第1話

文字数 1,597文字

「なんて、すてきな ひ‼」
ヘティは、そらに むかって いいました。
そらは あおく、
ぽっかりうかんだ しろいくもは きもちよさそう。
ヘティは、
「おべんとうを もりで たべたら すてき!」
とかんがえつきました。
ヘティは、いつも もりで あそんでいます。
おはなを つんだり、
きいちごや どんぐりを あつめたり、
うさぎや りすと おいかけっこを したり。
きょうは、
「おひるに たべてね。」
と、おかあさんが おべんとうを 
つくっておいてくれました。 
「あれを もりに もっていって たべたら、
ピクニックみたいで たのしそう!」
ヘティは、とてもいいことを
おもいついた とおもいました。
もりにつくと、ヘティは さっそく おべんとうを
ひろげました。
「いただきます。」
あっというまに おべんとうは 
からっぽに なりました。
「あー、おいしかった。ごちそうさま。」
おなかが いっぱいになった ヘティは、
もりの はなを みわたすと、
またまた いいことを かんがえつきました。
「おはなで おべんとうを つくったら すてき!」
からっぽの おべんとうばこに
おはなをつめて おはなのおべんとうを つくろう!
「おかあさんに おみやげに もってかえったら、
すごく よろこぶだろうな。」
ヘティは、おかあさんの おべんとうと そっくりに 
おはなの おべんとうを つくろうと おもいつきました。
たべたばかりの おべんとうを おもいだしながら、
おはなを つんでいきます。
ごはんのかわりに、しろつめくさ。
たまごやきのかわりに たんぽぽ。
きれいに はっぱを しいて、
プチトマトのかわりに あざみを ぽん。
ハンバーグのかわりは、まつぼっくり!
しあげは、ふりかけ。
ごはんのうえの ゆかりふりかけのかわりは、ライラック。
むらさきの ライラックのはなを
しろつめくさのうえに パラパラパラ。
おはなの おべんとうの できあがり!
おはなの いいかおりが してくるおべんとうが
できました。
ヘティは、おかあさんに はやく 
おべんとうを みせたくて、
いそいで おうちに かえることにしました。

すると、かえりみちで 
だれかの なきごえが きこえてきます。
こえがするほうへ いっても、
だれもいません。
「おかしいなー。」
ヘティが くさを かきわけて
よーくみると、
いっぴきのはちが
くさのねもとで しくしく ないていました。

「はちさん、どうしたの?」
「きゅうな つよい かぜで、
はねを きのえだに ひっかけてしまったんです。
すに かえることもできないし、
はなの みつも はこべません。」



「なかないで。わたしが いえまでつれていってあげる。」
ヘティは そういうと、
はちを やさしく てのひらに のせました。

そして、はちを すまで はこび、
そっと おろしてあげました。
そして、はちに むかって いいました。
「はちさんに、この おべんとうを あげる。
はねが なおるまでは、このおべんとうの おはなから 
みつを とってね。」
ヘティは、おはなの おべんとうを そっと 
はちのすの ところに おきました。
「なんて、いいにおい‼
ありがとうございます。
おれいに どうか 
これを もらってください。」
とても よろこんだ はちは、
あまくて おいしい はちみつを 
どんぐりに つめて
もたせてくれました。

おうちにつくと、
おかあさんが ちょうど 
おやつの ホットケーキを やきあげたところでした。
ヘティは、さっき はちにもらった はちみつを
おかあさんに さしだしました。
「おかあさんにおみやげ!」

そのはちみつを ホットケーキに
とろーり たっぷり かけて、
「いただきます。」
ヘティは、ホットケーキを たべながら、
もりでの できごとを
おかあさんに はなします。
ふたりの おやつのじかんには、
おいしい ホットケーキの においと
はちみつからの おはなの すてきなかおりが 
へやじゅうに ひろがっていました。



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