第1話 タクシーを拾う女
文字数 1,408文字
○神奈川県KM市内、関東の小京都
お盆のシーズン 9:00pm
東京のメガバンク本店に勤務していた総合職のA子は、管理職として神奈川県KM市内の支店に赴任してきたハイミスである。
冷蔵庫から冷えた麦茶をグイッと一口飲むA子。
ミーンミンミン(蝉時雨)
携帯で、稲山順蔵の怪奇サイトにアクセスするA子。
...まだ昭和のバブル期の話ですよ。東京の青山墓地ってのは、六本木から近くてね。クラブ、当時はディスコで散々遊んで終電を逃した客がここからタクシーを拾って帰った...
まあ、青山墓地の通りってのは、うまいラーメン屋が並んでるから、夜勤のタクシーが休憩してがてら集まってくる...
...またですか。娘は数年前に亡くなりました。ええっ、六本木のディスコで不良外人に不法薬物を酒と一緒に飲まされまして...急逝でした。
...ムスメの魂は、まだ六本木辺りを彷徨っているのでしょう。毎年、お盆になると青山墓地からタクシーを拾って、こうして帰省するのです...ですので料金は、こちらで全額弁済させていただき...
携帯を切るA子。
背筋がゾォっと寒くなってきたA子。
コンコン!コンコン!
玄関に応対に出るA子。
新築マンションの4階に引っ越してから丁度一年後、お盆。22:00
アイスコーヒーを口に含むA子。
ピンポーン!ピンポーン!
インターホン越しに話すA子。
はーい、どなた?なんの御用かしら?
夜分遅くにすみません。MMKタクシーの者ですが、階下に女性のお客様をお連れして...