第1話

文字数 1,599文字

 リコはおんなのこのおはなしをかんがえることがだいすきです。
 おひめさまやぼうけんかのおんなのこ。
 リコのくににはおはなしをかんがえる「おはなしやさん」というしごとがあり、リコはおおきくなったらおはなしやさんになりたいとおもっていました。

 あるひ、こうえんのいすにトモがすわっていました。
 トモはせかいをたびするおにいさんで、たくさんのことをしっています。しらないくにのくらしをきくと、リコはいつもわくわくしました。
 しかし、きょうのトモはなんだかかなしそうです。
「トモ、どうしたの?」リコがたずねました。
「ぼくのくにのおはなしやさんがこまっているんだ。リコ、たすけてくれないか。」
『ミミ』というおはなしやさんがおはなしをつくることができなくなってしまったというのです。そして、ミミはおひめさまだということもおしえてもらいました。
 おはなしやさんでおひめさま!なんてすてきなんでしょう!
「リコのおはなしをミミにきかせてあげてほしいんだ。」
 リコはミミをたすけたいとおもいました。
「でもどうやってミミのところへいけばいいのかしら。」
 すると、トモはかばんからぴかぴかとひかるえほんをとりだしました。ひょうしに『おはなしのくに』とかいてあります。
「このほんをとおるんだ。」
 えほんをひらくと、まぶしいひかりがリコをつつみました。
「きゃぁぁぁ!」
 リコはほんのなかにすいこまれていきました。

 めをあけると、リコはおしろのまえにたっていました。
 もんのまえにはよろいをきたおとこのひとがいます。
 リコはゆうきをだしてもんにむかってあるきはじめました。
「こんにちは。ミミにあいにきたの。」リコがはなしかけました。
「だめだ。ミミひめさまはおはなしがかんがえることができずにかなしんでいらっしゃるんだ。」おとこのひとがいいました。
「トモにいわれてきたの。」
 リコがいうと、おとこのひとはおどろきました。
「トモさまのおねがいでしたらしかたありません。」
 トモはいったいなにものなのでしょう。

 コンコン
 ミミのへやのとびらをたたいてもへんじはありません。しかし、なきごえがきこえます。
 リコはとびらのむこうにいるはずのミミへおはなしをかたりはじめました。
 とっておきのおんなのこのおはなしです。
 おはなしがおわったとき、とびらがひらきました。
「どうぞ。」とこえもします。
 そこには、リコとおなじくらいのドレスをきたおんなのこがいました。ミミでした。

「おはなしがおもしろくないというひとがあらわれて、こわくてつくれなくなってしまったの。」
 ミミがおはなしをつくれなくなったりゆうをはなしました。
「ミミはおはなしをかんがえることがきらい?」
 リコがきくと、ミミがくびをよこにふりました。
「わたしはおはなしがだいすき。じぶんがすきなおはなしをかんがえたい。」
「だったらほかのひとのいけんはかんけいないわ!ミミのすきなことなのだから。」
「ありがとうリコ。」
 ミミがえがおになりました。
 それからふたりはおはなしをかんがえたり、おたがいのくにについてはなしました。

「ミミ、リコ。」
 そこにあらわれたのはトモでした。
「おにいちゃん!」
 ミミがうれしそうにいいました。
「トモがミミのおにいさんだったなんて!」
 リコはびっくりしていいました。

「ありがとう、リコ。ミミはまたおはなしをかんがえることができるよ。」
 トモがおれいをいいました。
 リコとミミはまたあうやくそくをしました。
「こんどはリコのくににいくわ。ふじさんがみてみたいの!」

 リコはふたたびえほんをとおってもどってきました。
 めをあけるとトモがえほんをよんでいました。
「これはリコだね。」
 そこにはリコとミミがてをつないでいるえがかかれていました。
「またいくからね。」
 リコはえをみながらミミにむかっていいました。
 えのミミがリコにむかってぱちり、とウインクをしました。



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