第1話
文字数 1,271文字
今、私はガタイのいい男の人に作られている。
彼はラガーマン。朝は早めに学校へ出かけて行き授業前にランニング。放課後は基礎体力づくりと走り込みに実戦練習をしてからグランド整備や道具の後片付けで、家に帰り着く時間は遅い。夕食とお風呂を終えた後、勉強を少々してから私の出番がやって来る。
彼はガタイがデカいが見かけによらず繊細で器用なところがあり、その彼の趣味が私を作ることなのだ。緻密で細やかな作業が得意で根気が強い。そのことはラグビーでの彼のポジションにも出ていると思う。
「ねえねえユウキ、あんたさあ、なんかコソコソ作ってるってウワサだよ。何を作ってんのさ?」
こっそりと学校へ連れてこられた私に女の人の声が聞こえた。
「別に何でもねーよ」
「みんなも知りたがっているから、隠してないで教えなよ」
「そんなのウワサだろ。ネもハもねー話だよ」
「根も葉もないならチョットあらためさせてもらおうかな?」
冗談っぽい声とともに私の入っている袋が持ち上げられた。
“エッ、いったい何が起こっているの?”
「なに勝手なことしてんだよ!」
私は袋ごと乱暴に取り上げられた。そして人の転がる音がした。
「急に何すんのさ! チョットふざけただけでしょ!?」
「幼馴染だからって何してもいい訳じゃないだろ! 大人しくマネージャーだけしてればいいんだよ!」
“ふたりともケンカしちゃった…”
その直後、机とイスを引きずった音と人の出て行く音がした。
それからあとは私は家の中で作られることになった。ただ、学校での空き時間で私を作ろうとしていた時間が減った分、ユウキの体を休める時間は減っていった。
「ユウキ、大丈夫!? 倒れたって聞いて、学校終わってからすぐ来たんだよ」
“この前の女の人が来たんだ!”
「大したことないよ… 疲れがとれきれなくて… あの時から話しなくてゴメンな」
「謝るのはこっちだよ、意地になって… 私も踏み込み過ぎてゴメン… 本当に平気なの?」
「しばらく安静にしていれば治るって医者が言っていた。深刻な病気とかじゃないって」
「ああ、良かった… 昔からユウキは体が弱いところがあったから心配したんだよ… 私がイジワルしたから罰が当たって最悪の誕生日プレゼントがあったんじゃないかと怖くなってたんだ」
「マアヤは昔から心配性なところがあるからな… 心配かけて悪かった」
「そんな無理して体起こさなくていいから」
「いや、このままでちょっと待っててくれ」
私は袋から取り出され、照れるユウキからマアヤに手渡された。
「今日はわざわざありがとう。これ、マアヤの誕生日プレゼントな」
“ユウキ今日に間に合わせるために頑張ったもんね”
「え、これを私に作ってくれてたの!?」
「これから寒くなるし体を冷やさないようにな」
「ユウキったらバカね…」
「バカはお互い様だろ」
「私、この毛糸のマフラーずっと大切にする!」
マアヤはその場で私をうれしそうにクルっと首に回した。
彼はラガーマン。朝は早めに学校へ出かけて行き授業前にランニング。放課後は基礎体力づくりと走り込みに実戦練習をしてからグランド整備や道具の後片付けで、家に帰り着く時間は遅い。夕食とお風呂を終えた後、勉強を少々してから私の出番がやって来る。
彼はガタイがデカいが見かけによらず繊細で器用なところがあり、その彼の趣味が私を作ることなのだ。緻密で細やかな作業が得意で根気が強い。そのことはラグビーでの彼のポジションにも出ていると思う。
「ねえねえユウキ、あんたさあ、なんかコソコソ作ってるってウワサだよ。何を作ってんのさ?」
こっそりと学校へ連れてこられた私に女の人の声が聞こえた。
「別に何でもねーよ」
「みんなも知りたがっているから、隠してないで教えなよ」
「そんなのウワサだろ。ネもハもねー話だよ」
「根も葉もないならチョットあらためさせてもらおうかな?」
冗談っぽい声とともに私の入っている袋が持ち上げられた。
“エッ、いったい何が起こっているの?”
「なに勝手なことしてんだよ!」
私は袋ごと乱暴に取り上げられた。そして人の転がる音がした。
「急に何すんのさ! チョットふざけただけでしょ!?」
「幼馴染だからって何してもいい訳じゃないだろ! 大人しくマネージャーだけしてればいいんだよ!」
“ふたりともケンカしちゃった…”
その直後、机とイスを引きずった音と人の出て行く音がした。
それからあとは私は家の中で作られることになった。ただ、学校での空き時間で私を作ろうとしていた時間が減った分、ユウキの体を休める時間は減っていった。
「ユウキ、大丈夫!? 倒れたって聞いて、学校終わってからすぐ来たんだよ」
“この前の女の人が来たんだ!”
「大したことないよ… 疲れがとれきれなくて… あの時から話しなくてゴメンな」
「謝るのはこっちだよ、意地になって… 私も踏み込み過ぎてゴメン… 本当に平気なの?」
「しばらく安静にしていれば治るって医者が言っていた。深刻な病気とかじゃないって」
「ああ、良かった… 昔からユウキは体が弱いところがあったから心配したんだよ… 私がイジワルしたから罰が当たって最悪の誕生日プレゼントがあったんじゃないかと怖くなってたんだ」
「マアヤは昔から心配性なところがあるからな… 心配かけて悪かった」
「そんな無理して体起こさなくていいから」
「いや、このままでちょっと待っててくれ」
私は袋から取り出され、照れるユウキからマアヤに手渡された。
「今日はわざわざありがとう。これ、マアヤの誕生日プレゼントな」
“ユウキ今日に間に合わせるために頑張ったもんね”
「え、これを私に作ってくれてたの!?」
「これから寒くなるし体を冷やさないようにな」
「ユウキったらバカね…」
「バカはお互い様だろ」
「私、この毛糸のマフラーずっと大切にする!」
マアヤはその場で私をうれしそうにクルっと首に回した。