プロット
文字数 2,320文字
『天才子役はマネージャー!』
■起
進野マナ(すすむの・まな) は、小学4年生にして、芸能マネージャー。
担当しているのは、俳優の進野アキラ(すすむの・あきら)。マナの父である。
「この役を今受けると、ティーンの認知度が上がると思うよ。ミカちゃんのお兄ちゃんもドラマ見てたし」
「そ……そうなのか」
「価値観ってヤツが変わってきてるから、俳優でもそういう発言しちゃだめだよパパ」
「き、気を付けるよ」
「もう! しっかりしてよパパ!」
アキラは、俳優として鳴かず飛ばず。子供らしからぬしっかり者のマナの頑張りで、辛うじて小さな役を得ている状況だ。
それでも、「お父さんの演技好きだよ」と、アキラを応援するマナ。
父一人娘一人。貧乏だが、日々を精一杯生きている二人。
俳優としての才能はイマイチなアキラだが、料理は得意。
安くてなんだかわからない材料から、なんだかわからない料理をつくる。マナはその料理が大好きだ
■承
とあるオーディション。セリフを噛んだり、見当違いの演技を見せてしまったりと散々な結果のアキラに、がっかりのマナ。
だがその帰り、プロデューサーの赤海から意外な一言をかけられる。
「ヒロイン役としてオファーしたいんだ」
「お父さんが……ヒロイン?」
「違う違う! 君だよ!」
「え!? 私っっ!?」
なんと、マネージャーであるマナの方に、子役としてのオファーが来たのだ。
マナは断るが、赤海のゴリ押しで仕事が決まってしまう。
「まぁでも……これで俳優の仕事のこと、もっとわかるようになるかも」
父の仕事を知る機会にしようと思い直したマナ。担当マネージャーの青田の指示のもと、子役の仕事をこなしていく。
「役者としてはペーペーですが、なにとぞお願いします!」
「番宣のバラエティも全力でやった方が、空気を悪くしないから!」
はじめは緊張もあったが、徐々に慣れてくると、小学生らしくないハキハキした物言いや普段のしっかり者の姿がウケ、人気子役になっていくマナ。
マナの人気によって生活は安定する。
ちゃんとした材料が買えるようになり、アキラは腕によりをふるって料理をつくる。食事を楽しむ二人。でも、なんだか微妙な空気だ。
アキラは、マナを心配しつつも、俳優として売れたマナに複雑な思いを抱く。
だが、マナの忙しさは日に日に増すばかり。
アキラは、「もう子役、辞めたら?」と声を掛けたいが、それは貧しい生活に戻るということ。そう思うと、躊躇してしまう。
アキラが心配で、ついつい「パパも頑張ってよ」と口に出してしまうマナ。
その言葉に、「人の心配も知らないで!」と、ひがんでしまうアキラ。
これじゃまずいと、せめて料理を頑張ろうとするアキラ。
アキラに俳優に集中してほしいと、あえて外食ばかりとるマナ。
そんなマナに、「贅沢ばっかりするのか」とガッカリするアキラ。
こうして、徐々に徐々に二人の気持ちはすれ違ってしまう。
そんなある日……。
■転
「え? 俺に、レギュラー?」
なんと今度はアキラにオファーが舞い込む。その後も、なぜか順調に仕事が入るようになるアキラ。
「俺だってやってやる!」
アキラは、決意を新たに仕事をこなす。
二人ともに仕事が入り、豊かになっていくマナとアキラ。
だが忙しくなった二人は、家で顔を合わせることもなくなった。
毎日、別々に食事をとる二人……。
「子役を続ければ、アキラにも仕事を取ってきてやる」
実は、プロデューサーの赤海とマネージャーの青田は、そう言ってマナに子役を続けさせる約束を取り付けていたのだ。
それだけでなく、忙しくすることでマナとアキラと親子仲を悪くして、マナにこれからもずっと子役を続けさせようと画策していた。
以前逃げられた天才子役の代わりに、マナを担ぎ上げようという目論見なのである。
そのことを知らないアキラ。遂にマナに、「もう子役を辞めた方がいい」と伝えるが、
「お父さんには、アタシの気持ちはわからないよ!」と大喧嘩になってしまう
そんな中、大規模なオーディションが開催される。
子役から大人まで、様々な俳優を一気に選ぶオーディションで、それ自体がショー番組として企画されている。
事実上、マナを選ぶ為の企画だが、視聴者選抜でアキラもこのオーディションにこぎつける。
■結
会場では、役柄もキャリアも関係なく、様々な役者達の熱い争いが行われていた。
そして――マナとアキラが争うことになる。演目は、即興の演技対決。
器用なマナは、様々に即興演技を仕掛け、アキラを困惑させる。
だがマナの演技は、どこか薄っぺらいものだった。
「表面的なだけで、全然伝わらないよ」
アキラは、これまでのキャリアと、マナとの日々とを胸に、マナに語り掛ける。
精一杯の演技、いやアキラの思いそのものだ。
「もう辞めよう。無理しても意味がない」
「贅沢しても、一人で食う飯は旨くない」
アキラは、マナと青田達の約束のことを、即興演技でのやりとりを通して知る。
更に、マナがアキラとの食事を避けていたのは、俳優としての仕事に集中してほしいとの思いだということも。
「俺が悪かった! だが、俺はここまでやれる! 俳優としてきちんと生きていく!」
アキラの、素とも演技ともとれる熱意に、観客も、マナも、心を動かされる。
そして――
数日後、オーディションで、役を手に入れ喜ぶアキラ。
一緒に喜ぶマネージャーは……マナだ。
帰り道、アキラはマナに語り掛ける。
「俺はもう自分でやっていける。だからマナ。ほかにやりたいこと、やっていいんだぞ」
アキラの気持ちを受け取ったマナ。
「他に見つけたらね。今のところは……マネージャーやるのが一番好きみたい」
日常に戻った二人は、一緒に食事をするのだった。
アキラがつくる、よくわからない材料の、よくわからない料理で。
■起
進野マナ(すすむの・まな) は、小学4年生にして、芸能マネージャー。
担当しているのは、俳優の進野アキラ(すすむの・あきら)。マナの父である。
「この役を今受けると、ティーンの認知度が上がると思うよ。ミカちゃんのお兄ちゃんもドラマ見てたし」
「そ……そうなのか」
「価値観ってヤツが変わってきてるから、俳優でもそういう発言しちゃだめだよパパ」
「き、気を付けるよ」
「もう! しっかりしてよパパ!」
アキラは、俳優として鳴かず飛ばず。子供らしからぬしっかり者のマナの頑張りで、辛うじて小さな役を得ている状況だ。
それでも、「お父さんの演技好きだよ」と、アキラを応援するマナ。
父一人娘一人。貧乏だが、日々を精一杯生きている二人。
俳優としての才能はイマイチなアキラだが、料理は得意。
安くてなんだかわからない材料から、なんだかわからない料理をつくる。マナはその料理が大好きだ
■承
とあるオーディション。セリフを噛んだり、見当違いの演技を見せてしまったりと散々な結果のアキラに、がっかりのマナ。
だがその帰り、プロデューサーの赤海から意外な一言をかけられる。
「ヒロイン役としてオファーしたいんだ」
「お父さんが……ヒロイン?」
「違う違う! 君だよ!」
「え!? 私っっ!?」
なんと、マネージャーであるマナの方に、子役としてのオファーが来たのだ。
マナは断るが、赤海のゴリ押しで仕事が決まってしまう。
「まぁでも……これで俳優の仕事のこと、もっとわかるようになるかも」
父の仕事を知る機会にしようと思い直したマナ。担当マネージャーの青田の指示のもと、子役の仕事をこなしていく。
「役者としてはペーペーですが、なにとぞお願いします!」
「番宣のバラエティも全力でやった方が、空気を悪くしないから!」
はじめは緊張もあったが、徐々に慣れてくると、小学生らしくないハキハキした物言いや普段のしっかり者の姿がウケ、人気子役になっていくマナ。
マナの人気によって生活は安定する。
ちゃんとした材料が買えるようになり、アキラは腕によりをふるって料理をつくる。食事を楽しむ二人。でも、なんだか微妙な空気だ。
アキラは、マナを心配しつつも、俳優として売れたマナに複雑な思いを抱く。
だが、マナの忙しさは日に日に増すばかり。
アキラは、「もう子役、辞めたら?」と声を掛けたいが、それは貧しい生活に戻るということ。そう思うと、躊躇してしまう。
アキラが心配で、ついつい「パパも頑張ってよ」と口に出してしまうマナ。
その言葉に、「人の心配も知らないで!」と、ひがんでしまうアキラ。
これじゃまずいと、せめて料理を頑張ろうとするアキラ。
アキラに俳優に集中してほしいと、あえて外食ばかりとるマナ。
そんなマナに、「贅沢ばっかりするのか」とガッカリするアキラ。
こうして、徐々に徐々に二人の気持ちはすれ違ってしまう。
そんなある日……。
■転
「え? 俺に、レギュラー?」
なんと今度はアキラにオファーが舞い込む。その後も、なぜか順調に仕事が入るようになるアキラ。
「俺だってやってやる!」
アキラは、決意を新たに仕事をこなす。
二人ともに仕事が入り、豊かになっていくマナとアキラ。
だが忙しくなった二人は、家で顔を合わせることもなくなった。
毎日、別々に食事をとる二人……。
「子役を続ければ、アキラにも仕事を取ってきてやる」
実は、プロデューサーの赤海とマネージャーの青田は、そう言ってマナに子役を続けさせる約束を取り付けていたのだ。
それだけでなく、忙しくすることでマナとアキラと親子仲を悪くして、マナにこれからもずっと子役を続けさせようと画策していた。
以前逃げられた天才子役の代わりに、マナを担ぎ上げようという目論見なのである。
そのことを知らないアキラ。遂にマナに、「もう子役を辞めた方がいい」と伝えるが、
「お父さんには、アタシの気持ちはわからないよ!」と大喧嘩になってしまう
そんな中、大規模なオーディションが開催される。
子役から大人まで、様々な俳優を一気に選ぶオーディションで、それ自体がショー番組として企画されている。
事実上、マナを選ぶ為の企画だが、視聴者選抜でアキラもこのオーディションにこぎつける。
■結
会場では、役柄もキャリアも関係なく、様々な役者達の熱い争いが行われていた。
そして――マナとアキラが争うことになる。演目は、即興の演技対決。
器用なマナは、様々に即興演技を仕掛け、アキラを困惑させる。
だがマナの演技は、どこか薄っぺらいものだった。
「表面的なだけで、全然伝わらないよ」
アキラは、これまでのキャリアと、マナとの日々とを胸に、マナに語り掛ける。
精一杯の演技、いやアキラの思いそのものだ。
「もう辞めよう。無理しても意味がない」
「贅沢しても、一人で食う飯は旨くない」
アキラは、マナと青田達の約束のことを、即興演技でのやりとりを通して知る。
更に、マナがアキラとの食事を避けていたのは、俳優としての仕事に集中してほしいとの思いだということも。
「俺が悪かった! だが、俺はここまでやれる! 俳優としてきちんと生きていく!」
アキラの、素とも演技ともとれる熱意に、観客も、マナも、心を動かされる。
そして――
数日後、オーディションで、役を手に入れ喜ぶアキラ。
一緒に喜ぶマネージャーは……マナだ。
帰り道、アキラはマナに語り掛ける。
「俺はもう自分でやっていける。だからマナ。ほかにやりたいこと、やっていいんだぞ」
アキラの気持ちを受け取ったマナ。
「他に見つけたらね。今のところは……マネージャーやるのが一番好きみたい」
日常に戻った二人は、一緒に食事をするのだった。
アキラがつくる、よくわからない材料の、よくわからない料理で。