第8話 勤務先の場所の確認や今後の同居生活について相談した!

文字数 2,245文字

11時を過ぎたので、昼食をパンとコーヒーで軽く済ませて、マンションを出発した。高津駅まで歩いて電車に乗る。二子玉川駅で乗り換えて、大岡山駅で乗り換えて、溜池山王駅に着いた。ここまで電車で約35分かかった。ここから虎ノ門までは歩いて数分の距離だ。美幸の会社の場所はネットで調べておいたのですぐに見つかった。

「ここまでマンションから歩く時間を含めて50分も見ておけば十分だ」

「結構乗り換えが大変ね」

「通勤時間が1時間以内なら東京では(おん)の字だから。これから銀座へ行ってみようか?」

「銀ブラというのをしてみたい」

今度は虎ノ門から銀座線に乗って銀座で降りた。ここは銀座のど真ん中だ。大通りの両側を端から端まで歩き回った。歩き疲れたので、スタバを見つけて一休みする。

「日曜日だから人が多いね」

「ウィークデイの会社の帰りに寄ってみると良い。地下鉄ですぐだから」

「これから、どうするの?」

「虎ノ門を通って違った経路で帰ってみようか?」

「いろいろな経路があるのね」

「事故で不通になった時のために帰る経路をいくつか知っておいたほうが良いから」

それから銀座駅から虎ノ門駅を経由して、表参道駅で乗り換えて、渋谷経由で二子玉川駅へ戻ってきた。ここで降りて美幸の歓迎会をレストランでしようと思っている。

出発前にネットで予約を入れておいた。初めて来たが落ち着いた感じのイタリアンレストランだった。アラカルトで何品か頼んだ。飲み物は、僕がビールで、美幸はジンジャエールを頼んだ。飲み物がくるとすぐに乾杯する。

「就職おめでとう。それと二人の再会を祝して乾杯」

「ありがとう。こんな素敵なお店で歓迎会をしてもらって、ご馳走になっていいの?」

「ああ、せっかく東京に出てきたのだから、兄貴として当然のことだから」

「一緒に住まわせてもらうから生活費は出させてもらいます」

「美幸よりも少しは多く給料をもらっていると思うけど、そうしてもらうと助かる。でもそれは4月に初めてのお給料をもらってからでいいよ」

「お給料日っていつごろ?」

「会社によって違うと思うけど、僕の会社は20日に銀行振り込みで支払われる。お金はあるの? 給料日までの必要な分は貸してあげるよ」

「大丈夫、両親が給料1か月分くらいを持たせてくれたから」

料理が次々と運ばれてきた。

「それじゃあ、せっかくの機会だ。食べながらでも、マンションでの家事や生活費のことを相談しておこうか」

「はい、お兄ちゃんに甘えてばかりではいけないので、相談しておきましょう」

「そうだな、まず、朝食だけど、僕は今日の朝みたいな朝食を作って食べているけど、どう思う?」

「そうね、パン、牛乳、果物か野菜サラダ、茹で卵か目玉焼きくらいにしたい」

「今とそんなに変わらないからそれでいいと思う。交代で作るのはどうかな」

「できないときは代わればいいと思う」

「昼食はどうする? 僕は社員食堂があるけど、お弁当を作って持って行く?」

「私も社員食堂はあると思う」

「夕食はどうする?」

「お兄ちゃんはどうしているの?」

「実験で帰りが遅くなったりすることがあるので、駅前の食堂で外食したり、コンビニで弁当を買ってきて食べたり、冷凍食品をチンして食べている。土日はスーパーで惣菜を買ってきたり、材料を買ってきて食べたいものを自分で作ったりしている」

「私は仕事の具合で帰宅時間がどうなるか分からないので、落ち着くまではお弁当を買ってくるか、外食してくると思う。土日はお兄ちゃんと交代でなにか作っても良いと思う」

「料理はできるのか?」

「就職がきまってから、ママが炊事、掃除、洗濯などの家事の仕方を教えてくれたから、大丈夫」

「お兄ちゃんこそ料理できるの?」

「自己流だけど、ネットで調べて作っている。味もまずまずだと思っている」

「お洗濯はどうするの?」

「毎日、お風呂に入って着替えるだろう。洗濯機に二人分入れて、ONにしておけば、翌朝には乾燥して出来上がっている」

「お掃除はどうするの?」

「ウィークデイはできないから土日に協力してすればいい。ハンディ掃除機とクイックルがある」

「寝室とリビングは私で、キッチンとバスルームはお兄ちゃんでどう?」

「それでいいよ」

「生活費はどうするの?」

「住居費は僕が持つけど、自炊の食費と光熱費などは折半でどうだろう? そのほかはそれぞれの分はそれぞれが払う」

「住居費を持ってもらえると助かるわ、それでお願いします」

恋人同士が同棲するときにはこういう相談をするのだろうか? 実家に二人がいたときは両親がすべて払っていたからこういうことを相談する必要がなかった。それに二人だけの生活になってみて初めて二人の相性もはっきりすると思う。良い機会かもしれない。

食事を終えて二人はマンションへ帰ってきた。僕はすぐにお風呂の準備をした。僕から先に入ってほしいと言うので、先に入った。僕が上がると入れ替わりに美幸が入った。美幸が上がってくると僕に言った。

「入社式まで1週間ほどあるから、しばらくは夕食を作ってみるから、食べてみて」

「大丈夫か? 無理することはないけど、楽しみだ。買い物は二子玉川か溝の口のスーパーでするといいよ」

「ネットで調べて行ってみる。いつも帰りは何時ごろになるの?」

「7時から8時くらいかな、でも日によって違うから、帰る時にメールを入れることにしよう。研究所からマンションまで30分くらいだから」

「そうしてもらえると助かるわ」

それから美幸は寝室のベッドへ、僕はソファーで眠りについた。明日は仕事だ。
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