あまりに馬鹿馬鹿しい理由によるネットインフラへのテロ攻撃

文字数 1,009文字

「あの……この金額って、全世界分の放映権料ですよね?」
「いえ、あくまで先進国1つ分だけですが……」
 ネッ×××ックスの代表は、唖然とした顔になった。
「まさか……この他に香港の分も出せなんて言いませんよね?」
「何を言ってるんですか? その『まさか』ですが……あくまで、それは、中国本土分の放映権料です。あ、中国本土と香港以外にも生配信するつもりなら、その分も追加で頂戴します」
 今度は、中国の動画配信サービス上位5社の代表達がポカ〜ンとする番だった。
「あんた達といい、I○Cといい、何を考えてんだ?」


「あんた達が放映権料を吊り上げたせいで、既存のTV局が放映権料を払えなくなったから、我々が出て来たのに……またしてもボッタくる気か?」
「やれれや、お好きなように……例え皆さんに配信していただかなくとも、我々の大会は人気コンテンツですよ。他に買い手は現われるに決ってるでしょ」
 さる球技の世界連盟の理事は、翌年に控えた世界大会の配信を申し出てきた、世界各国の動画配信サービスの代表者達に、傲然とそう告げた。

「あの……まだ、どこも放映権を買うと言ってる所が無いんですが……」
「何を言ってるんだ? その内、泣き付いてくるに決ってる。その時は……放映権料を倍にしろ」
「えっと……やり過ぎでは?」
「我々を舐めた事を後悔させてやらねば、奴らは付け上が……」
 その時……。
「理事、大変です。TVを……いや、ネットのニュースでもいいですが……」
「どうした?」
『世界各国の動画配信サービス各社が共同で、オ○ン○ックやF**Aワールドカップなどに代るスポーツの世界大会の開催を行なう事が決りました。なお、試合の模様は、無料で生配信を行ない、世界各国の地上波・衛星・ケーブルを問わない既存のTV局に無料で動画を提供するとの事です』
「あ……あいつら……。おい、I○C会長のフォン・ボッタクル男爵と緊急会談だ。すぐに手配しろ」



 そして、このニュースが流れた直後、国際的なスポーツ大会の主催団体は、世界各国のインターネットインフラへのテロを開始し……そして、ロクデモない理由で始まった全く新しいタイプの戦争は、開始から十年が過ぎた今でも終息の目処は見えていない。
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