第5話

文字数 1,180文字

僕は九州の熊本出身だ。
学歴は幼稚園、小学校、中学校、高校、大学で新卒で就職はせずフリーターを経て一度就職し、今の会社に転職した。

幼稚園の記憶といえばあまりない。
ただ、教育熱心なことだけは覚えている。

そこから公立、国立の学校に進学していった。
はっきり言って数字をとるテストの点数、出席してそれっぽくしているだけでもらえる内申点、どちらも高得点を取るのは容易であった。コツをつかんでいたのだと思う。
昔からこれからの未来に近い空気的なものを読むのが得意だったのかもしれない。
というより、得意と過信していた。

その空気を読むスキルがエスカレートしたのか、公務員を志望した。なぜ公務員を志望していたかというと、そこに自分の意志は全くなかったと今では思う。世間の公務員像の一生安泰だぞぉ、両親の公務員になったらうれしいなぁ。あなたも一生安泰で幸せでしょ?といった具合に周りの雰囲気で目指してしまった。
ただ、一度試験に落ちてしまい、今までテストを攻略して点数を取ってきた自分のプライドに傷がつき、試験に受かることが目標となり合格した。
合格が決まった瞬間は、ざまぁ見ろといった、受からなかった自分を卑下するような感情に浸った。

そして、実際に公僕として働くことなったが、仕事はくそほどつまらなかった。自分の中ではまさに究極のブルシット・ジョブであった。
いいところの説明ができない。市民から金を巻き上げて、成功しなくても大丈夫、やってることが正しいからと大義名分のもと、改善のない業務をこなしていく。大きく強固な組織ながら末端の窓口業務のやっていることは係員だけでもこなせる仕事であった。正直、上司の存在意義は最後までよくわからなかった。上司の仕事は窓口、電話でのクレームの最後の番人と僕なりに認識している。一体なんのためにいるんだか。。。と思っていた。

くだらねぇなと思い、すぐやめた。
正直同期の、俺たち公務員だから勝ち組だよな!っていう短絡的な思考回路に嫌気がさしていた。
僕はこんな集団に属したくはない。

それから、やりたいことも見つからずテキトーに就職してしまった結果が今の会社である。特に思い入れはなく、やりがいを見つけきれず漂流した末路である。

僕は何をやりたかったのだろう。自問自答する中、妻と出会った。

妻は2つ年上の小柄で気さくな人だ。
そしてかわいい。僕はかわいい人が好きだ。
朝の出勤時間帯、いつも同じ電車の中ですごく気になっていた。
どこかで出会ったような気もあった。

ある日の通勤のこと
電車が人身事故で止まってしまった。

投身したらしい、当人の事情は知らないが、社会に嫌気がさしたのだろう。
僕もいっそのことそちら側にいってしまおうか、そんなことを考えると彼女の姿が目の前に映った。

彼女と僕は乗車駅が一緒だったのだ。
少し運命を勝手に感じた。
これを逃す手はないと思い、話しかけた。








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