第1話

文字数 1,362文字

友と二人きりの昼御飯。
食べたものはあるけど、友も食べたいものがあることもある。
友に悪いと思ったので確認する。
「希望あるかい?」
「ないよ。食べるもの決めてない。」
「なんでもいいならざる蕎麦食べたい。キンキンに冷えたざる蕎麦を脳天にドックンと送り込む。いいかだろ?」
「そばねー。なら俺いい場所知ってるけど?そこにいくか?」
「お、おう。」
少し歩いて路地を曲がると汚美味そうな店のも看板「ラーメン田中」
んー?ラーメン田中?声も出てなかった俺?ざる蕎麦と言って友がうんじゃあ行こうなって「ラーメン田中」?中華そばと勘違いしれてる?醤油ラーメンを中華そばなんて言うことあるけど、中華そばを冷たくしてもざる蕎麦にはならない。
「確認。俺はざる蕎麦食べたい。」
「おおう。わかってる。」
「中華そばじゃないぞ。?」
「冷たいあれのことだよな?」
「梅雨につけて食べるあれ。」
ラーメン田中だけどざる蕎麦もある店だとして、それなら友はラーメンを食べればいい。そばを食べる俺らラーメン食べる友。お互いがお互いを好きなものを食べることは恨みっこなし。協調性のある友、ざる蕎麦にとラーメンの言葉を間違えるような失態はしないと信用している。ここで友を疑って喧嘩になり、一生口を聴かない関係になったら嫌だから素直にラーメン田中に入ります。
「へい、らっしゃい。」
頭にタオル、腕まくり、中肉中背の男。ラーメン店イラストを書かせたら描きそうなラーメン店主。
「おら、あるだろ、ざるうどん。」
「ざるうどん?」
油ギットギトのメニューはバリッバリっと音を立てそうに油が付いたからめくるのに一苦労。汚美味い第一印象はあっている。
「メニューはそちらよ」
油の汚さに食欲を失いそうになるけれども、友の顔は微笑んでくれる。
ラーメン田中はメニューはうどん、釜揚げうどん、ざるうどん、塩ラーメン。
「お前はざるうどん食えよ。俺は塩ラーメン食べるから」
塩ラーメンがオススメかもしれないけど、ざるうどんを勝手に頼まれた。うどんには稲荷そばにはおにぎりが欲しいタイプだが友による勝手の注文もせいで決まってしまった。追加の注文をして場の雰囲気を壊すほどの度胸持ちではないから黙って下を向く。店内に流れているプリプリを口ずさみ待つ。プリプリは友がカラオケの十八番でよく歌う。
「ラーメンだろうと思ったか?」
「ラーメン田中だからラーメンもしくは中華そばのお店かと。」
「ここ名前とメニューが違う、先代がラーメンで跡取りがうどん、名前は権利の申請にかかる費用がかかることをマイナスと考え、ラーメン田中のまま。」
「ラーメンとだろうと思ったか?」
「見た目にとらわれてはいけないってことを学ばせたくておここに来たよ。見た目にとらわれすぎる俺もお前も人間も。知能の少ない生き物だから勝手に判断する。俺がお前のこと好きだって言ったら周りはキモいっていうがるだろ?友達も離れていくあんだけ仲睦まじい友達がさ」
「男と男は漫画の中だから美しい。変な想像させん。な」
「嘘だ、新しいうどんを食べさせようとサプライズだ。」
おいこれはざるうどんだ、ざる蕎麦だではない。
お口はざる蕎麦のお口だったがざるうどんがきてからのクレームは器が小さいと思われるそうだからやめたけれど。ムカついたのは本当の話。
これ実際の話ね。嘘みたいだけど本当の話。
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