第1話

文字数 1,524文字

起)主人公であるアルトは父親と二人で暮らしていた。父は出稼ぎに出て家を空けがちだった。彼が13歳の時、父が亡くなったという知らせを受けた。孤児となったアルトは、周りで不幸が起こると不吉がられ、親族からたらい回しにされた。遠縁のサロの家に引き取られる。サロの家には3人の兄妹がいたが、皆アルトに冷淡だった。学校には通わせてもらえなかったが、その代わり神父に勉強を教えてもらっていた。神父のアロサンはアルトの父と旧知の仲で、父を愛情深い人と形容した。外に出るときはペンダントを付ける決まりだったが、人混みの中で盗まれてしまう。犯人はすぐに捕まった。ぼろぼろになった姿を哀れに思いペンダントはあげたものだと嘘をついた。ペンダントを無くしたというとサロに地下室に閉じ込められた。地下室でパンを食したが、運んで来たのが誰かわからなかった。古いタンスの中から父が書いた手紙が出てきた。遺跡から古い金貨を発掘したが、裏切られて横取りされてしまったこと。取り戻すために時間がかかるためアルトをしばらく預かってほしいということ。手紙にはそう書かれていた。翌日神父の訃報を聞く。何度頼んでも葬礼に参加することは許されなかった。パンを運んできたのは次女のノアだと料理番から聞く。

承)成人して独り立ちしたアルト。サロにはゴーランに近づかないようにと忠告されていた。しかしゴーランの富豪サムに勧誘を受け、忠告を反故にする。サムは父の旧友で、その死を伝えてくれた人でもあった。手紙を読んだことから、サムが父を殺した犯人なのではないかと疑う。ゴーランは薄曇りでじめじめしていた。しばらくぶりに再会したサムは豪邸に住み、贅沢な生活をしていた。サムの推薦で役所の文書係で働くことになる。仕事は性に合っていたが、町では連続殺人事件が起きており人々は不安な日々を過ごしていた。仕事に慣れた頃にサムに招かれたが、途中でノアの姿が見えたので追いかけることにした。途中で見失ってしまう。翌日サムが殺されたことを人づてに聞いた。死因は窒息死と発表された。

転)後ろ盾を失ったアルトだったが大金を贈与されたため生活は苦しくなかった。送り主は伏せられていたが、手続きは合法的なものだった。裁判所の調査がアルトに入る。サムの金庫からお金が消えており、サムの死後裕福になったアルトに判事は疑問を持ったようだ。アルトは判事のハンソン氏の尋問を受けながら、ゴーランで起きている殺人事件を調べることにした。すべての殺人に共通する容疑者はいなかった。7人の被害者にも共通点は、外傷がないという点を除いてなかった。生まれも階層も別々の被害者のデータは混乱しか生まない。ノアが黒い影に襲われているところを目撃した。黒い影が首周りにまとわりついていた。サムががむしゃらに突っ込むと消え失せる。ノアはアルトの父の遺品が見つかったので届けに来たのだという。街の周辺では怪しげなローブの男が、嗅ぎ回っていた。

結)ハンソン氏とアルトの目の前で、豪商ロバートが死んだ。死後ロバートがかつてペンダントを盗んだこそ泥で、ペンダントを売った金で得た金を元手に富を得たことを知った。ロバートは恩人のアルトを陰ながら援助していた。ローブの男は教会のエクソシストで、ロバートが死ぬ前に雇ったものだった。教会のエクソシストはすべての元凶は15年前の盗掘にあるといい、財宝に目のくらんだ盗掘者が悪霊になったと証言する。その盗掘者とはアルトの父とサムだった。アルトはノアのもって来た盗掘品を墓に戻した。悪霊騒ぎは収まり、アルトの疑いは晴れた。ノアからサロが冷淡だったのは悪霊からアルトを守るためだったと聞く。2人は手を取り合いサロの屋敷に戻った。
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