第4話

文字数 647文字

 翌日の放課後、二人は図書館で集中して勉強に取り組んでいた。春の暖かさに頭がぼーっとするのに負けないのも、何処か二人の強い意志を感じられる。
 そんな真剣な二人を見て、石黒は穏やかに微笑みながら眩しい日差しが照りつける窓際のカーテンを閉める。
 図書館に着いて互いに挨拶を交わした後、二人は時々自分の苦手、即ち相手の得意科目の質問しながらも基本ずっと黙々と勉強していたが、重徳が久しぶりに口を開く。「五月に今年最初の模試があるね。」「ああそうね。私も受ける!」問題を解く手を止めて桜は重徳の話に耳を傾ける。「俺の偏差値は今五十。法葉大学は六十。五十じゃちょっと足りないからとりあえず次の模試で五あげようと思う。」「そうね。途中の目標を決めるのはいいと思う!お互いにいい成績がとれたら息抜きにどこか出かけようか!」その言葉に重徳の胸は踊る。模試の成績次第では、桜とデートできるというのだ。重徳に頑張らない手はなかった。「ほんと?!よーし!頑張るぞ、絶対いい点とる!」そう言って意気込む。桜も嬉しそうに微笑み、二人は笑いあった。そうして二人は次の模試へと日々猛勉強を積み重ねるのであった。
 翌日、日曜で図書館がやってなかったので、重徳は家で勉強することにした。十時間、いやもっとやっただろうか。いずれにせよ重徳の人生で一番勉強したということは確かであった。
最近の重徳の変わりように家族も驚いていたが、重徳は目もくれずひたすら机に噛り付いた。
 全ては成績アップ、いや、桜とのデートのためである。
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