天ぷら
文字数 481文字
大学の友人が、ランチのときぼそっとつぶやいた、『小学校の同級生の話』。友人は、お弁当を食べながら淡々としゃべった。
「小学校のとき、いたじゃない。万年半袖の子。結構どこにでもいるじゃない。私の小学校時代にも『それっぽい子』がいたのよ。
ただ……半袖じゃなかったんだよね。かぶってたのよ。パンツを。そのときはニット帽の代わりかな? って思ったの。なんか、親御さんがアーティストで、ちょっと変わってたから。もしかしたら社会へのメッセージ的なものだったのかなぁって。反骨精神っぽい、アレ。
でも、その子、この間見かけちゃったのよ。相変わらずパンツかぶってて…‥しかもちょっとブランドものの。変わり者ってだけだとよかったんだけど、とうとうやっちゃったのよ。
『パンツかぶって素っ裸』ってやつ?
あれ、親御さんの意向じゃなくて、個人の性癖だったのよね。もちろん逮捕されてた。
あー……あれは一生忘れられない友達になっちゃったわぁ。うん、一生話すわ、彼のこと」
私は、そんな話を無表情で淡々とする友人のお弁当が、なぜか身のない衣だけの天ぷらだけだったことのほうが気になった。
「小学校のとき、いたじゃない。万年半袖の子。結構どこにでもいるじゃない。私の小学校時代にも『それっぽい子』がいたのよ。
ただ……半袖じゃなかったんだよね。かぶってたのよ。パンツを。そのときはニット帽の代わりかな? って思ったの。なんか、親御さんがアーティストで、ちょっと変わってたから。もしかしたら社会へのメッセージ的なものだったのかなぁって。反骨精神っぽい、アレ。
でも、その子、この間見かけちゃったのよ。相変わらずパンツかぶってて…‥しかもちょっとブランドものの。変わり者ってだけだとよかったんだけど、とうとうやっちゃったのよ。
『パンツかぶって素っ裸』ってやつ?
あれ、親御さんの意向じゃなくて、個人の性癖だったのよね。もちろん逮捕されてた。
あー……あれは一生忘れられない友達になっちゃったわぁ。うん、一生話すわ、彼のこと」
私は、そんな話を無表情で淡々とする友人のお弁当が、なぜか身のない衣だけの天ぷらだけだったことのほうが気になった。