8話 休日を妻と
文字数 476文字
早川さんとの飲み会から数日が過ぎた頃、妻に買い物を手伝って欲しいと頼まれて、私はショッピングモールに来ていた。お目当ては、話題のトースターということだったが、施設に着いてみれば、妻は紳士服屋なども巡り、私の普段着なども見繕ってくれた。
途中歩いていると、妻が手を繋ごうとした。私は咄嗟に手を引っ込めて、妻に「恥ずかしいじゃないか」と耳打ちした。妻は寂しそうな顔を浮かべた後で、また私の少し後ろの歩く時の定位置に戻った。
そして、施設内のフードエリアにあるイタリア料理屋で昼食を食べた。妻はナオやユキの近況を楽しそうに話してくれた。私の態度が悪かったのか、妻は「やっぱりまだ気分は優れませんか?」と私に不安そうに尋ねたが、私は「そんなことないさ」と答えて、ナオ達の話をもっと聞かせてくれと言った。私から妻に話したいことは何も無かったから。それから腹ごなしにまた散策をしてから帰宅した。
久しぶりの妻との休日は、何処か物足りなさを感じたものの、やはりこの歳でも着飾った妻は美しいと思った。
そして、それから数日後。早川さんが『アテルイ』に現れなくなった。
途中歩いていると、妻が手を繋ごうとした。私は咄嗟に手を引っ込めて、妻に「恥ずかしいじゃないか」と耳打ちした。妻は寂しそうな顔を浮かべた後で、また私の少し後ろの歩く時の定位置に戻った。
そして、施設内のフードエリアにあるイタリア料理屋で昼食を食べた。妻はナオやユキの近況を楽しそうに話してくれた。私の態度が悪かったのか、妻は「やっぱりまだ気分は優れませんか?」と私に不安そうに尋ねたが、私は「そんなことないさ」と答えて、ナオ達の話をもっと聞かせてくれと言った。私から妻に話したいことは何も無かったから。それから腹ごなしにまた散策をしてから帰宅した。
久しぶりの妻との休日は、何処か物足りなさを感じたものの、やはりこの歳でも着飾った妻は美しいと思った。
そして、それから数日後。早川さんが『アテルイ』に現れなくなった。