[向こう側などあるはずはないのに]

文字数 374文字

私は祖母から譲り受けたこの大きな姿見を見る度に思うことがある。

「鏡の向こう側はどうなっているのだろう」

多分こんな事を考えるのは私だけだろう。だけど何故か気になってしまうのだ。ファンタジーアニメや小説などの影響だろうか。

普通に考えれば向こう側などあるはずがないのだ。いや、普通に考えるまでもなく向こう側やなどあるはずがない。
ただ……鏡の裏側と壁があるだけなのだから。

だが、手を伸ばし鏡に触れれば、向こう側に行けるのではないか、いつもそう考えてしまう。

そして今日。その鏡に手を伸ばしてみた……結果は自分の姿が映るだけ。
当たり前だが向こう側に行ける訳がなかった。

もう何回もそうしたことを繰り返してるわたしだけど……明日もそのまた次の日も、同じことを思うだろうし鏡へと手を伸ばすと思う。

そして……向こう側へなど行けないというのを実感するのだろう。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み