第1話
文字数 1,069文字
「ただいま」
「おかえり」
彼女に返事をするのは彼だけ。
「落ち込んじゃった」
「どうしたの? 」
「SNSに、お前の演奏は面白味がないって書かれた」
「ひどいな」
「誰か助けてよ」
その一言で今まで無視していた連中が一斉に騒ぎ出す。
「神様があなたをお導きいたします・・・・」
「自己啓発なら任せろ・・・・」
彼女はいくつも渡り歩いたがすべてを元へ押し戻して言った。
「正論はごもっとも。
でもね、公式通りなお前はつまんないってディスられたばかりだから」
彼は能力全開でアピールする。
「おーい、ワーワー、こっち向いて」
彼女はふっと視線を向けて手を伸ばす。
「この子かな」
「あー、そっちですか」
指をかけたのは彼のお隣さんだった。
「そいつはカバーだけがおしゃれの、ハッタリ野郎ですよ」
彼女の指に力が入ると、お隣さんが彼に毒づき始める。
「オレの横でぶつぶつ言ってるお前、くっつくな、離れろよ」
「嫌だ! 」
彼女は力一杯引っ張った
「キツイな、エイ! 」
彼は「イタイイタイ、破れる、落ちる」と叫ぶお隣さんにへばり付きながら言い捨てる。
「うるせー、道連れだ」
バサと音を立て彼だけが落下していた。
彼女に握られたお隣さんが笑っている。
「ざまーみろ、邪魔するからだ」
「詰んだ。このまま、何処かの隙間に・・・・」
「あれ?
君、なつかしい。
ずっと探していたんだよ」
「え? マジ? 」
彼女はお隣さんを元の場所へ帰して、彼を迎え入れた。
「なんか、何者でもない時のがむしゃらだった時の自分が誇らしいからさ」
「任せてください」
「うん?
『フルシアンテ、天才!
クリーンなヒズミ、そしてカッティング、体温と匂いを彼みたいに表現したい。
絶対にしてやる!!! 』
この日から毎日、今でもヒーローの彼の曲を、リピートして弾きまくっていたな。そして、仲間にも評判が良かったから動画で公開したら。
あ、ここだ。
『 ― 悪くはないが、個性なんて出しても売れないのに。勘違いしないで言われた通りのスケール繰り返せ。尖がるなよ、売れねーよ ―
だってさ、好き勝手に書き込むなんて。
クソ、誰だよお前は。
へこむ、でも、そうかなあ、分かりましたよ
ヤメル! 』
今日と逆のこと言われてたんだな・・・・。
そうだ、久しぶりにあの奏法で弾いてみよう」
彼女はあの時のストラトキャスターを引っ張り出してきてフルシアンテのリフを弾いた。
「僕、その音色がずっと好きです」
彼女は少し笑った。
「今なら、あの時の自分にお返し出来るかもしれない。
成功者の言葉が書かれた本より、
かつての一生懸命生きていた自分の声にこそ光が見えるんだね。
ありがとう、
日記さん」
「おかえり」
彼女に返事をするのは彼だけ。
「落ち込んじゃった」
「どうしたの? 」
「SNSに、お前の演奏は面白味がないって書かれた」
「ひどいな」
「誰か助けてよ」
その一言で今まで無視していた連中が一斉に騒ぎ出す。
「神様があなたをお導きいたします・・・・」
「自己啓発なら任せろ・・・・」
彼女はいくつも渡り歩いたがすべてを元へ押し戻して言った。
「正論はごもっとも。
でもね、公式通りなお前はつまんないってディスられたばかりだから」
彼は能力全開でアピールする。
「おーい、ワーワー、こっち向いて」
彼女はふっと視線を向けて手を伸ばす。
「この子かな」
「あー、そっちですか」
指をかけたのは彼のお隣さんだった。
「そいつはカバーだけがおしゃれの、ハッタリ野郎ですよ」
彼女の指に力が入ると、お隣さんが彼に毒づき始める。
「オレの横でぶつぶつ言ってるお前、くっつくな、離れろよ」
「嫌だ! 」
彼女は力一杯引っ張った
「キツイな、エイ! 」
彼は「イタイイタイ、破れる、落ちる」と叫ぶお隣さんにへばり付きながら言い捨てる。
「うるせー、道連れだ」
バサと音を立て彼だけが落下していた。
彼女に握られたお隣さんが笑っている。
「ざまーみろ、邪魔するからだ」
「詰んだ。このまま、何処かの隙間に・・・・」
「あれ?
君、なつかしい。
ずっと探していたんだよ」
「え? マジ? 」
彼女はお隣さんを元の場所へ帰して、彼を迎え入れた。
「なんか、何者でもない時のがむしゃらだった時の自分が誇らしいからさ」
「任せてください」
「うん?
『フルシアンテ、天才!
クリーンなヒズミ、そしてカッティング、体温と匂いを彼みたいに表現したい。
絶対にしてやる!!! 』
この日から毎日、今でもヒーローの彼の曲を、リピートして弾きまくっていたな。そして、仲間にも評判が良かったから動画で公開したら。
あ、ここだ。
『 ― 悪くはないが、個性なんて出しても売れないのに。勘違いしないで言われた通りのスケール繰り返せ。尖がるなよ、売れねーよ ―
だってさ、好き勝手に書き込むなんて。
クソ、誰だよお前は。
へこむ、でも、そうかなあ、分かりましたよ
ヤメル! 』
今日と逆のこと言われてたんだな・・・・。
そうだ、久しぶりにあの奏法で弾いてみよう」
彼女はあの時のストラトキャスターを引っ張り出してきてフルシアンテのリフを弾いた。
「僕、その音色がずっと好きです」
彼女は少し笑った。
「今なら、あの時の自分にお返し出来るかもしれない。
成功者の言葉が書かれた本より、
かつての一生懸命生きていた自分の声にこそ光が見えるんだね。
ありがとう、
日記さん」