第14話 咲く石

文字数 318文字

翡翠石を、叩き、割り、砕き。
()り、潰す。
時には粗く、時には細かく。

石の個性に合わせて。なるべく優しく。

粗いと、その石、本来の色で色濃く。
細かいと、色が薄くなる。

水に沈めて、粗さを振り分ける。
堅く沈んでゆくのは、石なのか、自分の心なのか。
翡翠の砂の粒たちが、笑い、踊る。

絵に使うから、岩絵具を創っているのか、
鬱憤を発散する為に、噛みつき、
叩き割っているだけなのか。

理由は、自分でも解らない。
解る必要も、意味も無い。

自分が、自分の心の模様や、流れや、動きを
全て理解している訳ではない。

いや、むしろ......

心の中なんて、絵皿の表面に浮かぶ
上澄みのようなモノなのだろう。
きっと。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み