第1話

文字数 27,332文字

 ブランドニューオブアメリカは、毎年大人気で来場者数は、日本一であった。
しかし、その翌年、ブランドニューオブアメリカは開園した2018年度はかなり好調だったものの翌年の2019年度は集客が見込めなかった。なんとかして、運営会社であるジョイイマジネイションは脱却を図ろうと、新たな取り組みを考えて実行しようとするが、なかなか収益にはつなげられなかった。

「このままだとうちは、他のテーマパークに追い越され経営破綻になりますよ?」
 ジョイイマジネーションの幹部がかなり焦燥している様子であった。
「前年度の入場者数はかなり好調でしたが、今年度はかなり下がりましたよ」
「やはり新たな取り組みをしていくことを」
「何を言ってるんだ君は、このテーマパークの根底をくずしたら設立当初の伝統が」
「伝統は大事ですよね」
「当たり前だ」
「とりあえず今いるスタッフに頑張ってもらうことで、サービスを売るしかないだろ」

 経営企画部の幹部と社員たちが今後のテーマパーク経営について話していた。今後の方針については、もちろんすぐに決まることはなく、延々としばらく行われていた。

 


「はあ、なかなかアルバイト決まらん、早く決まらないとお金が」
 高校一年の向山夢遊は、この一週間学校が終わったらすぐにアルバイトの面接を受ける日々が続いていた。
「本屋、カフェ、レストランと全部落ち続けている私は向いてない?とか」
 夢遊は、アルバイトの面接にここの所、全部落ちているので、自分にそう問いかけていた。
「よし、今日も放課後また行くか」

「あれ夢遊?何してるの?」
 彼女に話かけてきたのは友人である佐竹華美だ、いつも笑顔で優し多くの生徒が癒されている。
「あっうん、まあアルバイトの面接を今日の放課後も受けようと思ってて」
「なるほどね、アルバイトか、私もはじめないとだけど、今は特進クラスの勉強についていかないといけないしな」
 華美は、特進クラスなので、今は勉強についていくことを伝えた。

「そうなんだね、特進クラスだとアルバイトする時間ないよね」
「だね、ああいいな普通進学クラスで」
「私の方が羨ましいよ、特進だと華美もいるしクラス同じだしさ、内申点があと5点足りてれば今頃」
 夢遊は中学時代の内心をちょっと気にしていた。
「まあ、今はもう仕方ないじゃん、とりあえずさ私も放課後アルバイト探してあげるよ
 もちろん今日も面接があると思うから、練習も付き合うよ」
 華美はそんな中学時代の内申なんてどうでもいいよという感じで夢遊に言った、華美はアルバイトをするために頑張っている夢遊のために協力することを提案した。
「えっ華美いいの?ありがとう」
「いいってことよ、職員室に志望校の過去問の宿題だけ提出するから、職員室だけ寄らして」
「ありがとう分かったよ」


 そして放課後になり、夢遊と華美は学校を出た。
 
「面接は何時から?」
「17時からだね、とりあえずカフェかどこか店に入ろうか?」
「そうしよう、どこのカフェにする?」
「なるべく駅近がいいな、実は今日の面接場所はアパレル系で駅ビルの中だからさ」
「あっそうなんだね、じゃあそこにしよう」

2人は話しながら学校の校門を出た。

「そういえばさ、華美は勉強で忙しいと思うけどアルバイトとかしたいとかあまり思わないの?」
 夢遊が華美に担当直入に聞いた。
「まあしたいけど、特進クラスの勉強が忙しいからね、課題の量も多いしさ、自然と勉強しないといけなくなるから本当にそこが問題だね 私だってアルバイトしたいなと思うのよ」
 華美は夢遊に自分の中で感じている心境を伝えた。

「そっか、特進クラスだと聞いてる限り本当厳しそうだよね、あっカフェはここでいいかな?カフェブラウン」
 夢遊は華美に確認してみた。
「うん、いいよ、ここってさ雰囲気いい感じだよね、夢遊は良く行くの?」
「まあ行くかな、ここでよく勉強したりするからさ」
「そうなのか、じゃあ今度一緒にやろうよ」
「いいよ」
 華美は今度夢遊と勉強する約束をした。

2人は席を取り、商品を注文しに行った。

「よし、じゃあ席取ったから商品注文しに行こうか、夢遊は何よく飲むの?」
「私は、アイスコーヒーとかカフェラテかな」
「そうなんだ、私はコーヒーとか飲めないからなカフェモカとかにしようかな」
「カフェモカおいしいよ」

「お次のお客様どうぞ、いらっしゃいませこんにちはご注文をどうぞ」
 店員に呼ばれ2人は注文をした。
「一緒に注文をしちゃおうか」
「いいよ」
夢遊は華美にそう促した。
「アイスカフェラテ1つとアイスモカ1つお願いします」

「かしこまりました、アイスカフェラテとアイスモカ1つですね、お会計が570円です
当店のポイントカードはお持ちですか?」
「はい、持ってます」
 夢遊は自分のカードを差し出した。

そして2人は席についた、華美は夢遊のためにアドバイスをしてあげた。
「アルバイトの面接緊張するよ」
「大丈夫だよ、夢遊のいつも笑っている笑顔と根気強さがあれば平気だよ」
「そうかな?」
「まあとりあえず自分を信じていくことだよ」
「華美ありがとう」
「いえいえ、挑戦することだけでもすごいよ、私も頑張らないといけないと思うしさ」
「華美はそういうの一番よく分かってそうだから大丈夫だと思うよ」
「私案外抜けてるところとかあるからさ、思うほど完璧な人間ではないよ」
「そうなんだね、学校のみんなは完璧とか思ってたりする人いるだろうね」
「それはあるよね」
「さてアパレル系の面接だとどんなこと聞かれるんだろうね?」
 夢遊は華美にあえて聞いてみた。
「志望動機とかは必ず聞かれるとは思う、あとはどうして他のアパレルなのにうちなのか?みたいな」
「あっなるほどね、たしかにそういうの聞かれそう」
「そうそう、でしょ、意外と聞かれそうだから来た時に答えられるようにしておいたほうがいいかもね」
華美は質問されそうな質問を夢遊に伝えてあげた。
「緊張するよ、これ試験前みたいな感覚」
 夢遊は、試験のように緊張していた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、勇気持っていこう」
「分かったよ、よしじゃあ 行ってくるね 華美ありがとう まだ華美はここいる感じ?」
「あっうんまあもう出るけど、ちょっとだけここいるかも」
「分かった じゃあ勉強頑張ってね」
「うん夢遊も面接頑張ってね」

2人はお互いに顔を見てから挨拶をした。

 夢遊はカフェブラウンを出てちょっと早めに歩くようにした。

「はあ、緊張するな」
夢遊は、歩いている途中に少しだけ一人事をつぶやいた。

「よし着いた とりあえず頑張ろう」
 夢遊は自分に鼓舞を与え言い聞かせた。

「すみません本日面接に来ました 向山です」
「こんにちは かしこまりました 少々お待ちください」

 夢遊は、アパレルスタッフの方に待つように言われ、そのまま待った。

「お待たせしましたこちらにご案内いたします」
「分かりました」
 夢遊は、アパレルスタッフに言われ、ついていった。


 「では、先に履歴書だけもらいますね」
 「はい、お願いします」
  夢遊は担当者に履歴書を渡した。
 「そうしましたら、書いていただくものがございますので 必要事項をお書きください」
 「承知しました」
 
 「よろしくお願い致します、10分くらいにまた声をおかけください」
 「分かりました」
  記入する紙を担当者に渡された。
 
 
 「とりあえず、書きますか シフトは週4日くらい? 収入は12万?とか」
 
  そして10分が経ち、夢遊は担当者に声をかけた。
 
 「すみません 書き終わりました」
 
 「ありがとうございます では今から行きますのでお待ちください」
 
  夢遊は担当者を呼びに行き、先ほど書いていた場所へと戻った。
 「ではこれから面接をはじめさせていただきます 私店長の河合と申します よろしくお願い致します」
 「お願いします」
  アパレルアルバイトの面接が始まった。
 「初めに自己紹介からお願いします」
 「はい 向山夢遊と申します 現在高校1年です 何事にも積極的に取り組みます
  よろしくお願いします」
 「はいありがとうございます 今はアルバイトとか何もやってないんだよね?」
 「何もやってないですね」
 「わかりました シフト週4日と書いてくれてるんだけど 結講稼ぎたい感じかな?」
 「そうですね、それくらい入れれば」
 「なるほど 12万って書いてくれてるんだけどうちはそんなにシフトとかたくさん入れるわけではないんだけどさ」
 「そうなんですか、でも大丈夫です」
 「分かりました ちなみに今までどんな所受けてきた?差し支えなければ教えてもらえる?」
「本屋やカフェとかですかね」
「いろんな所受けてるね?じゃあ何でうちアルバイトをやろうと思ったの?」
「アパレルに興味があり、よいサービスを提供していきたいということや服をまた
 買いたいと思ってくれる接客をしたういから」
「それってさうちではなくてもできるよね?」
「はいまあ」
「アルバイトの面接だからそこまで求めないけど、サービスを学びたいなら他のアルバイトとか、アパレルでサービスに力入れているところのがいいよ」
「そうなんですか」
「うん、うちは効率重視でいかにスピードよくお客さまに提供できるかだからさ」
「そうなんですか」
「そうだね、志望理由もなんか取り繕ってるというのが分かるしね」
「そういうかんじですか」
「そうそう、お金稼ぎたいからアルバイトの面接に来たんでしょ?普通に話していいよ」
「あっはい」
「でしょ?だから取り繕わなくていいよ 実際企業とかの面接じゃないからさ、志望動機とか取り繕ってるって分かっちゃうんだよね」
「そうなんですね」
「うん、あとはどれくらいやるの?まだ高1だからしばらくはやるとは 思うけどそこらへんがちょっと不透明だよね?」
「はい、いつまでやるかはちょっと決めてはないですが できる限り長く続けていければと思います」
「進路とか、そういう関係で辞めるとかもあり得るでしょ?」
「特にそこらへんは分からないですが、そういう可能性もあるかもですね」
「でしょ?軸とかある程度決めておいたほうがいいよ?」
「はい、そうみたいですね」
「うん 他の近隣の店舗の店とかフランチャイズでたくさんあるけど他の近隣の店舗の店とかの仕事の紹介とか希望しないと丸つけてあるけど 希望しないでいいいのかな?」
「はい 希望は特にしないです」
「分かりました では面接は以上になります 採用の場合のみ来週の月曜までに連絡します」
「はい ありがとうございました」


夢遊はアパレルのアルバイトの面接が終わった、あと少し変な気持ちになった。


「なんなの あの面接ちょっとバカにされた感あるし」
 
 夢遊は、面接終わりイライラした気持ちになっていた。面接終わったことを華美にチャット電話で報告した。

「ああ お疲れさん面接どうだった?」

 「いや というよりまじむかつくあの店長 もう合否どうでもいい てか行く気なくしたわ」
  夢遊は面接終わったあとの怒りの感情がそのままでてしまっていた。
 「なるほどね そうとう嫌な面接だったんだね」
  華美は夢遊を落ち着かせる感じで話を聴いた。
 「そうそう とりあえず何かまた違うのを探すよ」
 「うん それがいいよ まあそれにしてもそのアパレルショップきもいね」
 「本当きもいよ」
  夢遊は華美にアパレルのアルバイト面接のことを少し愚痴った。
 「新しいバイト探してみる」
 「頑張ってね」
 
 
 
 
  夢遊は、行きつけのカフェブラウンで新たにアルバイトを探すことにした。
 「なかなか 見つからないな もうどうしよう」  
  するとたまたま見ていた携帯のアルバイトサイトの広告に夢遊は目が止まった。
 「えっテーマパークのアルバイト? 大変だけど楽しそう」
 
  夢遊はテーマパークのアルバイトに少し興味を持った。
 
 「とりあえず応募だけしてみるか」
 
  夢遊はテーマパークのアルバイトに応募だけしてみることにした。
 
  その日の夜、夢遊は華美に電話した。
 
 「あっもしもし華美今大丈夫?」

 「うん大丈夫だよどうしたの?」
 「実はさテーマパークのアルバイトに応募してみた」
 「あっそうなんだいいね 楽しそうだね」
 「うん前から興味はあったんだけどね」
 「そっか なら今回やれるならいいじゃん」
 「そうだね まあ受かればの話だけど」
 「自信持って頑張ってよ いつもの自信はどうしちゃったの?」
 「いや何ていうか アルバイト落ちてばかりだから今回もダメかなと思ってしまったりするからさ」
 「それはあるよね 私が思うに諦めるか諦めないかのどちらかだと思うんだよね」
 「諦めるか?諦めないかか」
 「うんそうそう だって結局さ諦めずにやって来られた人たちがどんな失敗でも乗り越えてきてさ、はじめて獲得できるじゃん だから何も挑戦しないよりずっとましだよ」
 「そうだね ありがとうね その言葉でなんとか頑張るね」
 「うん夢遊なら大丈夫」
 「ありがとう じゃあまた学校でね」
 「うん また学校で」
 
  夢遊と華美は電話の会話を終えた。
 
 
  

そして夢遊はテーマパークのアルバイトの面接の日を迎えた。
  
  
 「ついに今日だ緊張する」
  夢遊は起きあ直後から緊張感があった。
 
 「夢遊朝ごはんもうすぐできるわよ」
 「はーい分かったよ 着替えて顔洗ってからすぐ行くよ」
 「早くしなさいね」
 「はいよ」 
 
  母親から少し急かされたので、ちょっとイライラした。
 「もうすぐ行くのに」
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃい」

母親から見送られ余裕を持ち家を出た。

 夢遊は、華美にチャットアプリで今日が面接ということを伝えた。

 その後に、華美から「頑張ってね」というメッセージが届いた。
 
夢遊は華美からのメッセージに自信を持った。

(うん、頑張るよ)
 心の中で夢遊はそう思った、その後に「ありがとう」という返信をした。

 揺れるバスの中で、テーマパークのアルバイトまでにモチベーションを創ることだとも思った。

 夢遊はようやくテーマパークへと着いた、行きのバス電車合わせて40分くらいだが行く距離は学校とそんなに変わらなかった。テーマパークのアルバイト面接会場へ向かった。

「ここか、しかもホテルみたいな所でやるんだ」
 
「テーマパークのアルバイト面接会場はこちらです」

 大きな声で運営の男性スタッフが案内をしていた。

「さすがテーマパークのアルバイトだな やっぱり人は多い」

「受付表を持ってお並びください」
 他の女性も同じように呼びかけていた。
 約1000人くらいの人たちが受付表を持って並んでいた。

(ここか、こんな人数いるなら私可能性ないでしょ)

 夢遊の出番になり受付表を女性の受付スタッフに渡した。
「では受付表をお願いします」
「はい、お願いします」
「ありがとうございます 先に身体測定を致します 3番の列にお並びください」
「分かりました」

 番号ごとに分かれており、夢遊は3番の列だ。

(身体測定か、何のだろう)

「ではこちらに立ってください」
「はい」
「ありがとうございます そうしましたら次は4番の列へとお願いします」
「分かりました あのこれは何の測定ですか?」
「あっこれはユニフォームのサイズです 先に計るんですよ 事前に把握できて支給できるようにしています」
「そういうことなんですね」
 夢遊は何で身体測定をしているか気になったので運営スタッフに聞いてみた。
「こちらの席に座りお持ちください」
 夢遊は運営スタッフに待合イスへと案内された、5席用意してありその前の所では10くらいのブースで一人一人面接をしていた。
(こうやってやってるんだ本格的だな)
 夢遊は面接の雰囲気に圧倒されていた。
「では次の方どうぞ」
 夢遊は次の番だったので、我に返りすぐに行った。
「はっはい」
 緊張のためか返事が少し変だった。

(緊張する)

「ではこの度は面接にお越しいただきありがとうございます 私面接を担当します坂倉明美と言います よろしくお願い致します」
「はい お願い致します」
「そしたら事前に予約時にフォームで記載していただいた情報の確認からしていきますね」
「分かりました」
「向山夢遊さんは今は高校1年生ですね」
「はい高校1年です」
「高校生だとシフトはどれくらいをご希望ですか?」
「そうですね 週4日くらいですかね」
「それくらいですね 土日含めた週4日ですかね?」
「はい それで大丈夫です」
「分かりました お住まいは大船と書いてありますがここまではどう行かれる感じですか?」
「最寄りまではバスでその後は電車です」
「バスと電車ですね」
「はい」
「分かりました 時間はどの時間ご希望ですか?オープンかクローズ、ミドルなど」
「平日はクローズで、土日はオープンとかでも可能ですか」
「はい大丈夫ですよ、平日がクローズで、土日祝日がオープンですね」
「それでお願いいたします」
「分かりました 基本的に繁忙期はシフトになるべく出てもらっています ゴールデンウイーク 年末年始は出れますか?」
「はい出れます」
「分かりました 希望の職はありますか?フード アトラクション スーベニア商品 誘導 ムービーなどですね」
「そうですね」
「よろしければ特に希望がなければどれでもよいという形でもできますが そうされますか?すぐにご案内が早いというわけではありませんが空きがあるエリアのスタッフから補充をしていくので少し気持ちは早いイメージですね」
「そうしましたらそれでお願い致します」
「承知しました ではこちらからは以上ですが何か質問はありますか?」

「お金についての質問なのですが 時給はいくらくらいですか?」

「時給はエリアの職や時間によっても異なりますが 研修期間は900円ですね 研修が終了すると1000円です 昇給や年齢に応じて異なりますので頑張れば上がっていきます ただ向山さんは高校生ですので高校生のアルバイトの研修期間の時給は880円ですね 研修が終了すると890以上になりますので少しだけ下がりますね、あと昇給はしていくと また上がっていきます」
「分かりました ありがとうございます」
(時給コンビニと変わらないやん)
「ではこの条件を基に、こちらで仕事探させていただきます」
「分かりました よろしくお願い致します」
夢遊は面接がとりあえず終わり、なんとかほっとしていた。またもしかしたらだめかもしれないということを少し覚悟していた。けれども、もうすでに面接は終わってしまったので考えても仕方ないとも感じていた。
 
 「終わった いつもより遠いから疲れたな でもなんかこのアルバイトにかけたいな テーマパーク楽しそう」
夢遊は、テーマパークのアルバイトは今までの中で、楽しいとも思えた。
 「あんな笑顔でお客様を喜ばせたりできるのは最高だな」
  面接会場から歩いている途中に見えるテーマパーク、たまたま見えたスタッフの笑顔    に魅了された。
 「頑張ってかけてみることにしよう」
  夢遊は、とにかく願い その後、華美に連絡した。


「あっもしもし華美?お疲れ なんとか面接終わったよ」
 「夢遊 お疲れどうだった?」
 「まあ、なんとも言えない感じだな 絶対受かるとかという確信もないし」
 「そうだよね 面接とか試験終わるとそういう気持ちにはなるよね」
 「うんうん本当それ」
「今日は終わったばかりだからゆっくり休んでこれからのこととか考えていくといいんじゃないかな?」
 「そうだね そのあとゆっくり考えてみることにするよ」
 「うん そうだよ あれ今日は何かこのあと予定ある?」
 「特にないよ」
 「じゃあお茶でもしない?」
 「いいよしよう」 
 「分かった そしたら大船駅の改札で待ち合わせね 着いたら教えて」
 「はいよ じゃあまた後でね」
 「うんまた後でね」
  
  夢遊と華美は電話を終え、夢遊は大船駅へと向かい電車に乗った。
  華美も家を出るためにカフェへと向かった。
  
  
  
  
   夢遊は帰りの電車で一人面接のことを考えていた。

   本当に採用されるかという不安とまた新たなアルバイトを見つけなければならないストレスなどもあった。
   
  (本当に採用されるかな テーマパークの仕事本当に楽しそうだもん)
   
   帰りの電車でずっとそのことを考えていた。

   
   そして、電車で約1時間でようやく大船駅に到着した。
   華美は改札前で余裕そうに待っていた。
   
  「夢遊お疲れ様 行こうか」
  「うん 行こう」
   華美と夢遊はカフェへと向かった、歩きながら華美は夢遊に面接の様子を聞いてみた。
  「面接緊張した?」
  「まあ緊張したよ てかかなりの人がいてさすがテーマパークの面接だなと思ったよ」
  「そうだよね テーマパークか なんか楽しそうじゃん」
  「楽しそうだけど まだ採用とかどうなるか分からないしさ」
  「そうだね まあとりあえずは待っていろいろ考えればいいじゃない?」
  「うん そうしてみる」
   話しながら歩いていると、一つカフェを見つけた。
  「ここにする?席空いているか分からないけど」
   華美が夢遊に確認して聞いてみた。
  「うん いいよここで」
  「じゃあ入ろうか」
  
   2人は、はじめに席を確認して、席を取ってから買いに行った。
  「ちょうど空いてたね 良かった」
  「いつも混んでそうなのにね」 
   夢遊が空いていたことにほっとして、そのあと華美もほっとしていた。
  
  「いらっしゃいませ こんにちはご注文どうぞ」
   カフェ店員から注文を聞かれた。
「華美一緒に買っちゃう?」
「いいよ それで」
2人は一緒に購入することにした。
「じゃあ アイスカフェラテM一つと華美何にする?」
「私はアイスコーヒーMでお願いします」
「かしこまりました その他ご注文ございませんか?」
「はい 大丈夫です」
「かしこまりました お客様のお会計550円です アイスラテ アイスコーヒーお願いします」
「かしこまりました」
 
「ポイントカードお持ちですか?」
「はい 持ってます」
 夢遊がポイントカードとお金を差し出した。
「では1000円いただきます 450円のお返しです 右側からお受け取りください」

 2人は商品を受け取り席へと戻った。

「よしやっと休めるね」
「そうだね」
「どうしたの?うかない顔して」
「いや特にたいしたことないけど」
 華美が夢遊の様子を伺うように聞いた。
「その何ていうか あの店員さんちょっとサービスが悪かったような気がして」
「あらそうなの? そこまで細かくみてるのはすごいね どういう所がそう感じたの?」
「ちょっと笑顔ないなと思って」
「そういうことね よく細かい所気づいたね」
「そうね 私さ昔からよくサービスとかよく見てるからさ ちょっと細かいのかも」
「なるほどね まあそれでもさそういうのに気付くのはいいことだと思うよ テーマパークだって少なくとも夢遊が言ったサービス求められると思うしさ」
「そうだよね 華美がそこ分かってくれるか」
「もちろんだよ その他はなんか気づいたことあった?」
「その他はあまり丁寧じゃなかったな」
「えっそうかな?そこは普通じゃなかった?」
「うーんなんか微妙だったな」
「夢遊はそういう感覚というかんじね」
「そうそう サービスとかで意識してしまうとそういう感じだね」
「その感覚大事にしていかないとだね」
「うん もちろん」




 その頃、夢遊が受けたテーマパークは、平日も同様に少し混んでいた。

「こんにちは何名様でしょうか?」
「3名です」
「かしこまりました 3番の列にお並びください」
「こんにちは何名様でしょうか?」
「2名です」
「かしこまりました 2番の列にお並びください」

テーマパークのアトラクションスタッフたちがアトラクションに並ぶお客様たちを次々ご案内していた。
ここのアトラクションは宇宙をテーマにした絶叫系室内アトラクションで、乗るお客様たちは、3Dメガネをかけることになっている。室内絶叫系アトラクションで3Dメガネをかけるところはここだけだ。

「お父さん これ落ちるやつ?」
「落ちないやつだよ かなりスピードが速い感じだよ」
「そうなんだなら良かった」

 並んでいるお客様の間で親子で並んでいる人たちもいた。
 

「今から安全バーが装着されているか確認します」
 アトラクションスタッフたちがライトを照らして確認していた。
「安全バーをしっかり持ち手を離さないようにお願いします 3Dメガネは乗車してからおかけしてお待ちください 手荷物などは足元に置いてください 帽子や眼鏡を飛ばされないようにお気を付けください では最高の宇宙の旅をお楽しみください それではいってらっしゃい」
 
  アトラクションスタッフが安全確認をしてから、スペースコースターを作動させた。
  その後、乗っていったお客様たちを見送った。

ピーガチャン
スペースコースターはハイスピードで走っていった。


スペースコースターはだいたいいつも一時間くらいだった。スペースコースターのアトラクションスタッフたちはいつも焦燥している感じであった。
 
 「彩名さんもう少し笑顔でいきましょう」
  テーマパーク社員である加山紗也華がスタッフに指導していた。
 「はい分かりました」
  彩名由香は指摘されてからしぶしぶ返事をした。
テーマパークスタッフたちの服はNASAをイメージした研究員のようなコスチュームだ。テーマパーク社員のユニフォームも少し似た感じでリーダーの証のようなものを首につけている。
  加山もアトラクションが安全に動いている確認したり、スタッフの様やお客様の様子を確認したりするテーマパークモニターお客様モニターをするのも仕事だ、その他にシフト、マネジメント業務など多岐に渡る、お客様対応などは社員仕事の一つであるが
  お客様対応ばかりやるわけではない。
 「待ち時間延ばします」
  全員がつけているシーバーで加山はそれを伝えた。
 「分かりました」
 「分かりました」
 「分かりました」
  スタッフたちがぞくぞくと返事をした。
  
  スペースコースターでスタッフ全員が奮闘していた。

  





 夢遊と華美は約二時間くらいずっと話していた。

「あっという間に二時間経っちゃったね」
 華美がそのように言うと、夢遊も頷いていた。
「だよねもっと話したいね 今何時?」
 夢遊が時間を華美に尋ねた。
「今はまだ19時前だね」
「まだそれくらいか カラオケ行っちゃう?」
「今から?」
 夢遊がそのように聞くと、華美はいやいやながらも行くことにし、返事をした。
「まあいいよ」
「よしじゃあ急ごう」
 夢遊はうきうきし、その後2人はカラオケへと向かった。







次の日、いつものように夢遊と華美は、学校で休み時間に話していた。

「はあまだ結果来ないかな」
 不安そうに夢遊は結果を待ち望んでいた。
「まあそのうち来るよ一週間待ってみれば?」
 そんな不安そうな夢遊に華美はポジティブに声をかけた。
「そうだね様子見るよ」
 華美からの声かけに夢遊はほっとし待つことにした。
すると、たまたま携帯を見ると、知らない番号からの着信があった。
「あれ着信が来てる」
 夢遊がすぐに気づき、電話を出ることにした。
「ちょっと出るね」
 夢遊は、電話にすぐに出ることにした。
「はい、もしもし」

「こんにちは 私ジョイイマジネーションの上島と申します 向山さまのお電話でお間違いないでしょうか?」
    電話越しからの女性から自分の名前を確認され、とっさに夢遊は返事をした。
   「はい そうです」
   「かしこまりました この度はジョイイマジネーションのアルバイトにご応募していただきありがとうございます 実は今回お仕事のご紹介をさせていただきたくお電話致しました」
   「そうだったんですね」
   「はい それでですねアトラクションスタッフのお仕事をご紹介させていただきたくですね 向山さんとしては今回のお仕事いかがでしょうか?」
    電話で念のため、夢遊は確認された。
   「そうですね テーマパーク業界が初めてなので いろいろ仕事をやっていくことを考えると 経験なのでぜひやりたいと思います」
    夢遊は、いきいきと元気よく答えた。
   
    電話が終わり、夢遊は華美にさっそく報告した。
   
   「華美なんと」
   「決まって良かったね まあ言わなくても電話聞いてれば分かるよ」
   「そうなんとか決まって良かった」
   「本当良かったね」
   「まあこの後いろいろ手続きとかあるみたいだし、めんどくさいけど頑張るわ」
   「そこを乗り越えれば楽しい世界が待ってるからいいじゃん」
   「そうだけど」 
    
     入社手続きなど、いろいろめんどくさいと思っている夢遊に、華美は夢遊を後押 しした。
   
   
    放課後、夢遊と華美はいつも通り、カフェへと向かった。
   「じゃあ今日もカフェ行きましょう」
   「いいよ行こう」
    夢遊が学校が終わり、いつものようにカフェに向かうことが嬉しくテンションが
    高かった。
   
    
    カフェに着くと、はじめに席を取った。
  ドリンクを買い、席に着き、華美はトイレへと行った。
 「私 トイレに行ってくるね」
 「うん行ってら」
  夢遊はスマホを確認し、メールが来ていることに気づいた。
 「あっメール? ジョイイマジネーションからだ」

  メール内容
   この度は、ジョイイマジネーションの面接にお越しいただきありがとうございます。
    第一回オリエンテーションの日程・時間をお選びください。
   
    当日は持ち物として、筆記用具・印鑑・通帳となっております。
    
 「日程いつにしようかな 平日の学校終わりか土曜かな」
  オリエンテーションの日程を迷っていると、華美が戻ってきた。
 「何ひとり言言ってるの?」
 「えっあっそのオリエンテーションの」
 「そういうことね」
  ひとり言を言っていた夢遊に華美がすかさずツッコんだ。
 「テーマパークからメールがさっき届いてね オリエンテーションの
  日程を決めないといけなくてね」
 「そうなんだ大変だね」
  アイスコーヒーを飲みながら、華美は夢遊の話を聞いていた。
 「まあね はあテーマパークでアルバイトしたら学業の両立もしないとだし」
  夢遊はちょっと勉強のことを少し心配していた。
 「大丈夫だよ なんとかなるよ」
 「そうかな」
  心配している夢遊に華美は前向きになれるような言葉をかけた。
 「その他にも女子高生は意外と忙しいし」
「まあそうだよね」
 「あっ話変わるけど今カウンターで買ってる女子高生の子かわいい
  スカートもなんか短くておしゃれだし」
 「本当だかわいい」
 「やっぱりさ女子高生ってさああいう感じじゃないとだね」
 「いきなりどうしたの?」
  突然の話の展開に華美はびっくりしていた。

「いやー何ていうか他の女子高生の制服見るとさ うちの学校のもいいけど
 かわいいなとか思うんだよね 青春というかさ」
「まあねそれは分かるよ 制服かわいいし」
「だよね 華美も制服おしゃれだよ丈もちょうどういいし足細いしさ」
「あっありがとう 夢遊も全然かわいいよ」
「えっあっそう?ありがとうまあかわいいよ私は」
「自分で言うな」
 たわいもない会話をして2人はカフェで楽しんだ。


 夢遊が配属されるテーマパークのスタッフたちはいつも通り、働いていた。

「こんにちは何名様でしょうか?」
「3名です」
「かしこまりました では3番の列にお並びください」

 ここのアトラクションはゴーストタウンと呼ばれるエリアにある場所で、ゲストたちが
 トロッコに乗りながら、ゲームをクリアするように体験していくアトラクションだ。

「やばい怖そう」
「大丈夫よ そんなに怖くないみたいと書いてあるわよ」
 4歳くらいの子供が少し怖がっている様子であったが、母親がなんとか怖くないことを
子供に言い聞かせた。



「佐山君休憩行っていいよ」

「分かりました ありがとうございます」

 佐山に休憩の指示を出したのがゴーストタウンのアトラクションのスーパーバイザーである若木創太だ。彼は、帰国子女で語学が堪能であり、お客様のサービスもまた良いという評判でもある。新卒でジョイイマジネーションに入社した。最近は、シフト作成も担当しており、日々忙しい日々を送っている。


 「さて今日もゲームをやるか」
  休憩時間や休みの日の唯一の楽しみであるゲームをやるのが楽しみな
  佐山正樹は、今日もそのゲームをやる準備をしていた。彼は、ゲームやエンターテイメントが好きで、ジョイイマジネーションが運営するブランドニューオブアメリカでアルバイトをすることに決めた。

 
  休憩室にて
  「佐山くん相変わらずゲームが好きだね」
  「あああ神谷さんお疲れ様です」
  突然、誰かに声を掛けられて気づくと、同じアトラクションエリアのスーパーバイザーである神谷大介だった。
  「ゲームってやっぱり最高なツールですし」
  「なるほどなんかゲームしている君がいきいきしてる感じだよ」
  「なんかお褒めの言葉ありがとうございます」
  「いえいえ 自分も休憩だからここにいるよ」
  「分かりました」
   神谷大介は、日々いろんなことを勉強し、オペレーションなど指示などが分かりやすい。また彼は中途採用でジョイイマジネーションに入社し、前職の経験が活かされている。前職は警備員であり、警備の部署かと期待はしていたが、運営部のアトラクションになった。
  「てかさ 新しい子入るらしいよ」
  神谷が、佐山に身を乗り出しながら話した。
「そうなんですか 入って辞めてみたいな人たち多いですよね」
  佐山は、聞いた瞬間そんなに驚かずにいた。
「まあね意外ときつい所もあるしね」
 「どんな子か楽しみですね」
  2人は新たな新人が誰かを気になりながら休憩時間を過ごした。
 







 ブランドニューオブアメリカへの入社が決まった夢遊は、前日の夜わくわくしていた。
 
 「よし明日から新たな場所へ 楽しみだな 私がテーマパークのスタッフだなんて あっ準 備してなかった 忘れないようにしよう」
  
  夢遊は、てっきり浮かれていて準備を忘れそうになった。

 
 
 
 
 入社日当日
 
  ちょっと混雑している電車を乗り、なんとか到着した夢遊は、少し疲れていた。

 「疲れたわ やっと着いた あと少し」
 
 
  あらかじめ地図を渡されていたので、すぐに場所が分かった。建物前にはコスチューム
  を着て手にはバインダーを抱え髪を束ねた女性が立っていた。
 「あのすみません本日入社手続きに来た向山です」

「かしこまりました 確認致しますので、お待ちください」
 「はい 分かりました」
 
  5分間くらい夢遊はドアの前で待ち、その後 先ほどの女性スタッフがやってきた。
 「向山さまお待たせしました 確認が取れたのでご案内いたします」
「ありがとうございます」
  確認が終わり、女性スタッフの案内に続いて夢遊はついていった。
 
  女性スタッフが番号を入力し、ドアを開け中へ入ると、今まであまり見たことがない通りになっており、少し暗い雰囲気になっていた。夢遊は思わず声を上げた。
 「わっすごい」
 「そう?すごいかしら?」
 「はい あまり通ったことがない道なのでちょっと驚いています」
 「そうなのね なかなかこういう所に来ることないら驚くわよね」
「はい もう言葉が出ないほどです」
 案内してくれている女性スタッフと歩きながら話をして楽しんだ。
「もう着くわね」
 暗い雰囲気の場所を歩き、夢遊は見渡していた。
 白い壁が一連に続き、さらに他のスタッフの姿も見受けられていた。

「すみません A651のコスチュームです」
「分かりました ありがとうございます」


 他のスタッフが、コスチュームを借りるために、番号が書かれていた番号の紙を言い、担当の人に渡していた。

「あそこでコスチュームを借りたり、戻したりするのよ」
「そうなんですか」
 大切なことだったので、たまたま通りかかったのもあり女性スタッフが夢遊に説明していた。

「着いたわね 今から開けるからもう少し待っててね」
 いたるところで番号式のドアになっているので、女性スタッフが改めて番号を押し開けた。
 中は、さまざまなテーマパークのことが一面に壁に貼られており、テーマパークの世界観がこの部屋で感じられる雰囲気であった。

「じゃあちょっとここで待ってて もう少しで担当者が来ると思うから」
「分かりました ありがとうございます」
 夢遊は部屋の奥にある巨大スクリーンと椅子がある所に案内され、そこに座った

 緊張しながら椅子に腰かけ、担当者を待った。

さらに、また一人のスタッフ候補の子が男性スタッフに案内され腰かけていた。
「ではこちらでお待ちください」
「ありがとうございます」
 もう一人の子は女の子だった。ちょうど隣の席であったので、夢遊はあえて話かけようとした。

「あの今日から入社する方ですか?」
 夢遊は、緊張しながら話かけた。
「はい 今日から入社する川本梨菜と言います お名前は何て言うんですか?」
「あっはじめまして 向山夢遊と言います よろしくお願いします」
「珍しい名前ですね」
「よく言われます」
「今って学生さんですか?」
「はい 今は高校1年です 川本さんもですか?」
「私も高校1年です 良かった同い年の人がいて はじめてテーマパークでアルバイトするので不安だったんです これからよろしくね」
「私もです こちらこそよろしくお願いします」
 2人が、話している間に、担当者がやってきた。

「ではこれから説明会を始めていきたいと思います 私担当の若井雄介と申します お願いします」
担当の男性は、20代後半くらいの人であった、右側のポケットの所にネームプレートがついており、さらに着ているコスチュームは白と青だ。着ている服装が白で、履いているパンツは青だった。テーマパークらしいコスチュームで明るかった。
「これから皆さんにわがテーマパークであるブランドニューオブアメリカのサービスやミッションなど、入社に関わるビデオを見ていただきます 終わりましたらまた別の場所へご案内いたします」
 
 ブランドニューオブアメリカのビデオが上映された。
 
 アナウンスの声
  アメリカができてから 244年の歳月が経ち アメリカの国に私たちが行くことがすでに当たり前になっている そんなアメリカという国の歴史を今後も忘れないでほしい
  
はじめの導入で、男性のアナウンスで、黒白でアメリカの映像が流れた。そのあとすぐに新たな映像が流れ、女性のアナウンスに変わった。
  
ここはアメリカをテーマにしたテーマパーク ブランドニューオブアメリカだ アメリカというのを新たにこれからも切り拓いていくということで ブランドニューオブアメリカという名前になっている まずはキャストの皆さんには 働く上で知っておいてほしいことをお伝えしていこうと思います。
はじめに職場に行くまでのことについて説明します
駅に時間指定で来るバスに乗ってください

「バスが来るんだすごい」
   夢遊はつい見ていたら一人言のように発し、口にしてしまった。
 
   バスは一時間に一本しか来ませんので 乗り遅れないように注意してください
   その際は必ず証明書を見せてください
   
続いて職場に到着したあとについてです
   職場に着いたらはじめにコスチュームセンターに行き 自分の番号とコスチューム番号を伝えてください こちらについてはのちほど説明があります
   
   続いて出勤についてです
   出勤はコスチュームに着替えて15分前に打刻をしてください 退勤時間についても同様となります
   
   続いては朝礼についてです
    出勤したら朝礼があります 朝礼は基本 オープン ミドル クローズなど どの時 間帯でも行います 朝礼前に今日のテーマパークの状況と売り上げや新たな情報などが書かれていますので朝礼前に読みましょう 朝礼は先輩キャストや社員マネージャーにお願いしてください
   最後にミッションについてです
    私たちブランドニューオブアメリカは、多くのゲストに楽しんでもらうために日々エンターテイメントを提供し続けています その心を忘れずにぜひここでの感動体験を一緒に作りましょう
   
    ブランドニューオブアメリカのロゴがアナウンスのあとに流れ、ビデオは終わった。
   
    「皆さまお疲れ様でした ではこの後は各部署に沿ってご案内となります 担当のキャストが皆さんをご案内いたします」
   
    「川本さんはどこのキャストさん?」
    夢遊は一緒かもしれないと感じたので聞いてみた。
    「私はアトラクションだよ 向山さんは?」
「えっ偶然 私もアトラクション 一緒だったらいいね」
「だね まあここ広いからね アトラクションの数も多いから違うエリアもあるかもね」
「たしかに まあそういう可能性もあるよね」
 同じアトラクションではあったが、お互いはもしかしたら違うアトラクションエリアの可能性もあることを予測はしていた。




夢遊たちが、テーマパークの説明を受けている中、今日のテーマパークもにぎわっていた。各エリアにポップコーンのワゴンやドリンクワゴンが置かれていた。そんな中、一人のビジネスカジュアルのような服装をしている男性がキャストたちに指示をだしていた。

「ここのポップコーンをもう少し補充して」
「はい 分かりました」
 1人の女性キャストが返事をした。
「そしたら他のワゴンに行ってモニターしてきます」
「了解しました」

 この男性は、主にフード・ドリンクワゴンを担当しているテーマパーク社員のスーパーバイザーだ。彼の名は本間瑞樹という名前で、前職は航空自衛官をしていた。もともとはテーマパーク業界には興味なかったものの、自衛官時代に多くの人助け感謝される経験かから、より多くの人を笑顔にしたいと思い、退職した。最後は円満退社をしたので、今でも親交がある。なんとかこのテーマパークを運営しているジョイイマジネーションに転職することができた。

「お疲れ様です ゲスト状況からすると まだたくさんいらっしゃるので補充をお願いします」
「分かりました」
「分かりました」
 2人の女性キャストに、また指示を出した。
「鴨居さんバイトどうですか?楽しいですか?」
「はい 楽しいです」
 本間は、まだ入って1週間の鴨居小海という女性キャストに、そのように言われた。
「それなら良かった テーマパークは楽しい場所だからね 自分が楽しむことだからさ」
「そうですよね ありがとうございます」
「ここからは各セクションごとに分かれて担当の方に改めて説明を受けてもらいますのでよろしくお願いします」
 先ほど案内してくれた女性キャストが、やってきて夢遊たちに伝えてくれた。
「途中まで一緒に行こう」
「うん そうだね行こう」
 夢遊が梨菜に一緒に行こうと言った。
たくさんの新人キャストがずらっといて、それぞれ分かれてから行くようになっていた。
「これからテーマパークで働くことに実感がまだわかない」
「それうちもだよ 夢遊ちゃんテーマパーク雰囲気的にあってる」
「えっそう?ありがとう 梨菜ちゃんもだよ」
「ありがとうお互い頑張ろうね」
「頑張ろう」
 2人はお互いに励ましあった。話している間に、あっという間にそれぞれのセクションの裏ステージに着いた。
「じゃあ 私ここだからまたね 終わったらさ待っててくれる?」
 夢遊は梨菜に終わった後に、集まる約束をした。
「うん いいよじゃああとでね」
 終わった後に合流する約束をし、夢遊自分が配属されたアトラクションの場所に行った。
「ではこちらですね ここの部屋でお待ちください では失礼します」
 夢遊は軽く会釈をしてそのまま座って待っていた。
先ほどと同じような雰囲気の場所になっていてテーマパークらしい雰囲気の部屋になっていた。いろんな貼り紙も貼られていてまるでオフフィスのような感じでもあった。しばらくすると、1人の男性がオフィスに入ってきた。
「失礼します」
「こんにちは」
夢遊は、入って来たと同時に、挨拶をした。
「はじめまして 私アトラクションエリアの担当をしている社員スーパーバイザーの若木創太と申します よろしくお願いします」
「はじめまして本日から入社した向山夢遊と申します よろしくお願いします」
「お願いいたします ではさっそくなんですが入社書類の記入などをやっていきたいなと思いますので 本日印鑑などはお持ちですか?」
「はい持ってきました」
 スーパーバイザーの若木から尋ねられ、夢遊は答えた。
「はじめに誓約書や守秘義務などルールについての所をお読みになってサインをお願いします」

夢遊は読んでいると心の中で、厳しいなと思いながら読んでいた。

(これは厳しいというかテーマパークだから当たり前だよねというのが本音だけども
髪型髪色や眉毛、爪などこういうのは基本的なことか テーマパークのサービス基準もきちんと守りながらいつでも笑顔で多くのゲストに接するなども これもやっぱり当たり前なことか)
 「テーマパークルールなどいろいろ書いてありますが基本的なことは身だしなみとかですかね」
  スーパーバイザーの若木は、そこを強く強調しているようにも思えた。
「あとはSNS関係ですかね ゲストに情報が出る前にそれをつぶやいたりとかやめてください 以前ここでSNS関係で問題が起こりました 最近やっている人たち多いみたいですが そこらへんは気を付けていただければと思います」
 「分かりました」
 「少し話変わりますが ここのテーマパークには来たことはありますか?」
 「はいあります 中学生の頃によく来てました」
 「そうだったんですね どこが一番好きとかありますか?」
  スーパーバイザーの若木からちょっとした質問をされて答えていた。
 「ナイアガラの滝のアドベンチャーエリアですかね」
 「おおうちの人気アトラクションじゃないですか ちなみにここのアトラクションんはどこのエリアか分かりますか?」
「えーとちょっと分からないですね」
 「ではちょっと出てみましょう」
 「あっはい」
  アトラクションの話をしていて、どこのアトラクションかというのを教えるために若木は、夢遊を連れてテーマパークの外に出た。
 「わっかなり暗いですね」
 「はい 暗いですよ ここはゴーストエリアですからね ニューヨークの街並みを意識したところなのですが リアルに再現されてます ちなみに担当してもらうのはゴーストコースターとゴーストハウスです」
 「2つも担当するんですね」
 「はい そうですね エリア自体が近いので交代とかしながら担当してもらう形になりあす」
 「楽しそうです 早く働きたいです」
 「楽しいですよ 新たな仲間が増えるので僕も楽しみです」
 「あそこは何ですか?」
  夢遊があたりを見渡していると気になった場所があったので若木に聞いた。
「あそこは ゾンビホスピタルシティです かなりここでの人気アトラクションでして
 いつも120分待ちです ゴーストエリアの中にさらに小さいエリアがあるので子供
 から大人までたくさん来られますね」
「すごいですね 着る制服もなんかかっこいいですね」
「おお制服はたしかにいいですね ゴーストエリアはわりかし暗い感じの雰囲気にしてい
 るので キャストにも人気です」
「そうなんですか 早く着てみたいです」
「ワクワクしますよね」
「はい テーマパークのユニフォームはなかなか着れないのでいい機会だなと思うので」
「そう言っていただけて光栄です 一通り回ったので一旦オフィスに戻りましょう あっ
 その前に働く仲間たちを紹介しますね」
「分かりました」
 若木は、配属部署であるアトラクションに夢遊を案内した。
「今ちょうど空いてるかもなので 挨拶だけでもしちゃおうと思います」
「分かりました」
「ここです あっいたいた佐山君ちょっとだけいい?」
 アトラクション担当である佐山を若木は呼んだ。
「はい 大丈夫ですよ」
「新しく入社することになった向山夢遊さんです」
「こんにちは 佐山正樹です よろしくお願いします」
「向山夢遊です よろしくお願いします」
「ちなみにコースターの機械の後ろに立ってるのは僕と同じスーパーバイザーの神谷大介
 さん」
「そうなんですか」
「うん他の部署にも社員さんいるからね じゃあオフィス戻ろうか」
 若木と夢遊はオフィスに戻った。
「さてじゃあ最後にシフトなんだけどいつ次来れる?予定とか確認できたら教えてもらえる?」
「はい 平日だと学校なので来週の土曜日でお願いします 時間は何時でっも大丈夫です」
「分かった ありがとう そしたら今日はこれで終わりね 制服なんだけどまだできてないから 来週までに発注してそしたら来週くらいに着てもらう形になるから もう少しお待ちを」
「分かりました 楽しみです」
「だよね やっぱりさ女の子は制服が楽しみだよね」
 夢遊は笑みを浮かべながらワクワクしたような顔つきであった。
 若木も制服を来週着るのが楽しみな夢遊の姿を親が子を見守るかのような感じでもあった。
 
  そして、夢遊の入社の手続きが終わり、待っていた梨菜は夢遊に声をかけた。
 「お疲れ様」
 「ああお疲れ様 意外とさ時間短く感じたね」
 「そうだね 意外と短く感じたよね 夢遊ちゃんどうだった入社手続き?」
 「なんとか入社手続き終えてほっとしてるよ 楽しみ」
  梨菜は夢遊の様子を伺って聞いた。
 「梨菜ちゃんは?」
 「私も早く働きたいなと思った テーマパークのアルバイト応募して良かったと思ったよ」
 「そっかやっぱりそうだよね ちなみに梨菜ちゃんはどこのアトラクションエリアなの?」
 「私はNASAとかがあるスペースのエリアかな」
 「おおそうなんだね そこもなかなかいいね」
「そうだね なんかさ他のエリアとかセクションとか手伝いに行くこともあるみたいだよ」
 「らしいね 言ってたわ」
  夢遊と梨菜は、これから働けることにワクワクしていた。2人は顔を見合わせながら、誇らしげに話していた。
 「てかあたりこんな真っ暗だね 明日の課題もやらないといけないのに」
 「あっそうなんだ 私もだ 夢遊ちゃんなら大丈夫だよ」
 「ありがとう頑張ろう」
学校の課題をやらないといけない焦りもあったが2人の帰りは、どこか楽しい雰囲気であった。
  
  平日の夜のテーマパークも意外と混んでいたが、土日や休日ほどでもなかった。夜の20時で、あと2時間くらいで閉園だ。そんな状況で各セクションのテーマパークキャストたちが、点検や確認なども徐々に始めていた。
 
 「本間さんあと20本くらいでチョロスステイックが完売してしまいます もちますかね?」
 「そうね まああと二時間で終わりだし大丈夫だよ」
  ワゴン担当のキャストがフード担当のスーパーバイザーの本間に尋ねた。
 「分かりました ありがとうございます」
 「うん それでよろしくね そしたらアメリカンフォレストレストランに行ってくるね」
 「はい 了解です」
  本間は周辺ワゴンを見たあとに、もう一つの管轄であるレストランへと向かった。
「まーくん 高野ちゃん見なかった?」
「いや見てないですよ」
 スーパーバイザーの神谷が佐山に同じアトラクション担当のキャストである高野の居場所を聞いた。
「そっか 休憩かな?」
「どうでしょうね おそらく」

「ああ神谷さん ゲスト対応してました」
「おお良かったいたいた」
「かなりやばかったですか?いなくて」
「いや大丈夫だよ 言うてもうあと一時間半で閉園するしさ」
「それなら良かった てか聞いてくださいよ」
「あっゲスト来たからまたあとで」
「分かりました」

「こちら3番の列にお並びください」

 テーマパークもあと少しで終わりなので、ゲストの数も少なく話すくらいの余裕もあった。





「よし課題終わった テーマパークのアルバイトができる楽しみでモチベーションが上がってる」
 近所の近くのカフェで、英語の課題を終え、終わった達成感で夢遊は一人事を言っていた。
 そんな中、華美がやってきた。
「お疲れえっ何してるの?」
「課題やってた」
「明日の?てかまだやってなかったの?」
「まあね 終わってなかった 忙しいからさ」
「言うてアルバイトでしょ?」
「そうだけど 入社手続き今日終わったからさ 帰りにカフェ寄ってやろうかなと思ったんだよ」
「なるほどね」
「そうそう てか華美相変わらずスカート丈短いじゃん」
「いやあんたもでしょ?この前スカートまくってるところみたけど」
「どこ見てんのよ」
「いやいやたまただし でもスカート短い方がさかわいいし 長いと格好悪いしさ」
「分かるけどね 先生もたまに確認してくるからめんどいけどね」
「たしかに こんな話題で盛り上がるとは」
「そうだね 女しかできない話題かもね」
 制服のスカート丈のことで2人はカフェで盛り上がっていた。




「よしじゃあまーくん上がっていいよ」
「分かりましたお疲れ様です」
「うんありがとうね また頑張ろう」
「はい頑張りましょう」
 神谷が佐山に退勤することを伝えた。

「そういえばさ高野ちゃんさっき話そうとしてたこと何?」
 神谷が先ほど話そうとしてた高野の話題を尋ねた。
「ああ なんか新しい子入ってくるという話です」
「えっ高野ちゃん知らなかったの?」
「はい えっみんな知ってるんですか?」
「うんもうかなり前に」
「教えてくださいよ」
「知ってるかなと思ったんだよ」

 新たな新人が入ってくることを知らなかった高野は自分だけ知らなかったことにちょっと笑いながら言った。
「あとは高野ちゃんトレーニングだからよろしくね」
「私がですか?」
「そうそうもうベテランだし大丈夫」
「まじですか頑張ります」
 トレーニングをすることになり、少し緊張気味でもあった。
「トレーニングプランシートで教える内容まとめてみて これね」
神谷にトレーニングプランシートを渡され、高野はトレーニングで教えることをまとめることになった。




「どんな子なんだろうとちょっときになったりしませんか?」
「まあ気になるよね ああ自分はもうすでに挨拶してるから知ってるよ」
「えっ神谷さん会ったんですか」
「そうだよ この前入社手続きの時に挨拶したからね」

 高野は神谷に、新人で入ってくる予定である夢遊について聞いてみた。
 会ったことはない前提で話を進めていたが、神谷はすでに初日に会っていたので、そこについての仲間意識は持てなかった。
「どんな子でした?」
「女の子だったよ たしか高野ちゃんと同い年じゃないかな」
「まじすか やった」
 高野は嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「これから楽しみだね」
「はい 楽しみです」



夢遊は、その日の夜にテーマパークのスタッフとして立つまでに、サービスやおもてなしについての本を読むことにした。
「これからテーマパークのスタッフとして役立てるために自分なりに勉強しておこう」
 家で一人でノートに書きながら読み進めていた。

 夢遊は、アルバイトで、ここまで勉強したのははじめてだった。今までたくさんの失敗もありながらも、何事も諦めずにやってきた、そこの強みは自分でも分かっていたし、華美も知っているところだった。

「よし 今日はここまでとりあえず明日も早いからもう寝よう」

 明日の学校に備えて寝ることにした。





「今日はちょっとアトラクション自体の運営がうまくまわせてなかったところありましたね」
「ですね オペレーション変更します? ゲストが少し困惑しててスムーズにご案内できなかったので」
「やっぱり中番の時間はそういう感じでしたか とりあえず明日のオペレーション変更の伝達書いておきます」
「若木さんありがとうございます お願いします」
「了解です 後シフトがまだ出てない人いるんですよね」
「そしたらその伝達は書いておきますね」
「お願いします ありがとうございます」

 スーパーバイザーである若木と神谷はパソコンを操作しながら、アトラクション全般についてのことを話し合っていた。
「これから繁忙期にも入りますしね シフト的な部分はちょっと早めがいいですよね」
「その方がありがたいですね」

「お疲れ様です ゲスト対応してました」
「ああ高野ちゃん まだパークいたんだね」

「はい ちょっと困っているゲストがいたので案内してました もうクローズしたので ゲストはさきほどご案内した方が最後でした」
「おおなるほどね ありがとう」
高野がゲストを案内して、戻ってきた。お困りのゲストの方がいらっしゃったので、案内をしていたのだ。
「神谷さんあといつからトレーニングというか新人さんの研修やるんですか?」
「そうだね 若木さんいつからだでしたっけ?」
「今確認しますね」

 高野からトレーニングの日程を聞かれたので、若木が確認して伝えた。
「新人さんは土曜日の15時からになってるね」
「分かりました ありがとうございます」





1週間が経ち、ついに夢遊の出勤日となった。

「よし今日から出勤だ頑張るぞ」
支度をしながら、初日出勤で少しばかり意気込んでいた。

駅まで歩き、その後は電車へと乗り向かった。自分が今まで遊んでいた場所が、今度は職場になるということに少しばかり驚きを隠せない感じであった。

携帯をいじりながら、電車を待った。自宅からブランドニューオブアメリカまでは、意外と近いので、交通の便としては良い環境にあった。

最寄り駅に着き、テーマパークキャスト専用のバスをバス停で、少し待ち、ようやくバスが到着したので乗り込んだ。証明書を乗ったら見せることになっていたので見せた。

行く途中までは、遊びに行くような感じであったので、慣れてしまえば、ここはもう当たり前になってしまうかなとも夢遊は感じていた。

10分程で、従業員専用の場所に到着し、降りた。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
 続々と、テーマパークキャストが運転手にお礼を言って降りていった。
「ありがとうございました」
 夢遊も、同じようにお礼を言い降りていった。

エントランスの場所は少しばかり、狭い扉みたいなイメージではあったが、そんなに入れなくなる感じでもなかった。
受付のスタッフがいたので、そこで証明書を見せた。
「お願いします」
「あっもしかしてまだもう一つの証明書などは完成していない感じですか?」
「証明書ですか?」
「はい 今見せていただいてるのは基本バスなどに乗る時に使用するので 来館用と中に入った時に食事などをする時や、買い物などをする時に使用したりするものなのですが」
「なるほど また別に証明などのやつがあるんですね」
「はい そうですね 担当のセクションのスーパーバイザーの方に聞いていただければと思います 本日は仮証明書を発行しますね」
「ありがとうございます」
夢遊が見せた証明書は、バスなどの時だけに必要なので、基本はテーマパークに入った時
は、必要はなかった。今回は仮証明書を発行してもらうことになった。
「こちらですね 退勤する際に受付で返却をお願いします」
「分かりました」
「あっここにタッチをお願いします」
「はい ここですね」
「はい ありがとうございます 本証明書が発行になりましたら 出勤でタッチするだけで大丈夫です」
「分かりました ありがとうございます」

エントランス時の出勤のタッチを忘れると遅刻扱いになるということもあるので、気をつけないといけないと思った。しかも部署でも出勤の打刻が必要なので、それも大変だと思った。
「よし ユニホームを取りにいこう」
 夢遊はコスチュームセンターに行き、ユニホームを取りに行った。コスチュームセンターまでは、しばらく歩く。そういう意味では、あまりギリギリに来れないのがちょっときついと感じた。
「少し遠いけど頑張ろう」
 夢遊は、一人事を少し言いながらコスチュームセンターへと向かった。

 
 3分程度で、コスチュームセンターに着き、夢遊はコスチュームと引き換えする紙を見せた。
「あのすみません コスチュームお願いします」

「はい かしこまりました A-G0221ですね お待ちください」

コスチュームセンターの受付の女性キャストにコスチュームと引き換えに必要な紙を見せた。受付の女性キャストも左側に名前のネームプレートつけていた。
「こちらですね ではそのままロッカーがつきあたりにあるので そちらで着替えてから行ってください」
「はい ありがとうございます」
「ここで働くことは楽しいと思いますので 新人さん頑張ってください 新しいユニホームだったので新人さんだと思ったので」
「あっそうだったんですね ありがとうございます」
受付の女性キャストは、夢遊が新人であるので丁寧に教えてくれた。
そのままロッカーへと向かい始めた。歩いていると、自動販売機やアメリカなどの展
示などテーマパークならではのものがたくさん展示されていた。
「すごいな」
 思わず口に出してしまうほどであった。
「ここがロッカーか あれ番号って知らないな」
夢遊はロッカーの番号が分からず少し戸惑っていた。すると、他のセクションの女性キャストがやってきた。
「ああもしかしてここの番号分からない感じですか?」
「はい ちょっと分からないです」
「分かりました じゃあ開けますね 番号は0117です」
「ありがとうございます」
その女性キャストは夢遊が入る予定であるアトラクションセクションである高野だった。
   高野は笑顔で挨拶をして、自身のロッカーに行った。
  
   夢遊はロッカーに行き、荷物を置いて、ユニフォームに着替えた。

  
  時間までは少し余裕があるが、ここから少し歩いた先に夢遊のセクションであるアトラクションのオフィスがある。
  「ここからまた少しか」
  すると見たことある女の子に出くわした。
  「夢遊ちゃんじゃん お疲れ」
  「梨菜ちゃん久しぶりだね」
   以前入社手続きで一緒だった川本梨菜だった。
  「まさか会うとは驚きだね」
  「本当にね 夢遊ちゃんは今日が初日?」
  「うん 今日が初日だね 梨菜ちゃんは?」
  「私は今日で2日目かな 学校ある日だったけどシフト入れたんだよ」
  「それはすごいね どうだった?」
  「いやいやそんなことはないよ 緊張したけど 次のシフトから現場もう出れるから
   楽しみなんだよね」
  「いいな それは楽しみだね 頑張ってね」
  「ありがとう 夢遊ちゃんも頑張ってね」
  「頑張ります」
   お互い昔からの友人に会ったかのように、仲良く話していた。
「じゃあまたね」
「またね」
 梨菜と夢遊は挨拶をして別れた。

そしてまた、夢遊はアトラクションの場所に向かって歩いて行った。

「よし頑張ろう」
 自分に言い聞かせて、アトラクションのオフィスの扉を開けた。
「お疲れ様です」
 夢遊は開けたと同時に、「お疲れ様」という挨拶をした。
「あっお疲れ様です」
はじめに、お疲れ様の挨拶をしたのは、スーパーバイザーである神谷だった。
「こんにちは はじめまして こちらのアトラクションのスーパーバイザーをやっておりま す神谷大介です」
「はじめまして 本日今日から勤務する向山夢遊です よろしくお願いします」
 夢遊はスーパーバイザーの神谷に挨拶をした。
「よろしくお願いします そうしましたらもう少しで打刻ができますので そこにすでに向山さんの打刻カードがありますので そちらのカードでタッチお願いします」
「分かりました」
 夢遊は、そう言われると打刻カードでタッチをした。
「今日は現場に出る前の事前研修をはじめに行います 担当は私がやりますのでついて来てください」
 勤務の初日なので、事前研修を行うことになっている。さまざまな業種がたくさんある中で、テーマパークという職種は特殊である、そういう意味では、この事前研修も大きな研修でもある。

「では 別の場所で行うのでついてきてください」
「はい」
オフィスの中に、さらに部屋があった。一体どれくらいの部屋があるのか少し疑問に思っていた。
「ここでやりますね 下ざわざわしていますが、アトラクションのすぐ近くの部屋なので
 ざわざわしています」
「そうなんですね」
「そうです 後ろの窓みたいな所ありますよね その下をすぐ見るとアトラクションです」
「たしかにもうコースターの場所ですね こんなの初めてです」
「ですよね ここの眺め意外といいんですよ」
「いいですよね」
 初めて見る景色に、夢遊は、ワクワクしていた。
「では 研修始めましょうか」
「そうですね」


事前研修が始まった、約1時間くらいまでやる予定だった。




「こんにちはようこそ どうぞごゆっくり見ていってくださいね」
 1人の女性キャストがゲストに声をかけていた。ここの店舗はハリウッドをイメージした店内になっており、まるでアメリカにいるような感じだ。

「ご自宅用でしょうか?」
「はい 自宅用です」
「かしこまりました ではお会計が1970円です」


するとオフィスカジュアルの服を着た男性が1人店内に来た。
「田部さん あそこの新商品のブースに補充してもらえるかな?」
「分かりました」
 1人の女性キャストに指示をしたのは、商品部に所属しているスーパーバイザーだ。
 彼の名前は、長谷山 樹だ。まだ経験が浅い新卒ではあるが、最近は少し慣れてきた感じだ。


その店の前のすぐ近くにあるワゴンのお店があった。2人の女性キャストが会話をしていた。

「てか外暑いね」
「夏だしね」
「ゲスト今少ないよね」
「うんうん 分かるよ」
 たわいもない会話をしていた2人の女性キャストは、本間が見ているエリアのワゴン
働いている。1人のキャストの名前は松山里奈 もう一人の女性キャストの名前は、
 児玉真央だ。
 いつも2人でいて仲が良い。
「てかさ 里奈課題終わった?」
「まだ終わってない」
「終わってない感じなんだね てかさ大学生って課題多いとか本当言われてるけど 本当だね」
「それね うちさお母さんにバイトしすぎとか言われてるわ」
「えっそうなの?まあたしかにシフトたくさん入ってるのは 確かだけど」
「一応稼ぎたいし」

「お疲れ様」
「あっお疲れ様です」
「お疲れ様です」
 松山に続いて、児玉も挨拶をした。
本間がワゴンのお店に来た。
「補充終わってます」
 児玉が本間に伝えた。
「分かった ありがとう 19時からパレードとショーが始まるから 少し買いに来るゲスト少なくなる」
「分かりました」
「分かりました」
「2人って同じ大学だっけ?」
「そうなんです 偶然にも同じ大学なんですよ」
 松山が答えた。
「ちなみに高校も同じです」
「すごいね 高校から大学まで同じなのは」

「頑張ったんですよ 勉強 里奈は英語足引っ張ってたよね」」
「それ言わなくていいよ」
「僕もあまり英語得意ではないからさ」
3人は、たわいもない会話をしていた、いつの間にか楽しい雰囲気になっていた。




「ここのカッコに入るのはゲストを常に見ていく」
「そんなに長くですか」
「そうだよ」
「かなりサービス力いれてますね」
「そうだね日本一のテーマパークだからさ」
「いいですね」
「あとで実際にアトラクションの所に行って現場を見にいこうと思います」
「分かりました」



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