文字数 557文字


「順番だからね」と
言い聞かせられて
育ってきたから
律儀にも誰かの後ろで
列に並んで待ってた
次か次かとドキドキしながら
自分の番になった時の
やりたい事をリスト化して
楽しい未来を描いてた
でも最初にはあったはずの
列なんてとっくに
有耶無耶にされていて
気づけば迷子になってる
しかも予想すらしなかった場所
そんな大人たちが
行き先もわからずに
右往左往してるそんな中に
僕もいつの間にか紛れ込んでた
準備もなく迫られる選択
こんな霧の中でも遅ればせながら
道を見つけた猛者の後ろを
ついていく人見送って
風船のように膨らんだ
あの頃の夢の片鱗を
探す旅を選ぶ事にしたのは
人が押し寄せて来すぎて
空気が薄くなってきたからとか
そんな些細な理由だった
遅すぎることはない
それは確かなこと
ただ違うのは道標がある分だけ
険しく厳しい道になってる事実
でももう振り返らない
戻ることもできない
さっきまで僕が彷徨っていた
あの場所は後から来た
他の人が陣取ってるから
この道が間違いじゃなかったなんて
ほんとは誰も知ることは出来ない
さいごに振り返るその時に
それぞれが満足できていたなら
たとえ低い山を踏破しただけだと
気付いたとしても
その時こそ初めて気づく
それぞれの正しかった道だろう
そしていつか悪魔の囁きを
僕らは言葉にするんだ
目の前のまだ年端もいかない子らに
「ここに並んで順番だからね」と
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