マイ・イカ
文字数 1,984文字
むかしむかし、ある町にウツキという男の子がいました。
ウツキはとても暗い子でした。嫌な事があるとすぐにしょげてしまい、悪口をいわれるとすぐに泣いてしまいます。クラスの子たちはすぐにしょげるウツキを毎日のようにからかって遊んでいました。
今日もクラスの子にからかわれたウツキは、悲しさをまぎらわせるために、浜辺で海をながめていました。おだやかにゆれる波を見つめていると心が落ち着いてくるのです。
「きみ、どうしたんだい!?」
しょんぼりと海をながめていると、とつぜん元気で明るい声が聞こえてきました。ウツキが顔をあげると、となりに笑顔のまぶしいお兄さんが立っていました。
「お兄さんはだれ?」
「ぼくの名前はタイヨだ。きみの名前は?」
「ウツキ」
「ウツキくんか。いい名前だね。きみはいったいどうしてそんな暗い顔をしているんだい?」
「今日クラスの子にからかわれたんだ。『ネクラ、ネクラ』ってぼくをバカにするんだ。それがとても悲しくて」
「それはつらいね。よし。お兄さんがいいものをあげよう!」
タイヨはポケットにしまっていた手のひらサイズのイカのぬいぐるみをウツキにさしだしました。
「これはなに?」
「明るく元気になるぬいぐるみ『マイ・イカ』だ。嫌な気持ちになったとき、それを両手でにぎって『マイ・イカ』ととなえるんだ。そしたら、嫌な気持ちが消えて、明るく元気になれるよ」
ウツキは「そんなことあるはずない」と思いながらもタイヨの明るい笑顔に負けてイカのぬいぐるみを受け取りました。白いイカのぬいぐるみはぷよぷよしていて触っていて気持ちがいいです。
「お兄さん、ありがとう」
お礼を言うためにウツキはイカのぬいぐるみからタイヨへと顔を向けました。
しかし、もうそこにはタイヨのすがたはありませんでした。
次の日もウツキはクラスの子にからかわれ、嫌な気持ちになっていました。
下校中、ウツキはふと昨日のことを思い出し、ランドセルからイカのぬいぐるみを取り出しました。タイヨに言われたとおり、両手でイカのぬいぐるみをにぎりしめ、「マイ・イカ」ととなえます。すると不思議なことに、自分の中にあった嫌な気持ちがどんどん晴れていくのです。
ウツキはそれがなんだかおかしくて次第に笑顔になりました。
その日から、ウツキは嫌な事がある度に、ランドセルからイカのぬいぐるみを取り出して「マイ・イカ」ととなえるようにしました。そうすることで嫌な気持ちは晴れ、明るい気持ちでいられるようになりました。
それだけではありません。「マイ・イカ」のおまじないで、失敗にも動じなくなったのです。「マイ・イカ」はもう一度やってみる勇気をウツキにあたえてくれました。
イカのぬいぐるみのおかげで、ウツキはチャレンジ精神のある明るい子になったのです。クラスのみんなは大きく変わったウツキにおどろきました。
ある日、学級委員が「どうしてそんなに明るくなったの?」とウツキにたずねました。ウツキは彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
ウツキの話はすぐにクラスじゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
するとクラスは活気に満ちあふれ、学年行事ではいつも一番の成績をおさめることができました。
それを聞きつけた校長が学級委員に話を聞きました。学級委員は彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
学級委員の話はすぐに学校じゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
すると学校は活気に満ちあふれ、町の中で一番頭のいい学校になったのです。
それを聞きつけた町長が校長に話を聞きました。
校長は彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
校長の話はすぐに町じゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
すると町は活気に満ちあふれ、国の中で一番栄えた町へと発展していきました。
それを聞きつけた国王が町長に話を聞きました。町長は彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
町長の話はすぐに国じゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
すると国は活気に満ちあふれ、国から負の感情が消え、みんな平和に暮らせるようになったのです。
「マイ・イカ」というおまじないを最初に広めたウツキは国の英雄になりました。
今日も国じゅうの人々がイカのぬいぐるみを両手に「マイ・イカ」ととなえていることでしょう。
やがて時は流れ、「マイ・イカ」は徐々に形を崩していきました。そして現在、国のとある人が嫌な気持ちを消すために次のようにとなえました。
「まぁ、いいか」
ウツキはとても暗い子でした。嫌な事があるとすぐにしょげてしまい、悪口をいわれるとすぐに泣いてしまいます。クラスの子たちはすぐにしょげるウツキを毎日のようにからかって遊んでいました。
今日もクラスの子にからかわれたウツキは、悲しさをまぎらわせるために、浜辺で海をながめていました。おだやかにゆれる波を見つめていると心が落ち着いてくるのです。
「きみ、どうしたんだい!?」
しょんぼりと海をながめていると、とつぜん元気で明るい声が聞こえてきました。ウツキが顔をあげると、となりに笑顔のまぶしいお兄さんが立っていました。
「お兄さんはだれ?」
「ぼくの名前はタイヨだ。きみの名前は?」
「ウツキ」
「ウツキくんか。いい名前だね。きみはいったいどうしてそんな暗い顔をしているんだい?」
「今日クラスの子にからかわれたんだ。『ネクラ、ネクラ』ってぼくをバカにするんだ。それがとても悲しくて」
「それはつらいね。よし。お兄さんがいいものをあげよう!」
タイヨはポケットにしまっていた手のひらサイズのイカのぬいぐるみをウツキにさしだしました。
「これはなに?」
「明るく元気になるぬいぐるみ『マイ・イカ』だ。嫌な気持ちになったとき、それを両手でにぎって『マイ・イカ』ととなえるんだ。そしたら、嫌な気持ちが消えて、明るく元気になれるよ」
ウツキは「そんなことあるはずない」と思いながらもタイヨの明るい笑顔に負けてイカのぬいぐるみを受け取りました。白いイカのぬいぐるみはぷよぷよしていて触っていて気持ちがいいです。
「お兄さん、ありがとう」
お礼を言うためにウツキはイカのぬいぐるみからタイヨへと顔を向けました。
しかし、もうそこにはタイヨのすがたはありませんでした。
次の日もウツキはクラスの子にからかわれ、嫌な気持ちになっていました。
下校中、ウツキはふと昨日のことを思い出し、ランドセルからイカのぬいぐるみを取り出しました。タイヨに言われたとおり、両手でイカのぬいぐるみをにぎりしめ、「マイ・イカ」ととなえます。すると不思議なことに、自分の中にあった嫌な気持ちがどんどん晴れていくのです。
ウツキはそれがなんだかおかしくて次第に笑顔になりました。
その日から、ウツキは嫌な事がある度に、ランドセルからイカのぬいぐるみを取り出して「マイ・イカ」ととなえるようにしました。そうすることで嫌な気持ちは晴れ、明るい気持ちでいられるようになりました。
それだけではありません。「マイ・イカ」のおまじないで、失敗にも動じなくなったのです。「マイ・イカ」はもう一度やってみる勇気をウツキにあたえてくれました。
イカのぬいぐるみのおかげで、ウツキはチャレンジ精神のある明るい子になったのです。クラスのみんなは大きく変わったウツキにおどろきました。
ある日、学級委員が「どうしてそんなに明るくなったの?」とウツキにたずねました。ウツキは彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
ウツキの話はすぐにクラスじゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
するとクラスは活気に満ちあふれ、学年行事ではいつも一番の成績をおさめることができました。
それを聞きつけた校長が学級委員に話を聞きました。学級委員は彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
学級委員の話はすぐに学校じゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
すると学校は活気に満ちあふれ、町の中で一番頭のいい学校になったのです。
それを聞きつけた町長が校長に話を聞きました。
校長は彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
校長の話はすぐに町じゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
すると町は活気に満ちあふれ、国の中で一番栄えた町へと発展していきました。
それを聞きつけた国王が町長に話を聞きました。町長は彼にイカのぬいぐるみと「マイ・イカ」のおまじないの話をしました。
町長の話はすぐに国じゅうに広がり、みんなはイカのぬいぐるみを作っては「マイ・イカ」ととなえるようになりました。
すると国は活気に満ちあふれ、国から負の感情が消え、みんな平和に暮らせるようになったのです。
「マイ・イカ」というおまじないを最初に広めたウツキは国の英雄になりました。
今日も国じゅうの人々がイカのぬいぐるみを両手に「マイ・イカ」ととなえていることでしょう。
やがて時は流れ、「マイ・イカ」は徐々に形を崩していきました。そして現在、国のとある人が嫌な気持ちを消すために次のようにとなえました。
「まぁ、いいか」