文字数 633文字

 茜色に染まる空。糸を引く雲。見渡す限りの平原。
 そこはぼくの村でも一番見晴らしのいい場所だった。

 そして、目の前にはぼくの幼馴染――エミルがいる。
 ぼくが呼び出したのだ。

 すごく眺めがいい、って言ってくれたから、景色が一番映えるこの時間帯を選んだ。

 エミルに伝えたいことがある。
 いつから意識したのかは分からない。
 気がついたら、エミルのことを追いかけていた。

 それでも、関係が変わってしまうくらいなら。
 そう思って、何度か諦めようと思った。諦めきれなかった。

 今から、ぼくはエミルにこの気持ちを伝えようと思っている。
「す、好きです」
 一瞬の沈黙。永遠にも思えた。

 ぼくは深々と頭を下げていて、エミルの顔を盗み見ることはできなかった。

 きっと、エミルは戸惑っているだろう。
 もしかしたら、困らせてしまったかも知れない。

 でも、ぼくにも勝算はあった。
 今までの関係を壊してしまうかも知れないのだから、ある程度の確信がなければ動くことなんてできない。

 一緒にいる時間は他の誰よりも長かったし、一緒にいる間、笑顔を浮かべてくれた。
 ぼくといる時が一番ホッとすると言ってくれた。
 きっと、エミルもぼくと同じ気持ちだ。
 だから――
「無理かな」
 と言われた時、ぼくは何を言われたのか分からなかった。
 動揺のあまり何も考えられなくなっていたのだろう。
「え、嘘……でも、どうして?」
 ぼくはみっともなくも食い下がっていた。
「だって、クロノ君って、男の子って感じがしないんだもん」
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登場人物紹介

【クロノ・スール】15歳
主人公男の子。
見た目にコンプレックスあり。

【ミル・パッフェルベル】16歳
勝気な女の子。

【クレア・スール】10歳
主人公の妹。心優しい女の子

【????】15歳
おっとり優しい女の子。

【アミール・フェリックス】15歳
(名前が気に入ったので作りました。登場するか未定です)

【エミル・アシル】16歳
主人公の幼馴染。

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