第9話「ノーザンライトボム」

文字数 3,289文字

「はぁ~ん……」

空に星がたくさん見えていた晩。エチエチの森の草原の上でパンツ一丁で寝そべりながらなんとも言えない絶妙にキモい声を出したタカシ。それから彼のすぐ隣では下着姿のシェリーがスヤスヤと気持ち良さそうに眠っていた。そしてタカシはそんな彼女の方に顔をゆっくりと向けた。

「…………俺……チェリー卒業したんだな……」

タカシはシェリーを見つめながらそう呟いた。そう。タカシはチェリー……所謂(いわゆる)童貞を卒業したのだ。シェリーとのS◯Xによって。要するにシェリーでチェリーを卒業したのだ。

「うっ!!高まる……!!!」

タカシは美しい下着姿のシェリーを見ている内にムラムラが限界突破。このままでは自分が自分でいられなくなりそうだと思い、慌てて立ち上がり、近くの茂みの中へと入っていった。

「うぉらぁぁぁ!!!!」

タカシはそう叫びながら健全男性がよくやる禁断の一人遊びを済ませた。そして再びシェリーの近くに戻って寝た。

~翌朝~

「ん~……起床」

タカシは目を覚ました。そしてすぐにある異変に気がついた。なんとシェリーがいなくなっていたのだ。

「シェ、シェリー……!!一体どこに!?」

タカシが周りをキョロキョロしていると、後ろからシェリーがソ~ッとタカシの元へと近づいてきて「わっ!」と声を出した。

「ふぁぁぁぁぁぁ!!??」

シェリーの突然の脅かしに、タカシは驚いて思わずソプラノトーンの悲鳴をあげてしまった。そしてそんなタカシを見たシェリーは思わず大爆笑。

「アハハ八!!何今の声!!凄く美しい!!」

「シェ、シェリー……!!もう~……脅かさないでよ~……心臓が飛び出るかと思ったよ……」

「いや~ごめんごめん、こんなに驚くなんて思わなかったわ」

「ったく……人が悪すぎるっつの……というかどこ行ってたのよ~?」

「ん~?ちょっとブラっとその辺を散歩……って、きゃあああああああ!!!!!」

シェリーは突然盛大な悲鳴をあげた。

「ど、どうした!?」

「タ、タカシ……!!下!!下!!」

「下?」

タカシはシェリーに言われて下に顔を向けてみるとそこには心臓が落ちていた。

「おわああああああああ!!!???誰のだあああああああああ!!!???」

この時タカシは胸元に違和感を感じ、そこにソッと手を添えてみた。すると通常であれば感じられるはずの鼓動が一切感じられなかった。

「これ俺のだあああああああああ!!!!!」

そう。落ちていた心臓はタカシの物だったのだ。

「ぐっ……!!!戻れ!!!」

タカシは心臓を手に取り、無理矢理胸元にブチ込んだ。その結果元に戻った。

「ふ~……良かった~……元に戻って……ていうか心臓が飛び出るなんて勘弁してほしいよな~ホント、全く……びっくりしてチビるかと思ったぜ……」

タカシがそう呟いた直後に、シェリーは突然涙を流しながらタカシに抱きついた。

「うぉう!?シェリー!?どうした!?」

「タカシ……ごめんなさい……私が驚かせたせいで心臓を飛び出させるハメになって……」

シェリーがそう言うと、タカシはニコリと微笑んで言った。

「ハハハ、別に謝る事なんてないよ、心臓が飛び出るなんて事は俺にとっちゃ日常的な事さ」

タカシは、そう言いながらシェリーの瞳から流れていた涙を指でスッと拭き取った。

「……ありがとうタカシ、タカシは優しいんだね……ねぇタカシ……話は変わるんだけど……私……タカシとこの先ずっと一緒にいたい……」

「え?俺とずっと一緒に?」

「ええ……ダメ?」

「え?い、いや……別に……ダメって事はないけど……」

「それってつまり……OKって事……?」

「う、うん……」

「やった!!ありがとうタカシ!!大好き!!」

「むぐぅぅぅ!!??」

シェリーは嬉しさのあまりタカシにディープキスをした。そしてその後2人は色々とスケベな事をした後にギルドへと戻っていった。



「───マングリマンドラゴラでござる」

タカシは、そう言って採集した5つのマングリマンドラゴラをギルド内の受付カウンターに座っていた受付嬢に差し出した。そして受付嬢は、それらをよぉく吟味した。

「……フムフム……確かにマングリマンドラゴラですね……はい!依頼達成ですね!ではこちらが報酬金となりま~す!」

タカシは受付嬢から報酬金8000Wの入った布袋を差し出された。

「すいません、半分ずつに分けてもらってもいいですか?」

タカシは受付嬢に、そう頼んだ。

「え?は、はぁ……構いませんけど……」

受付嬢は報酬金を2つの布袋に4000:4000に分けてタカシに差し出した。

「ありがとうございます」

タカシは礼を言いながら受け取った。そしてギルド内のテーブル席に座って、自分を待っていたシェリーの元へと戻っていった。

「シェリー、おまたせ、はいこれ」

タカシはシェリーに報酬金の入った布袋を1つ差し出した。

「え?これは?」

「報酬金の半分」

「え?どうして私に?タカシが全部とっときなよ」

「いやいや、半分こにしようよ、ね?」

タカシは、やや強引にシェリーに報酬金を渡した。

「あ、ありがとう……」

シェリーは受け取った報酬金を大事そうにポーチの中へとしまった。そしてその後タカシに尋ねる。

「タカシ、これからどうする?」

「ん~……そうだなぁ~……次はモンスター討伐の依頼を受けてみようかな」

という訳でタカシとシェリーは依頼ボードの前へと移動した。

「……よし、これにするか」

タカシが手に取った依頼書の内容は以下の通りであった。

~戦慄の美脚~

達成条件:美脚ケルベロスの討伐

場所:ンバボーの森

報酬金:50000W


「すいません、これ受けます」

タカシは、そう言って依頼書を受付嬢に渡した。

「ほいほい、美脚ケルベロスの討伐ですね、ご武運を~」

「ほ~い」

その後タカシはシェリーの案内の元、美脚ケルベロスを討伐するべく、ンバボーの森へと向かっていった。



「───ガルルルルルッ!!!オフッ!!オフッ!!」

ンバボーの森の中心地で、美しい脚のケルベロスこと美脚ケルベロスがタカシとシェリーに向けて、今にも飛びかかってきそうな気迫で激しい威嚇をしていた。

「シェリー!!コイツは俺1人で充分!!多分!!」

「う、うん!!分かった!!くれぐれも無茶はしないでね!!ピンチになったらすぐに呼び掛けてね!!」

「分かった!!」

タカシがそう言った直後に美脚ケルベロスはタカシに向かって「バウアー!!!」という雄叫びと共に襲い掛かってきた。

「甘い!!!見切った!!!」

タカシは攻撃を瞬時に見切って躱し、そのまま美脚ケルベロスに組み付いた。そしてそのままボディスラムの要領で美脚ケルベロスを垂直に持ち上げた。

「うりゃああああああ!!!!ノーザンライトボムゥゥゥゥ!!!!」

ドグシャアアアアンッ!!!!

タカシは美脚ケルベロスを地面に頭から突き落とした。

「ハウッ!!!」

美脚ケルベロス死亡。勝者タカシ。

「命は投げ捨てるもの」

タカシは死亡した美脚ケルベロスに向かって決め台詞を言い放った。そしてその直後にレベルアップ。

タカシ/Lv200

職業:魔法剣士

HP:20700
MP:18000
攻撃力:21000
防御力:18000
魔力:10000
素早さ:16000
知力:22000
器用さ:100000
運:18000

「また強くなっちまった……」

静かにそう呟いたタカシ。そんな彼の元にシェリーが駆け寄ってきた。

「す、凄いわタカシ!!何なの今の技は!?」

「ん?ああ、あれはノーザンライトボム、北◯晶が開発した技だよ」

「へぇ~……すごい……今度私にも教えて!!」

「おっけ~い、ていうか今教えてあげるよ」

「やったー」

その後タカシはシェリーにノーザンライトボムの掛け方を教えて、自身を実験台に彼女に技を掛けさせてあげる事にした。

「おりゃ~、ノーザンライトボム!」

ドグシャアアアアンッ!!!

「ハッハッハ!うまいうまい!」

シェリーのノーザンライトボムを喰らい、満面の笑みを浮かべていたタカシ。端から見たらとんでもないマゾ野郎である。そしてそれから少し経った後に、タカシは討伐証明のため、美脚ケルベロスの3つの首を切り取ってポーチにしまい、シェリーと共にギルドへと戻っていった。
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