第2話

文字数 405文字

どさり。
紫明はトイレの脇の観葉植物の横に倒れた。

きゃあ、せんせ、大丈夫?

うん、だいじょぶ。
おしっこ、漏らしちゃったよ、うえーん。
車にパンツとジャージ積んであるから替えてくるね。
床を汚したね、ごめんよ。
掃除するからさ。

とぼとぼ出ていくせんせ。
いや、さきちゃん。
かわいいわ。
おしっこもらしちゃうなんて、子供か。
あ、子供。
わたし、子供たちの事で頭がパンパンだったけど、あのひとがわたしの最初の子供なんだ。
あのひと、わたしがぜんぶしてやらないと、ダメなんだ。
カッコつけて、してやるっていうけど、あのひと何も出来ないもん。
こないだ誕生日プレゼントにくれたパンツ5枚セット860円くらいだよ。
でも、わたしだって、してもらいたいことたくさんあったよ。
さきちゃん、マイペース極まる見た目で実は小心者でいつも目の前の誰かに合わせてたなんて、青天井にかわいいじゃない。
もうわたし、どうにかなっちゃいそう。

紫明はその晩戻らなかった。
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