第1話
文字数 1,581文字
がっこうからのかえりみち、ナナはためいきをつきました。
(このめがね、へんかなあ……)
きょうからめがねデビューしたナナ。あかいふちどりのまるめがねを、クラスのおんなのこたちは、
「かわいい。」
「にあってるよ。」
といってくれたのに、となりのせきのゆうくんだけ、プッとふきだしたのです。
(まちのおおきなめがねやさんで、かってもらえばよかった……)
うつむき、とぼとぼあるくナナ。するとおでこに、なにかがコツンとあたりました。
「いたっ!」
「ごめんなさい。だいじょうぶ?」
「あっ!?」
なんと、めのまえにピンクのドレスをきたちいさなおんなのこが……。きんいろのはねをパタパタさせ、ナナにたずねます。
「わたし、めがわるいの。ようせいのめがねをつくってくれるおみせをしらない?」
けしゴムサイズのようせいをかたにのせ、『こだまめがねてん』へやってきたナナ。おじいちゃんのともだち、げんさんのおみせです。ふるいガラスとをあけると、
「おや、ナナちゃん。どうだい、めがねのちょうしは?」
ほほえむげんさん。ほわほわのしろいかみとあごひげ。ぎんめがねのおくのやさしいひとみが、おじいさんやぎみたいです。
「い、いいです。あの、きょうはおきゃくさんを……」
「ほう。がっこうのともだちかい?」
「じゃなくて……」
「わたしよ。はじめまして。」
ふわりと、げんさんのまえにとびだしたようせい。ナナがあわてます。
ところが……
「おや、かわいいようせいだ。まずしりょくをはかろう。どんなめがねがいいかね?」
ちっともおどろかないげんさんに、ぽかんとするナナ。「びっくりしないの?」
「ハハハ、ながいことめがねやをやってるとね、いろんなおきゃくさまがくるんだ。いぬやねこ、はとにねずみ。くまにつくったこともある。」
「へえ~」
ショーケースのうえに、まいおりたようせい。
「ナナちゃんとおそろいのあかいめがねをつくってくださいな。とてもかわいいもの。」
ふつかご、『こだまめがねてん』をおとずれたナナとようせい。
「さあ、かけてごらん。」
げんさんのてのひらには、ちいさなちいさなあかいめがね。
「まあ、なんてすてき!」
ちいさなてで、めがねをかけたようせい。
「かわいい!」とナナ。
「うん、ぴったりじゃ。よくみえるかね?」
「ええ! ああ、せかいがこんなにうつくしいなんて~」
くるくると、まいおどるようせい。ナナもうれしくて、いっしょにくるくる。げんさんも、めをほそめます。
「おそろいのめがねで、しまいのようじゃな。またいつでもおいで。」
「はい!」
「ありがとう、げんさん!」
こうして、おみせをでたナナとようせい。こいぬをつれたしょうねんとであいました。ナナをみて、「あっ!」
「ゆうくん!」
ようせいが、ナナのみみもとで「おともだち?」
「うん、クラスの……」
まためがねをわらわれそうで、うつむいたナナ。すると、ゆうくんがいいました。
「このまえは、ごめん。めがねをわらったんじゃないんだ。ほら、こいつ。」
だきあげたこいぬ。しろとちゃいろのざっしゅけんで、つぶらなひとみが、ちゃいろのけでぐるり。
「めがねみたいだろ。それで……」
プッとふきだしたナナ。「ほんと。なまえは?」
「ななきち。あっ、なまえのななはぐーぜんで、その、あの……じゃあな!」
「ワンワン!」
まっかなかおで、はしりさったゆうくんとこいぬ。ようせいが、
「ウフフ、あのこ、ナナちゃんがすきなのね。」
「えっ!?」
かおをあからめたナナのかたから、ようせいがまいあがります。
「ありがとう、ナナちゃん。ようせいのくにへもどらなきゃ。」
「え、いっちゃうの?」
「うん。でもいつかあえるわ。おろそいのめがね、たいせつにするから。バイバイ。」
「わたしも! バイバイ。またね~」
ふわふわとそらへきえていくピンクのひかり。いつまでもみおくるナナでした。
(このめがね、へんかなあ……)
きょうからめがねデビューしたナナ。あかいふちどりのまるめがねを、クラスのおんなのこたちは、
「かわいい。」
「にあってるよ。」
といってくれたのに、となりのせきのゆうくんだけ、プッとふきだしたのです。
(まちのおおきなめがねやさんで、かってもらえばよかった……)
うつむき、とぼとぼあるくナナ。するとおでこに、なにかがコツンとあたりました。
「いたっ!」
「ごめんなさい。だいじょうぶ?」
「あっ!?」
なんと、めのまえにピンクのドレスをきたちいさなおんなのこが……。きんいろのはねをパタパタさせ、ナナにたずねます。
「わたし、めがわるいの。ようせいのめがねをつくってくれるおみせをしらない?」
けしゴムサイズのようせいをかたにのせ、『こだまめがねてん』へやってきたナナ。おじいちゃんのともだち、げんさんのおみせです。ふるいガラスとをあけると、
「おや、ナナちゃん。どうだい、めがねのちょうしは?」
ほほえむげんさん。ほわほわのしろいかみとあごひげ。ぎんめがねのおくのやさしいひとみが、おじいさんやぎみたいです。
「い、いいです。あの、きょうはおきゃくさんを……」
「ほう。がっこうのともだちかい?」
「じゃなくて……」
「わたしよ。はじめまして。」
ふわりと、げんさんのまえにとびだしたようせい。ナナがあわてます。
ところが……
「おや、かわいいようせいだ。まずしりょくをはかろう。どんなめがねがいいかね?」
ちっともおどろかないげんさんに、ぽかんとするナナ。「びっくりしないの?」
「ハハハ、ながいことめがねやをやってるとね、いろんなおきゃくさまがくるんだ。いぬやねこ、はとにねずみ。くまにつくったこともある。」
「へえ~」
ショーケースのうえに、まいおりたようせい。
「ナナちゃんとおそろいのあかいめがねをつくってくださいな。とてもかわいいもの。」
ふつかご、『こだまめがねてん』をおとずれたナナとようせい。
「さあ、かけてごらん。」
げんさんのてのひらには、ちいさなちいさなあかいめがね。
「まあ、なんてすてき!」
ちいさなてで、めがねをかけたようせい。
「かわいい!」とナナ。
「うん、ぴったりじゃ。よくみえるかね?」
「ええ! ああ、せかいがこんなにうつくしいなんて~」
くるくると、まいおどるようせい。ナナもうれしくて、いっしょにくるくる。げんさんも、めをほそめます。
「おそろいのめがねで、しまいのようじゃな。またいつでもおいで。」
「はい!」
「ありがとう、げんさん!」
こうして、おみせをでたナナとようせい。こいぬをつれたしょうねんとであいました。ナナをみて、「あっ!」
「ゆうくん!」
ようせいが、ナナのみみもとで「おともだち?」
「うん、クラスの……」
まためがねをわらわれそうで、うつむいたナナ。すると、ゆうくんがいいました。
「このまえは、ごめん。めがねをわらったんじゃないんだ。ほら、こいつ。」
だきあげたこいぬ。しろとちゃいろのざっしゅけんで、つぶらなひとみが、ちゃいろのけでぐるり。
「めがねみたいだろ。それで……」
プッとふきだしたナナ。「ほんと。なまえは?」
「ななきち。あっ、なまえのななはぐーぜんで、その、あの……じゃあな!」
「ワンワン!」
まっかなかおで、はしりさったゆうくんとこいぬ。ようせいが、
「ウフフ、あのこ、ナナちゃんがすきなのね。」
「えっ!?」
かおをあからめたナナのかたから、ようせいがまいあがります。
「ありがとう、ナナちゃん。ようせいのくにへもどらなきゃ。」
「え、いっちゃうの?」
「うん。でもいつかあえるわ。おろそいのめがね、たいせつにするから。バイバイ。」
「わたしも! バイバイ。またね~」
ふわふわとそらへきえていくピンクのひかり。いつまでもみおくるナナでした。