1 草原と夕飯とライブ

文字数 430文字

草原には誰もいない。
僕は一人で風に吹かれていた。
空から降ってきた子供たちも今は大人しくしている。
「今度夜が来るのはいつになるだろう」
誰かが言った。
それまでは太陽に照らされ続ける宿命だ。
僕はそう思った。
皆、笑っていた。
僕は悔しくなって草原を駆け回った。皆も僕の後ろについて走り回った。


家に帰ると夕飯が用意されていた。
僕は一人でご飯を食べた。
テレビからはバラエティー番組の笑い声が聞こえてくる。
家族はどこかにいる。
「仕事は順調かい」
隣でご飯を食べていた男が話しかけてきた。
僕は「順調だ」と答えた。


「それでは歌っていただきましょう! ソラさんで『青空』!」
僕はステージに立って歌った。
観客は数えられるほどだったが、一生懸命心を込めて歌った。
皆、泣いていた。
ライブの後、お客さん達とハグをしたり握手をしたりした。
皆「また来ます」と言ってくれた。
その後も彼らはライブに来てくれた。

きっと僕の歌は彼らのためにあるんだろう。
僕はこれからも、彼らのために歌い続けたいと思った。
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