第1話

文字数 1,481文字

 もりなかに、キャロルという、おんなのこがすんでいました。
 キャロルは、きれいなくろいかみをもつ、やさしいこでした。
 もりで、きのみをあつめていたキャロルは、はっぱのうえでたおれているちょうちょをみつけました。
「ちょうちょさん、どうしたの?」
 キャロルは、ちょうちょうをやさしくひろいあげました。
「じつは、はなをさがしてとびまわっていたら、おなかがすいてうごけなくなってしまったのです」
「わたし、たくさんはなのさいているところをしっているから、つれていってあげる」
 キャロルはやまのおくにある、はなばたけにちょうちょをつれていってあげました。
 みつのあるはなに、キャロルはちょうちょをのせてあげました。
 ちょうちょはみつをのんで、げんきをとりもどすと、キャロルにかんしゃしました。
「とてもたすかりました。おれいにわたしのこなをさしあげます」
 ちょうちょは、はねをパタパタとふって、キャロルにキラキラひかるはねのこなをあげました。
「ありがとう、ちょうちょさん」

 ちょうちょとわかれたキャロルは、また、きのみをあつめはじめました。
「こまったのぉ」
 すると、どこからかこえがきこえてきました。
 こえのするほうへいくと、みずうみでえかきのおじいさんが、こまりはてていました。
「おじいさん、どうしたの?」
 おじいさんは、キャンパスにみずうみのえをかいていました。
「このみずうみのうつくしさを、もっているえのぐでかけなくて、こまっているんじゃ」
 みずうみは、たいようにあたって、キラキラしていました。
「ちょうちょさんの、キラキラのこなはどうかな?」
 おじいさんにちょうちょのこなをあげると、とてもよろこんでくれました。
「これでえがかけるわい、ありがとうのぉ。きのみをあつめるなら、このハサミをあげよう」
 おじいさんは、おれいにえだをきるハサミをくれました。

 きのみをあつめおわったキャロルは、まちにうりにいこうと、やまのいりぐちまでおりてきました。
「ぐすっ、ぐすっ」
 すると、こんどははなをすするこえがしました。
 キャロルはこえのするほうにいくと、きのかげにかくれて、おんなのこがないていました。
「どうしてないているの?」
「うぅ~」
 おんなのこは、キャロルをみると、さらになきだしてしまいました。
 よくみると、おんなのこのまえがみは、とてもみじかかったのです。
 キャロルは、おんなのこのせなかをさすって、なきやむのをまちました。
「まえがみを、きりすぎちゃったの……はずかしくておしろのパーティーにでられないよ」
 おんなのこのかみは、キャロルとおなじ、くろいかみでした。
 キャロルは、さっきおじいさんからもらった、ハサミで自分のまえがみを、おんなのことおなじくらいみじかくきりました。

 はずかしくなくなったおんなのこは、キャロルとてをつないで、おしろにいきました。
 すると、おんなのこはこのくにのおひめさまでした。
「おひめさまがはずかしくないように、としごろのおんなのこが、じぶんのかみをきるのはかんたんなことじゃないだろう。すばらしいおじょうさんだ」
 キャロルは、おうさまにほめられ、きれいなドレスをもらいました。
 そして、パーティーでおうじさまとダンスをおどることになりました。
 おうじさまは、とてもかっこうよく、キャロルはひとめぼれをしました。
 おうじさまも、キャロルがとてもやさしいこころのもちぬしだとしり、すきになりました。
 それから、パーティーになんどもよばれるようになり、おおきくなったキャロルとおうじさまは、けっこんして、やさしいくにをつくりました。(おわり)

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