プロット

文字数 949文字

起)
小学校五年生の礎(イシズエ)冴(サエ)はちょっと変わった女の子。天然パーマのボサボサ頭に、分厚いメガネ。好奇心旺盛で、こうしたらどうなるか、という実験が大好きな女の子。虫も平気で触れるし、おしゃれよりも機能性重視のカッコで、なぜか小さな容器に入ったレモン果汁を持ち歩き、いつも一人で楽しそうだ。研究者の両親に憧れ、将来は二人みたいに世の中の役に立つ立派な研究者になりたいと夢見ている。

承)
ある日冴のクラスに転校生がやってくる。可愛い系男子・有明(アリアケ)南(ミナミ)はその外見がコンプレックスで、から変われないよう周りに合わせながら生活していた。隣の席の風変わりな冴に驚きつつ、関わらない方がいいだろうと判断する。冴はどこふく風で、一人楽しそうにキョロキョロといろんなものを観察している。

転)
ある日、冴は公園で南と出会う。南は妹・美冬(ミフユ)を連れていたのだが、お気に入りのワンピースにブランコのサビがついてしまい、大泣きしていた。泣き止まずに困っていた南の元に現れた冴は、おもむろにポケットから小さな容器に入ったレモン果汁を取り出す。
「それは?」「レモン果汁だよ」「ど、どうしてそんなもの持ってるの?」「なにかに使えるかなと」「なにかって、なんだろう…」
独特なペースの冴に困惑する南。ところが冴は、そのレモンを使いあっという間にワンピースのサビを落としてしまったのだ。驚く二人に、冴はどういう化学変化が起こったのか、とても嬉しそうに説明する。目を輝かせる美冬と、ちんぷんかんぷんの南。それでも教室とは違う冴の生き生きとした様子を見て、なんだか不思議な気分になるのだった。

結)
母親の病死によりここに引っ越してきてからずっと暗い顔をしていた美冬だったが、その日からというものすっかり冴に懐いてしまった。冴お気に入りの公園に行きたがる美冬に、仕方なくついていく南。今日も今日とて、冴は放課後の公園でなにかを探している。
「サエちゃんなにしてるの?」「枯れた花を集めてる」「集めてどうするの?」「色水作れるかなって」「楽しそう!わたしもやりたい!」
楽しそうな美冬の姿に、南も嬉しくなる。
「有明君もやる?」「やろうよ、お兄ちゃん!」「ええ…」美冬に無理矢理腕を引っ張られ、仕方なく輪に加わる南だった。
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