビムが、偽ディオニュソースによりて実証済み、済、なんですね。ありがたや、ありがたや。よきかな、善きかな。
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