夕方

文字数 1,346文字

楽しい時間は飛ぶように流れ、日は傾き夕方となる。
夕日に染まる街を少女達は並んで歩く。
赤い夕陽は街だけでなく、少女達の頬も赤く染めて……
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もう夕方かぁ…時間が経つのって早いね。
(照らす夕日に目を細め、呟く様に隣を歩く少女に語りかけた)
(夕日に染まり輝く金の髪には犬を模した髪飾りが楽しげに揺れている)
…うん、早い……
(語りかけられた少女は短く告げると小さく頷いた)
(黒髪が揺れるに合わせ、髪飾りの猫が跳ねて踊ったように見えた)
楽しい時間があっと言う間なのはわかってるんだけどさー
うー…むー……、やっぱりもっと時間が続くといいのに!
(唸りながら言うと指で金の髪をわしゃわしゃと掻き混ぜた)
…なんか嬉しい……
(短くそして呟く様に言うと騎士ちゃんの髪に手を伸ばし)
(乱れた髪を指で梳き整えはじめた)
え?嬉しいってどう言う…あ……
(急な言葉に首を傾げてしまう)
(しかしその言葉の意味を考えるより先に、髪に触れる魔法使いちゃんの指)
(夕日に染まる頬がますます赤く朱に染まった)
だって…私との時間を楽しんでくれた…そう言う事だよね…?
(そう語りながら騎士ちゃんの髪を整えて)
…これでよし……
(整え終えると得心した様に頷いた)
あ?あははっ、えーっと、ありがとう?
(魔法使いちゃんの言葉に困った様な照れた様な笑い)
(そして感謝の言葉を告げた)
(言葉に合わせる様、梳かれた金の髪が夕日に煌めいた)
ううん…ありがとうは私の方…だよ…?
誘ってくれて嬉しかったし…私との時間も楽しんでくれた……
(魔法使いちゃんは暫し目を閉じると思い返す様に告げ)
(そして目を開きながら空を見上げた)
………
はっ!?
そ、それを言うなら私の方こそ!
誘いにのってくれて嬉しかったし?喜んでくれたし?髪飾りまで貰っちゃったし?
(一瞬魔法使いちゃんの横顔に見惚れてしまったのをごまかす様)
(手をパタパタとしながら一気に言葉を繋げた)
(…やっぱりわんこの様だ)
ふふっ……
(見上げていた視線を騎士ちゃんの方へ向けると小さく笑みを浮かべ)
また…こんな風に遊びに行きたいな…?
(その笑みのまま短く問い尋ねた)
…!
勿論!勿論!
魔法使いちゃんがいいのなら何度でも!
(頷きながら今度はその場で回転しはじめた)
(通行人の方々が見ていますが無害です)
ん…ありがとう……
(騎士ちゃんの反応に喜びの反応を見せる…が……)
…あの…先、行こうか…?
(周囲からの視線に気付けば俯いてしまう)
(魔法使いちゃんには無害で無かった様です)
あ……、そ、そうだね?そうしよう!
(周囲の皆さんを見渡すと一呼吸し)
お騒がせしましたー!
(大きく頭を下げ、直ぐに頭を上げる魔法使いちゃんの手を引きその場を後に)
(そんな二人を微笑ましいなぁと見送る通行人の皆さん)
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夜の訪れ迫る街を駆けて行く二人。
二人の休日はもう少しだけ続くのであった。

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登場人物紹介

『騎士ちゃん』
 見習い騎士の女の子。魔法使いちゃんと同じ日に冒険者になった。
 魔法使いちゃんの事が好き。頭脳より腕力と体力で乗り切るタイプ。

『魔法使いちゃん』
 修行中な魔法使いの女の子、騎士ちゃんと同じ日に冒険者になった。
 騎士ちゃんの事が好き。炎と氷の術が得意、召喚魔法等も使える。色々な意味でふわふわしてる。

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