ありえないトンネル
文字数 609文字
俺は一心不乱に、トンネルの中をバイクで走っていた。
ここは妙な噂を聞くトンネルだったが、興味本位で近寄るべきではなかった。
現に俺は、逃げることだけを強いられていた。
「――――!!」
後ろから迫るのは、恐竜の群れ。いわゆるラプトルって奴みたいで、体は小さいが足は素早く、それが軍団で襲い掛かってくる。
ありえない話だが、ツーリングの最中に入ったトンネルを越えた先は、得体のしれないジャングルだった。
見たこともないフルーツがある、一見宝の山みたいな場所だったが、俺はそこでこいつらと出会った。
バイクで来ていたからよかったものの、気づくのが少しでも遅れたら、俺はこいつらに食われていたことだろう。
だが、逃避行もようやく終わりに差し掛かっていた。出口の白い光が、確実に見えた。
「――!!」
確実に、戻ってくることができた。振替らないまま自宅に帰った時、俺を追っていた奴らはいなくなっていた。
そのあと俺は安心して、シャワーを浴びてすぐに寝た。
だが――朝になった時だった。
「グウェェ、グウェェ!!」
外から、得体のしれない鳴き声が聞こえた。
そこにいたのは、破壊されたバイクのリアボックスと、昨日俺を追いかけまわしたあいつらの赤ん坊。そして、トカゲみたいな顔をした、気色悪い肌の人間だった。
「!?」」
「タマゴ、カエセ、サモナクバ、コロス」
そうか、そういうことだったんだな――欲をかいたから、俺は地獄行きってわけか。
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