プロット

文字数 1,400文字

起)
超少子高齢化した現在、孤独死や自殺が蔓延していた。特に死亡者が多い東京近郊では、一定時間放置された死体が瘴気を取り込み、キョンシーとして動き出すことが社会問題となっていた。中学一年生・中野シンヤと友人・真鍋ユウトは野良キョンシーがビルの隙間に挟まっているのを見つける。「野良を見るのは初めてだ」「札があれば操れるらしい」
本来、親に相談し警察に引き渡さなければいけない。彼らは好奇心から内緒で専用のお札を取り寄せ、貼り付けることで操ることに成功する。

承)
二人は野良キョンシーをキョンと名付け、曲芸をさせたり、言葉を覚えさせたりして遊ぶようになる。遊びはどんどんエスカレートする。キョンをカバンに入るように無理やり縮めたり、耐久度を試すために燃やしたり指を切ったりと傷付けるようになる。
中野シンヤは虚ろな目をしたキョンを見て自分たちのしてきたことに後悔し始めるも、告白後にどんな制裁が待っているかと思うとなかなか言い出せず問題を先のばしにしてしまうのであった。
キョンを用いた遊びはマンネリ化してきた。そんなある日、真鍋ユウトは新たな遊びを提案してきた。「貼り付けている札を剝がせば元の野良に戻るだろ。じゃあ札を少し切ったらどうなるんだろうな」「札の効力が失われるんじゃないか?もしくは切り離した量によって効力が弱まってくとか」
「どうなるか気にならない?」

転)
不安が残るも好奇心には勝てない。
拘束や新たな札など準備を万全にして実験をすることにした。
縦14cmある札を1cmずつ切っていく。残り13cm、変化はない。12cmから9cmまでも同様に変化はなかった。残り8cmとなったところで発声するようになった。
「コ…ワタ…コ…」二人に緊張が走る。
「どうする…?もう1cm…いっちゃう」「7cmちょうど半分。どうなるんだろう」
二人は顔を合わせ頷く。ハサミの切った音がする。
キョンは言葉を発した。「ここは?君たちは?」二人は驚愕する。
これまで言葉を覚えさせようとしても復唱のみで能動的に言葉を発することはなかった。
ところが今キョンには自我があり自ら考えて喋っているようだ
「僕たちは偶然あなたがキョンシーになっているのを見つけました」
これはすごい発見だ。肉体の状態はともかく、これは復活なのではないだろうか。
世紀の発見をしたと二人の質問に熱が入る「あなたは誰ですか?」
「私は…思い出せない。ところでこの手足、締め付けられて痛いんだ。」
「解いてくれないかな」
不安がありつつも拘束を解くことになった。このあとどうするか三人で話し合うことに。

結)
世紀の発見だと熱弁する中学生二人に対して、キョンは札を剥がして野良キョンシーに戻し、警察に通報してほしいとお願いする。
「記憶はないがキョンシーになる前に私の人生は終わったんだ。もうそっとしておいてほしい」「でも」「この欠損した指や火傷は君たちがつけたものじゃないのかい?いうことを聞かないと君たちのしたことも話さないといけない。さあ、私のことを想って眠らせておくれ」
二人は再びキョンを拘束して札を剥がす。彼は野良キョンシーに戻ってしまった。
二人は警察に通報し引き渡した。「俺たちはキョンを殺したことになるのかな」
「キョンシーは死体だろ。でも…残酷なことしちゃったな」「うん」
「キョンのお墓参り行こう。行って謝ろう」「うん」
キョンシーからの復活事例は未だ報道されていない。
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