工事現場の警備員をしているきれいな女の人に説教し始めるおじさんがいた件

文字数 669文字

「自転車一台通りまーす!あ、こちら通りにくくなっておりますのでお気をつけください」
「ちょっといい」
「・・・・?」
「あなた、ここの警備員さん?」
「はい」
「そう・・・」
「なにかありましたか?」
「いえ、ちょっと、合わないなって思ってさ」
「合わない?・・・といいますと」
「いや、こういう仕事しなくてもあなたみたいなきれいな人だったらいくらでも仕事あるでしょ、他に」
「どういう意味ですか?」
「そのまんまですよ、もったいないって言ってるのよ」
「それって、警備員に対する職業差別ですよね?」
「そうじゃなくってさ、俺思うにさ、人ってその人にあった職業なり、役割っていうのがあると常々思ってるのね。それは望む望まざるにかかわらず、その人の持って生まれたものっていうのが少なからずあるわけだしさ。それを知らずに、自分に合わない職業で死んでいく人が大半なわけだけど、それって、周りの人が指摘することで避けれることでもあると思うんだよ」
「何が言いたいんですか?」
「つまり、あなたのような若くて美貌を持つ女性はもっと活躍できる場所や環境があるって言ってるのよ。環境は選択できるわけだからさ、現代は」
「でも、それはわたしが選択する権利があるわけですし、あなたの言っていることに従ったところで、わたしには幸福をつかめるとは思えません」
「ならいいんだけど・・・」
「暇なんでしょ?」
「え?」
「ただわたしに話しかけたかったんですよね?」
「そうとらえるのもあなたの才能だと思うよ」
「さっさと行ってください、後が詰まってますので」
「はい、言われなくてもわかってます、さようなら」
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