第1話 プロット

文字数 2,224文字


中学二年生の女の子、犬沢陽菜乃(いぬさわひなの)は予知夢のせいで散々な毎日を送っていた。ある夜、陽菜乃は夜中の学校で美少年に会い契約を交わすがそのあと自分が泣いている……という予知夢を見る。翌日マスコットを落としてしまったことに気がつき、陽菜乃は夜中に学校に行くと教室には紅茶を飲み、一人茶会をする美少年がいた。名前は兎瑠(うる)、ミステリアスでどこかナルシストな青年。兎瑠は招待してもいないのに来た陽菜乃を不思議に思う。その後教室の扉が開き、兎瑠は陽菜乃を教卓の下へと隠す。入って来たのはクラスメイトの女子•狐坂(こさか)。テストで一位になるという願いの対価として努力した記憶をもらう契約をかわし、去る。兎瑠は陽菜乃の願いも叶えると言うが、陽菜乃は予知夢を思い出し断る。そして陽菜乃が願いの叶え方に納得できないでいると、兎瑠は狐坂の結果を見て本当に間違っていると思ったらまたここに来るように言う。願いが叶い狐坂は1位になったが罪悪感や記憶の消失に苦しめられる。その様子を見て、陽菜乃は「やっぱり間違っている」と兎瑠に伝えると兎瑠は妖しげな笑みを浮かべながら「兎瑠の力に頼らず願いを叶えられると証明できたらこの学校から去る」というゲームを持ちかける。そして陽菜乃はゲームをすることを決意する。


夜の茶会にはたくさんの生徒が来た。陽菜乃は最高のドレスが欲しいという女子と一緒にドレスを作ったり、告白を成功させたいという男子のサポートをするなど、陽菜乃は願いを一緒に叶えていく。また、願いを叶える中で様々なピンチを助けてくれた予知夢を肯定するようになったり、クラスメイトと仲良くなったり、陽菜乃の世界は明るくなっていく。兎瑠は不思議な力で陽菜乃をサポートするようになり、陽菜乃は兎瑠の優しさに触れ、また兎瑠も頑張る陽菜乃を見て、二人の仲が縮まって行く。しかし、声優のオーディションに合格したいという猫山美依(ねこやまみい)と演技の練習を一緒にしたものの、オーディションは不合格になってしまった。罪悪感でいっぱいの陽菜乃を見兼ね、兎瑠はオーディションの審査員の一人が猫山に興味を持つよう仕向ける。猫山は別作品に出られるようになった。兎瑠に感謝する気持ちと、結局兎瑠の力で願いが叶ったことに陽菜乃は複雑な思いを抱く。


いつものようにまたとある男子が兎瑠の元へ相談に来る。しかしその内容は今までとは違った。「自分の体型をバカにしてきたクラスメイトに怪我をさせる」という内容。そのクラスメイトは陸上部で大会を控えていた。陽菜乃は止めようとするがその男子•象原茂(ぞうはらしげる)は聞かない。兎瑠は対価として「一番嬉しかった記憶」をもらうという条件たで象原と契約を結ぶ。この願いは叶えるべきではないと主張する陽菜乃と、どんな願いでも叶えるべきだと主張する兎瑠。二人は口論になり、仲違いしてしまう。陽菜乃は象原を説得しようと何度も何度も話しに行く。しかし象原は願いを取り消そうとしない。焦る陽菜乃に兎瑠は諦めるよう伝える。陽菜乃は、象原がこれから一生罪の意識に囚われてしまう、と兎瑠に泣きながら訴える。そして陽菜乃の過去を話し出す。陽菜乃には姉がいた。幼い頃、姉は自分が遊んでいたボールを道路まで取りに行ってしまい、死んでしまった。陽菜乃はずっと罪を感じながら生きていたのだ。そして陽菜乃はマスコットを取り出し、これは姉が自分に縫ってくれたものなのだと兎瑠に伝える。とうとう兎瑠は怪我をさせず、その男子は大会で良い成績を納めた。象原は怒り兎瑠を殴る。陽菜乃は自分のことを話し、なんとか象原を宥める。そして、馬鹿にしたクラスメイトを見返すために象原のダイエットに付き合う。怪我をさせるという願いは叶わなかったが、これで良かったのだと象原は陽菜乃に感謝を述べた。


誰も相談に来ない、二人だけの夜の茶会。兎瑠はゲームに負けたからここを去ると言い、最後に自分のことを陽菜乃に話し出す。兎瑠は14歳のときに事故で死んでしまった。あの世へ行くと、神に悪いことをしてなければ良いこともしていないと言われ、現世に戻り人の願いを叶えることによって徳を積むことを提案される。そして人々の願いを叶えていく内に、生きているだけでも尊いことなのに欲を膨らませる人間たちに精神を病んでいく。次第に願いの対価を要求するようになっていた。そんなとき、彼は泣きじゃくる女の子を見つける。その女の子は自分のせいで姉が死んだと嘆いていた。兎瑠は願いを聞く。姉を生き返らせろ、だとかその記憶を消せ、自分のせいだと思われないように事実を書き換えろと要求されると思った。しかし、その女の子は予知能力がほしいと言った。兎瑠は感動し、対価なしにその子に予知夢の能力を与えた。陽菜乃は兎瑠の話を聞き、目を丸くする。兎瑠は陽菜乃に感謝を述べた。昔、自分に人間の良いところを見せてくれたこと。そして、象原のことで自分に本気で怒ってくれたこと。兎瑠は、生きて陽菜乃と一緒に居れたらどんなに良いか、と話す。陽菜乃はそんな兎瑠に契約を持ちかける。自分の予知能力を対価に、天国に行くまで一緒に居るという契約を。兎瑠は笑顔で「その願い、叶えます」と言う。それから二人は、たくさんの人の願いを叶える。少し兎瑠の特別な力を使いつつ、対価なしで、相談主と一緒に願いを叶える。「その願い、一緒に叶えましょう」二人は今日も願いを叶える。
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