第1話

文字数 789文字

「東大はD判定か…」

俺は1月13日、14日の大学入試共通テストの結果判定を家で何度も確認し2次試験の願書をどこに出そうか思案していた。

第一志望の東大は前期しか試験がない。第二志望で判定がBの東北大は前期後期ともに試験があるが、後期は倍率が高く実質受からないため後期は第三志望の千葉大にすることになる。共通テスト利用で早稲田の合格は勝ち取っているが国立大学志望の俺は前期の出願をどこにするか迷っていた。

「友達の隼人くんは野球やるために東大1本にするんでしょ?あなたも東大受けてみたら?」

と母親は言っていた。

友達の隼人は7月まで野球部で甲子園を目指して活動しており受験勉強の開始が8月からと遅かったが、驚異的な体力と集中力で偏差値を伸ばし俺と同じD判定までこぎ着けたやつだ。

「あいつはいいよ。東大入ってプロ野球選手になる目標があるから。俺は浪人したくないし、かといって共通テスト利用の大学に行く気はない。」

結局、2月2日の出願期間ギリギリまで悩んだ俺は、前期試験を第二志望の東北大、後期試験を第三志望の千葉大にして出願した。

前期試験を2週間ほどの対策しかせずに挑んだ俺はまるで入試に対応できず不合格となり、後期試験にまわることとなったのだが、そこでも早稲田に合格をもらっているのでモチベーションが上がらず不合格となった。

高校の卒業式のとき隼人にあって話をした。

隼人は東大に合格していた。

「受からないかもしれないのにどうして東大に出願できたの」

「戦わねぇと勝てねぇからな。東大行ってプロ野球選手になる目標があったから迷わなかったよ。迷わなかったから出願してからの勉強に集中できたし結果的によかったわ」

すごいやつだ

「俺はおまえみたいに目標がないから大学の四年間で目標をみつけて、おまえみたいになれるように頑張るよ」

と隼人に言って、大学生活の準備を開始した。

俺たちの戦いはここからだ!!






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